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NO.2231 「拝啓 毎日新聞社説さま」 障害者自立支援法廃止、総合福祉法制定問題をめぐる新聞報道

 この件に関しては、残念ながら一般の関心も高くは無い。
震災復興に原発事故、消費税増税に一体改悪・・・、国政上のさまざまな大問題がある中で、新聞が障害者問題を「社説」に取り上げるということは大変意義あることです。

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 しかし、この「毎日」の社説はいただけない。
本当に総合福祉部会をきちんと取材をしたのか?この間の経過を調べたのか?
厚生労働省の肩を持つことだけを目的にしたかのような、大新聞にしてはまったくお粗末!というより、障害のある仲間たちから見れば犯罪的ですらある。
 本論は、この記事の批判で後段になるが、まずいくつかの新聞報道をごらんあれ。     

社説:新障害者制度 凍土の中に芽を見よう毎日新聞 2012年2月12日 2時32分

 障害者自立支援法に代わる新法の概要がまとまった。名称や法の理念を改め、難病患者も福祉サービスの支給対象に加えることなどが盛り込まれた。だが、障害者からは現行法の一部修正に過ぎないとの批判が起きている。満開の春を期待していたのに裏切られたという思いはわかる。その矛先はどこに向けられるべきなのか。批判するだけでいいのか。障害者福祉の行方を大局観に立って考えてはどうだろう。

 「自立支援法廃止」は民主党のマニフェストの目玉の一つだった。政権交代後は自立支援法違憲訴訟の原告団と和解し、内閣府に障がい者制度改革推進会議を設置、障害者を中心にした55人による部会で議論してきた。個々の福祉サービスから支給決定の仕組みまで抜本改正する提言がまとまった。これを受けて厚生労働省が示したのが新法の概要だ。

 障害者中心の制度作りは、06年に障害者差別をなくす条例が制定された千葉県でも試みられた。この時は堂本暁子知事(当時)による政治主導が最後までぶれず、条例原案の作成から議会の説得まであらゆる場面で県庁職員と民間委員が協働し、日本初の障害者差別禁止条例を誕生させた。障害者同士の現実的な議論が外部の人々へも理解の輪を広げた。

 民主党政権はどうか。政治主導どころか、政権交代後、担当大臣が7人代わった。厚労省では「(官僚は)会議室の予約とコピー取りだけしていればいいと言われた」との声が聞かれる。官僚を排除して壮大な内容の提言をまとめても、それを法案にするのは官僚なのである。

 政権交代後、ムダの削減だけでは必要な財源が得られないことがはっきりし、民主党は税と社会保障の一体改革にかじを切った。子育て支援や雇用政策も意欲的に取り組むようになった。障害者施策は自立支援法で財源が義務的経費になったことで毎年10%前後も予算が伸び続け、この10年で予算規模は2倍になった。

 制度も改善が重ねられ、自立支援法はずいぶん様変わりした。4月から施行される改正自立支援法でさらにサービスは拡充するだろう。そうした流れから隔絶した所で部会の議論は行われてきたのではないか。関心を持って見守っていた民主党幹部がどこにいたのだろう。

 それでも、部会の議論から法案化への過程では、推進会議の中心メンバーは難しい説得や交渉を重ね、民主党の若手議員も批判を浴びながら取りまとめに奔走した。厚労省は今春から適用される障害福祉サービスの報酬単価を決める議論の過程を公開した。これまで密室で決められていたものをである。まだ小さいが、凍土の中に芽が見えないだろうか。

 一方、地方紙はまともな書きぶりだ。
以下、ネットで見つかった2紙の社説を紹介する。

【社説】障害者の新法 現場の声を忘れるな(東京新聞 2012年2月16日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012021602000064.html

 民主党政権は公約の「障害者自立支援法の廃止」を反故(ほご)にするのか。障害者が十分な支援を得られない欠陥を残したまま厚生労働省は法律を温存する構えだ。なぜ変節したのか、説明責任を果たせ。

 二〇〇六年に施行された自立支援法は身体、知的、精神の障害ごとにばらばらだった福祉サービスを一元化し、効率化を図った。だが、出足から評判が悪かった。

 サービス利用料の原則一割を支払うルールを取り入れたため、収入の低い人や障害の重い人ほど負担が急増した。授産施設では工賃が負担を下回るという逆転現象さえ生じ、サービスの利用を我慢する人が相次いだ。

 人権侵害だとして全国各地で違憲訴訟が一斉に起きた。この国の障害福祉行政は一体どこを向いて仕事をしているのだろうか。

 民主党政権もそんな自立支援法を問題視したからこそ原告団と和解し、法の廃止と新法の制定を約束したのではなかったのか。そして現場を熟知する障害者や家族らの知恵を借りようと、新法の枠組みづくりを委ねたはずだ。

 その現場の声は昨年八月に骨格提言として集約された。閣議決定通り今国会に向けて法案化されると信じたのに、新法案と称して厚労省が示したのは現行法の仕組みを維持した案にすぎなかった。

 提言内容はことごとくないがしろにされた。とりわけ問題なのは障害程度区分と呼ばれるシステムが残ることだろう。障害が軽いか重いかで障害者を六つのランクに分ける物差しだ。

 心身の機能や能力についてコンピューターを使ったり、専門家が話し合ったりして調べる。そして本人のいないところでそのランク、つまりサービス内容を一方的に決めてしまうのである。

 全国一律の客観的な物差しを使い、自治体によってサービスにばらつきが出ないようにするのが建前だ。裏を返せば、障害者がどんな暮らしを望み、どんな支援を求めたいのかという肝心要のニーズには応えないシステムだ。

 食事や排泄(はいせつ)、移動、コミュニケーションといった身の回りの支援は、障害者にとって命綱である。障害者が健常者と同じように社会生活を送るための必要最小限の手段だ。売り買いを目的とした商品ではない。

 いくら「障害者と健常者の共生社会の実現」と理念を掲げ、法律の名前を変えても、中身がそのままなら世界の六割が加盟する障害者権利条約の批准も危うい。


■障害者自立支援  見当たらぬ政治の反省[京都新聞 2012年02月09日掲載]
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20120209.html

 障害者自立支援法に代わる新たな障害者福祉制度について、厚生労働省が改革案を民主党側に示した。政権交代の時、民主党が掲げた「自立支援法の廃止」は見送られ、これでは法律の看板取り替えになりかねない。

 障害者自立支援法は、2006年に施行された。身体、知的、精神の障害ごとに分かれていたサービスを一元化したものの、受けたサービス量に応じて原則1割を負担する「応益負担」になったため、障害の重い人ほど負担が増える制度設計だった。

 半数以上の人で授産施設から得る賃金が実質負担額を下回り、9割近い人の負担額が増えたことから、憲法25条が保障する生存権に反するとして、全国14地裁で違憲訴訟が起こされた。自立支援法が障害者の「自己責任」の色合いが濃いことも批判の対象になった。

 当時の長妻昭厚労相は自立支援法の廃止と新制度策定を言明し、「拙速な制度の実施で障害者の尊厳を深く傷付けた」と原告代表に謝罪した。これを受け、すべての訴訟で10年4月までに和解が成立し、法の「廃止と新法の制定」が合意文書に盛り込まれた。政府は同年6月、障害者総合福祉法(仮称)の提出を閣議決定し、今の国会での成立をめざしている。

 厚労省が示した改革案は、自立支援法の改正案とされ、法の廃止ではない。法を廃止した場合、約6万あるサービス事業者を指定し直す必要が生じ、自治体や事業者の負担が増すうえ、新法の制定に野党の協力が得られないためという。厚労省は「事実上の法廃止」というが、法の不当性を訴えて国と和解した元原告の理解は到底得られないだろう。

 改正案では、現行では障害者手帳のない人は対象外だった難病患者も給付対象とされる。パーキンソン病など130の疾患を介護サービスの対象とする方向だ。谷間のない制度と支援の実現であり、この点には異論はない。

 ただ、政府が検討した自己負担の原則無料化は見送り、6段階ある障害程度区分は施行後5年後をめどに見直すとし、支給区分の見直しは先送りされた。程度区分がしゃくし定規に行われ、個人の意向が反映されない欠陥の是正は急ぐ必要がある。

 厚労省は、雇用施策の対象となる障害者だけで、全国で約350万人いると見ている。この点で、障害者福祉の在り方は政府が進める社会保障と税の一体改革の大きな論点でもある。改革案は時間切れを防ぐ取りつくろいに過ぎない。

 「完全参加と平等」「障害の有無にかかわらず、人格を認め合う共生社会の実現」を言葉だけに終わらせず、法案決定に政治の責任と決断を見せてもらいたい。


 ・・・で、本論の「毎日」の批判であるが、申し訳ないが他人のふんどしで勘弁願います。
ちょうど、都合よくこの記事を書き出してから、ファイスブックで情報を得ましたので・・・。

 内閣府の障がい者制度改革推進会議の総合福祉法部会の委員で、話し合いの当事者である山梨学院大学の竹端寛先生のブログから、批判の中心点を部分転載させていただきます。
 お断りしますが、先生は社説に取り上げられたことを評価しつつ真摯に意見を述べるという建設的な立場です。(怒りで、多少皮肉もあるかも!)ぜひ、リンク先でお読みください。

拝啓 毎日新聞社説さま
http://www.surume.org/2012/02/post-551.html

  (前略)

私たちが議論をした総合福祉部会は、厚生労働省と自立支援法違憲訴訟団との裁判所での和解の基本合意文章に基づき、「自立支援法廃止と25年8月までに新たな法制定」を目指して作られた部会です。そして、去年の夏にはその新法の骨格提言をまとめました。この骨格提言をお読み頂ければ、自立支援法の改正法ではどうしてダメなのか、の理由がご理解頂けると思います。その事は、僭越ながら私のブログでも何度か書かせて頂きました。(厚生労働省案への意見書、骨格提言というパラダイムシフト) ただ、お忙しい記者の方の為に、簡単にその概要と論点を書かせて頂きます。

1,自立支援法は、入所施設や精神科病院での支援が前提となっている法律です。予算規模でも、入所・入院にかけられている財源は、地域生活支援の倍以上です。これはこれまで我が国が隔離収容を中心とした名残であります。記事では予算がこの10年で倍になった、と書かれていますが、入所施設や精神科病院の予算には上限がない一方、地域で重度の人を支えようとしても、国庫負担基準という予算制約があるため、入院・入所を余儀なくされる人が沢山います。

2,自立支援法では、市町村や障害種別での格差が広がるばかりです。先述の通り、入所施設や精神科病院は他国に比べて数倍用意されている一方、障害がある人の地域生活を支える資源は、三障害の間で、あるいは市町村によって、本当に格差が大きいままです。自立支援法では「地域生活支援事業」という市町村に裁量権を与える事業を組み込みましたが、予算を十分に充当することなく市町村に責任と権限だけを丸投げした為、現場では大混乱が起きています。やる気と財政力ある自治体では、重度障害者のホームヘルパーについて、単独助成を出す等の支援をする一方、財政力が乏しい(平均的な)自治体は、国基準以上の支援が必要な人は「自治体では面倒見切れない(ので、施設に入所してほしい)」と支給決定時に促す事態も散見されます。この国では、「どこで、何の障害を持って暮らすか」で、支援の明暗が分かれる、という実に不幸な事態が続いています。

3,その背後に、法理念が具体的な支援方法に及ぼす影響、というのが挙げられます。自立支援法は「障害は個人の不幸であり、健常者に近づくことが自立」という考え方(これを障害の医学モデルと言います)に基づいた法律です。これは能力主義とも一致し、「○○出来る人は地域生活してもよいが、出来なければ施設入所しかない」という隔離収容の発想とも通底しています。一方で、多くの障害当事者や家族、支援者が求めて来たのは、「障害故に社会参加できない、その社会的障壁を越えるための支援が必要だ」という考え方です(これを障害の社会モデルといいます)。現行の自立支援法は、その人員配置基準なども、第二次世界大戦後すぐに作られた身体障害者福祉法、精神薄弱者福祉法、精神衛生法の延長線上の法律です。その当時は、重度障害者は「入所施設や精神病院に入るのが当たり前」でしたから、そこに重点的な予算配置をし、それ以外にはあまり力を入れない法律でした。現在もその大枠が続いている為、あまりにも現実の実態とは違う、世界的な障害者の地域生活支援のうねりともかけ離れた法律である、と批判されて来たのでした。

4,自立支援法やその改正法は、障害者団体の間でも残念ながら賛成と反対の真っ二つに分かれました。それは「雨漏りしている現行法を手直しすることが障害当事者の今すぐの生活に求められる。新たな法制定は時間がかかるが、障害者は待っていられない」という現状肯定型アプローチと、「そもそも現行法は隔離収容という古い思想に基づいた法体系であり、今の障害者の地域生活支援中心という実態・国際的動向に合致していない。だから、土台から作り直さないと、既に破綻しているし、中長期的な展望が開けない」という現状打開のアプローチの葛藤でした。どちらも一理ありますが、国は前述のように、「雨漏りの補修ではなく、土台から作り直す」という新法制定を約束したのです。骨格提言も、手前味噌な話ですが、土台をどう現実的に作り直したら、20年、50年先も障害者が安心して暮らせる法律になるのか、の柱が示されていました。ただ、こないだの部会で示された厚生労働省案は、その骨格提言の主旨を無視して、依然として「雨漏りの補修案」しか書かれていなかったので、多くの部会構成員が怒りを禁じ得なかったのです。

5,総合福祉部会の骨格提言は、確かに厚生労働省の官僚に主体的に関与して頂く事なく、作り上げました。そのことをさして、「官僚を排除して壮大な内容の提言をまとめても、それを法案にするのは官僚なのである」と書かれています。これは、事実の一部だけを切り取ったものではありませんか? なぜ「官僚を排除」する必要があったのか、についての理解をされておられますか? 社説では千葉の差別禁止条例作りも取り上げられていますね。千葉の場合、社説で書かれているように、堂本知事の政治主導の下で、全く前例のない条例を作り上げる為に、官民が一体となって条例を作り上げました。一方、総合福祉部会の場合、現行法を作り替える、というのがミッションでした。また、社説で書かれているように、総合福祉部会は担当大臣が7人も替わるなど、政治主導とはほど遠い状況でした。その中で、厚労省は「政治主導は形だけであり、どうせ根本的に変えられっこない。その財源も政治家はとってこれないはずだ」と高をくくっていたと思われます。事実、私たちの部会では、厚労省のコメントなどに代表されるように、常に上から目線で、かつ「出来ない言い訳」探しに終始している、内向きな議論でした。「土台を作り替えよう」と呼びかけても、「雨漏りの補修以外には絶対出来ない」と言い張っている人に、同じテーブルの場で議論についてもらえるでしょうか? 確かに部会はその努力をすべきだったかもしれませんが、一方で厚労省からは、去年の8月までに骨格提言を作らなければ法案化は絶対無理だ、と抗弁もされ、十分に厚労省と議論する時間すら与えられていなかったのも、また、事実です。そのような、厚生労働省側の、現行法を頑なに維持し、新法制定に向けた議論を拒もうという姿勢も、取材されましたか?

6,現行法だって密室を脱却した、という評価として、今春から適用される障害福祉サービスの報酬単価を決める議論の過程の公開、も社説で書かれていますね。確かに公開ですが、あの議論と今回の総合福祉部会とでは、公開の意味合いと重みが違うと思いませんか? 報酬単価の議論を過程の公開は、確かに画期的ですが、その主導権は、あくまでも厚労省が握っています。どのような内容を議論し、誰を呼んで話を聞くのか、の論点整理権と人事権は厚労省が握っています。つまり、決定権はあくまでも官僚が握っている訳です。その中では、漸進的な変化はあっても、あくまでも「所与の前提」の中での変化です。一方、総合福祉部会だってその議論の過程を公開していますが、この人事権と論点整理権を厚労省が握らず、内閣府の障害者制度改革推進会議の担当室が担ったことにより、部会三役が、厚労省の主導に屈することなく、部会員の考える骨格をまとめる事が出来ました。だからこそ、現行法(=「所与の前提」)に縛られない、画期的な案を出すことが出来た訳です。確かに一部、出過ぎた部分もあるかもしれませんが、その部分のみを捕まえて、「壮大な内容だ」というのは、議論を重ねてきた55人の委員会全体に対して、あまりの表面的批判ではありませんか? 

7,この社説は「批判するだけでいいのか。障害者福祉の行方を大局観にたって考えてはどうだろう」と書かれています。では、お尋ねしたいのですが、大局観とは、詰まるところ、官僚主導による現行法の固守(=雨漏りの補修)のみでよい、ということなのでしょうか? 官僚主導の逆機能を跳ね返す、総合福祉部会の骨格提言を簡単になおざりにすることも、「大局観」からみたら、仕方ない、ということなのでしょうか? であれば、20年後、50年後に今の自立支援法が本当に持つ、とお考えなのでしょうか? いずれは介護保険法に吸収合併されるのも仕方ない、という「大局観」なのでしょうか? そして、この介護保険法への吸収合併こそ、障害当事者が、その支援の内容や質がなおざりにされる可能性がある、として拒み続けてきたものであり、上述の基本合意文章でも「現行の介護保険法との統合を前提としない新法を作る」と約束されていることを、ご承知でしょうか?
(後略)

ああ、しっかり勉強して賢くならんと!!

もひとつ、地方紙を追加。
■社説 障害者総合福祉法 提言の無視は許されぬ (神奈川新聞社 2012年2月16日)
http://news.kanaloco.jp/​editorial/article/​1202160001/

 現行の障害者自立支援法を廃止し、2013年8月までに施行する目標の「障害者総合福祉法」(仮称)について、内閣府の諮問機関「障がい者制度改革推進会議」の総合福祉部会に厚生労働省案が示された。

 法案の方向性を示す概要だが、昨夏に同部会がまとめた骨格提言をほとんど無視した内容ともいえよう。部会の委員や障害者団体は強く反発しており、徹底した再検討が必要だ。

 厚労省案は、わずか4ページの簡略な中身だ。例えばサービス支給について、骨格提言は障害程度区分に代わる新たな支給決定の仕組みを求めた。これに対し、同省案は「法の施行後5年を目途に、障害程度区分の在り方について検討を行い、必要な措置を講じることとする規定を設ける」とした。現行の障害程度区分を維持したまま、部分修正のみ検討するという姿勢だ。

 新法制定ではなく、障害者自立支援法の一部改正にとどめようとする同省の姿勢が表れている。

 佐藤久夫部会長の整理では、骨格提言の内容60項目のうち、同省案で全く触れられていない事項が48項目にも上った。検討されているが、その内容が不明確なのは9項目。不十分ながら骨格提言を取り入れている事項は3項目にすぎなかった。

 委員からは「骨格提言を無視した内容であり、到底認めることはできない」「(国と障害者自立支援法訴訟原告との間で結ばれた)基本合意に反する。国は詐欺を働くのか」などの激しい反発の声が上がったという。

 骨格提言は、障害者、関係団体の代表らが一堂に会し、18回もの会合を重ねた末に一定の共通見解に達した歴史的な文書だ。

 障害者の地位を保護の客体から権利の主体へと転換し、障害者権利条約の精神を実現させるものだ。提言に基づく新法は、障害者福祉を大きく前進させるものとして期待されていた。

 厳しい財政状況下で、具体的なサービス支給には柔軟な対応もやむを得ないだろう。しかし、骨格提言が示した障害者の権利の在り方、制度の骨組みの具体化を法案で目指さなければ、部会を設置した意味がなくなる。

 障害者らは裏切られた思いだろう。深刻な不信感、政治・行政との亀裂は、今後に禍根を残す。政府与党は骨格提言に基づく制度づくり、工程表作成に真剣に取り組むべきだ。




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2012.02.16 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・障害者総合福祉法制定へ

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軟弱オヤジの「硬派道場」へ、ようこそ。障害者作業所所長やってます。福祉や政治、日々の思いを気ままに…。
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