NO.2569 過労自殺、就活自殺…、「労働が人間を殺す」時代と障害者
あまりにも問題が広く深くて、どこから始めたらいいものやら・・・。
散文的になるのは覚悟で・・・。
私達が今の作業所を開所したのがちょうど20年前のことでした。
それまで13年間ほかの施設で働きながら、知的障害の仲間たちが「労働」を通じてコトバや自己表現が豊かになったり、様々な社会性を身につけていく姿に学び、「みんなといっしょに働き、社会に参加すること」=「労働」こそが、青年・成人期障害者の成長と発達の源泉であるという確信を深め、それを保障する作業所を作ろう、と始めたことでした。
設立趣意書の中に以下のように書きました。
5)、本来、人類の発生史からしても、「労働」こそがまさに「人間発達の源泉」でした。労働こそが社会的富を生み出すだけでなく、その主体=人間そのものの発達を保障してきたと言えます。
しかし、今日では「労働の産物」から疎外されるだけ出なく、命までも疎外される、労働が人を殺す(過労死)時代になって来ています。
そうした時代にあり、障害を持つ仲間たちの、働き社会参加を目指すなかでのたくましい成長は、人間にとって働くことの意味を改めて問うことになるでしょう。
人間らしく生きて働く(このすこぶる今日的なテーマ!)。
より自由に、より個性的に個々人が全面発達への取り組みを展開するという、ささやかな実践の試みが私たちの目指すところとなるでしょう。
■NO.93 心に届いて欲しい・・・・陶友の歴史(4)
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-94.html

障害のある仲間たちは、下手な商売人ながらリヤカーを引いて地域を周り豆腐などを売って、オバちゃんたちに喜ばれ、それを力に少しづつ成長しています。
過労死とか、働ことで殺されたり、就活自殺とか、働きに行く道すがら殺されることが社会問題になっています。障がい者作業所の課題は、ひとり障害者のみならず広く人間的労働を取り戻す課題であり、広く働く人々と手をつなぐことが今日ますます求められていると思います。
さて私ごとですが、(ファイスブックからの転載です)
四女から交換ノートのリクエストがありました!
最近親子の会話がないから言葉にできないことを書いてね、だって!
心持ちの変化は感じていたが・・・、こう来たか!!
心が外に開いていってます・・・( ´ ▽ ` )ノ
ちなみに四女はもうすぐ二十歳、軽度知的障害でスーパーで働き出して2年目。
職場の人間関係に悩んできましたが、今度のチーフとはうまくやっていけそうだという希望が心を開かせたようです・・・
交換ノートって、おっかあとの恋人時代が初めてで、そのあと新採用の若い職員達と・・・、久しぶりでワクワク(^_^;)
交換ノート巻頭。
俺って親バカむき出しだけど、障害のある若者、娘のリアルな心情を多くの人にも知って欲しくて・・・友達に公開です。
はたから見れば些細なことでも本人にとっては重大問題なのですね。
特に職場での人間関係に対応するのは知的障害にはとても難しいことなのです。目に見えない情報を瞬時に判断し事態に適応しなければならないのですから・・・、抽象的な脳の働きが苦手なのですから。
作業所でもそうですが、特に娘が働きだしてからの成長を見ながら、働くことってことほど左様に誇りであり成長の源泉だという思いを深めています。
翻って、今日の日本で「働く」ということはどういうことになっているのか?
最近の「就活自殺」に関する新聞記事が関心を呼んでいます。
就職活動の失敗を苦に自殺する10~20歳代の若者が、急増している。(2012年5月8日15時25分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120508-OYT1T00690.htm?from=fb 2007年から自殺原因を分析する警察庁によると、昨年は大学生など150人が就活の悩みで自殺しており、07年の2・5倍に増えた。
警察庁は、06年の自殺対策基本法施行を受け、翌07年から自殺者の原因を遺書や生前のメモなどから詳しく分析。10~20歳代の自殺者で就活が原因と見なされたケースは、07年は60人だったが、08年には91人に急増。毎年、男性が8~9割を占め、昨年は、特に学生が52人と07年の3・2倍に増えた。
背景には雇用情勢の悪化がある。厚生労働省によると、大学生の就職率は08年4月には96・9%。同9月のリーマンショックを経て、翌09年4月には95・7%へ低下。東日本大震災の影響を受けた昨年4月、過去最低の91・0%へ落ち込んだ。

日本は年間の自殺者が14年連続で3万人超という国になっており、最近の特徴は若者の自殺が増えていることです。この16年間20~24歳はで2.1倍と25~29歳は1.94倍、合わせて20代はちょうど倍増しています。
2009年の39歳以下の自殺者数は、8,829人で、1時間に1人以上の若者自殺でが亡くなっているそうです。

失業率の増加と自殺率の増加は明らかな相関関係があり、「働く」ことが問題になっています。
「仕事に殺される」・・・、つまり勤務問題が原因の自殺が増えており、なかでも、「仕事に殺される」若者がこの6年間に5倍になり、若者に顕著だと。


2009年度の労災申請を見ると、他の年齢層よりも若者の中で過労自殺が極端に多いのが分かります。

そんな中で、働きに行く道すがら自殺せざるを得ない若者が増えているという。
報道のように「就活自殺」は、「07年は60人だったが、08年には91人に急増。毎年、男性が8~9割を占め、昨年は、特に学生が52人と07年の3・2倍に増えた」という。
また、就活中の学生の七人に一人がうつ状態になるという調査もあるそうだ。


・・・恥ずかしながら予想通り散文的に状況を見ただけで、しかも他人の褌を借りて(グラフはほとんどスクラムさんのをお借りしました)。
いずれにしても、働く事が出来ない、働くことへの見通し、働いて生きることへの見通しが暗い、ない・・・、人間存在の基本にかかわることが危機的状況にある今日の日本社会です。
改めて、障害のある仲間たちの労働の取り組みも、広い視野で連帯しながら取り組まねばなりません。初心に返れってことでしょうか。
関西大学・森岡孝二教授は次のようにかあっています。
「就活自殺の特効薬は、労働者の過重労働をなくし、雇用を増やすことです。日本企業で常態化しているサービス残業をなくせば、四〇〇万人の雇用創出ができるという試算もあります。雇用を増やせば学生の働き先も増え、選択肢が広がり、就活も改善されます。」
・・・ぜひ労働・経済問題の専門家の以下のサイトを参照ください。
参考:
■すくらむ:若者が自殺で1時間に1人亡くなる日本-仕事に殺される20代はこの6年で5倍増
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11109208657.html
■すくらむ:就活自殺3倍増・学生自殺初の千人超・仕事に殺される人2割増・政府自ら若者の雇用閉ざす新採抑制
http://ameblo.jp/kokkoippan/entry-11188534231.html
■民医連新聞2012年3月5日/1519号
激増する「就活自殺」その背景には~関西大学・森岡孝二教授に聞く
http://www.min-iren.gr.jp/syuppan/shinbun/2012/1519/1519-04.html
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2012.05.10 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・社会評論Ⅲ
