NO.2570 高速バス事故に見る市場経済の「神話」、真犯人は、構造改革・規制緩和路線の新自由主義者小泉・竹中だ!
規制緩和による自由な市場がいい商品を生み出すなんて「神話」ですね!
その「神話」は、不幸な高速バス事故によって見事に崩壊しました。あたかも、「原発安全神話」が福島第一原発の事故で証明されたかのように・・・。
群馬県の関越自動車道で7人が死亡した高速ツアーバス事故は、「ルールなき資本主義」の非人間的な姿を象徴的に暴いた不幸な事故でした。
下のコピーは東京新聞5月110日付「本音のコラム」です。
法政大学の竹田茂生教授がコンパクトに問題の本質を指摘しています。
(クリックで拡大表示できます)
規制緩和論者は言った。
交通、運輸、建築などの安全性の規制を緩めても事故にはならない。
危ない商売をすれば売れないから、そんな業者は早晩淘汰される。
だから、政府が規制を外し、業者の自己規制に任せればよい、と。
しかし、現実はどうだ。
規制緩和の究極の姿をアメリカに見ることができる。
そこでは社会的インフラ、国民医療、教育、監獄、軍事の公共サービス分野が企業の利潤追求の場になっている。
(余談、いや、関連してですが、TPPの行き着く先でもありますね)
危ないバス会社は評判を落とし自然淘汰される、市場メカニズムを通して安全も確保されると言う新自由主義経済の「神話」は、不幸な事故によって見事に崩壊した。あたかも、「原発安全神話」が福島第一原発の事故で証明されたかのように・・・。
社会ダーウィニズム
私はここで小泉元総理が就任した時の施政方針演説を思い起こします。
ダーウィンの進化論を引きながら、「競争こそが人間の本性であり、優勝劣敗だ」と言ったものでした。
規制を取っ払い自由な競争をする。優秀な企業、個人が生き残り豊かな社会が実現される。そこで劣った産業や個人が淘汰されるのが「発展」なのだ。こうしてこそ、人類も社会も進歩と豊かさを手に入れる、・・・と。
これこそが、中曽根に始まり小泉構造改革でその露骨な姿を表した新自由主義の思想そのものではないでしょうか。
NHK・クローズアップ現代「高速ツアーバスに何が」がいい特集をしていました。
参照:NHK・クローズアップ現代「高速ツアーバスに何が」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
いくつか拾い出しておきます。
<ナレーション> 先月29日、関越自動車道で高速ツアーバスの衝突事故が起きました。原因は運転手の居眠り。7人の命が奪われ、39人が重軽傷を負いました。バスを運転していたのは、法律では禁止されている日雇いのドライバー。安全教育や健康管理は行われていませんでした。
<ナレーション> 急成長を遂げた高速バス業界。激しい価格競争の中で、安い賃金で雇える日雇いのドライバーが横行。夜間も1人で運転することが常態化していたのです。国は業界の実態に問題があることを知りつつも、根本的な対策を打てていませんでした。
国谷:乗客7人が亡くなったバスを運転していた河野化山容疑者は、疲れていて居眠りをしてしまったと供述しています。高速バスを走らせるバス会社には安全管理上の義務があり、1回ごとに運転を依頼する「日雇い」で運転手を雇うことは法律で禁じられていますが、河野容疑者は日雇いで雇われていました.
国谷:そして事故後行われた特別監査で、このバス会社がこのほか30以上の法令違反を犯していたことも明らかになっています。2000年に行われた規制緩和以降貸切のバス業者が急激に増え、夜間・長距離を走る高速バスが急成長しました。
国谷:そして競争激化でバス料金の低下が進む中で、利用者の数は平成17年の21万人から平成22年の600万人へと急増したのです。こうしたなかで人件費が削られバスの運転手が厳しい勤務状況で働いていて、安全がおろそかにされているのではないか。高速バスの監督強化を求める声が高まったのです
バス会社・社長:やっぱりね常時雇うというのは、よほどの売り上げがないと無理ですよ。結局はもう従業員を経費をかけないようにするには、どういうふうにするかになっちゃうんですよね。
<ナレーション> バス会社が人件費を切り詰める背景には、厳しい価格競争があります。平成10年度には2100あまりだった貸切バスの会社は、平成12年の規制緩和以降急増。平成22年度には4500社近くに上り2倍に増えました。価格をギリギリまで下げようとする高速ツアーバス業界。
バス会社・社長:仕事量を増やすには、価格を下げるしかないんですよ。うちが安全を守れない。バスの今回の関越の事故についてね、これはもう他人事じゃないですよ、はっきり言って。明日は我が身というのを絶えず考えている。
日雇い運転手:(バス会社は)ただ来てくれて、その仕事をこなしてくれると、それでOK。本職は何をしてようが、全然関知してないですね。体調が悪かったときとか、実際僕も居眠り運転はしてるんですよ。「もうどんなことがあっても夜行バスには乗るな」と身内にはよく言ってましたね。
そこで、総括的な話しに持っていきたいとやばってん・・・。
例によって他人のふんどしで!
FB友達がこげん言うとります!
・・・そう、彼女は国土交通賞労働組合の書記さんです。規制緩和のために価格競争が起こった結果が、今度のバスツアーの事故です。
切り詰めるところは、究極的に人件費に絞られ、安全・安心がないがしろにされます。
今回のことで、バス会社に対する監査を厳しくしろという意見がマスコミでも出始めていますが、
その監査をするべき公務員が削られているのです。
公務員を減らせというその口、矛盾していませんか?
紹介していただいた国土交通省労働組合の、書記長談話を転載しておきます。
支持します!行き過ぎた規制緩和の見直しと安全・安心を守る国土交通行政の拡充を求める談話
~関越道ツアーバス事故にあたって~
2012年5月9日 国土交通労働組合書記長 笠松 鉄兵
去る4月29日午前4時40分頃に関越自動車道において発生した夜行高速ツアーバス事故は、乗客7名が死亡、乗員を含めて39名が重軽傷を負うという、かつてない痛ましい事故となりました。
国土交通労働組合は、亡くなられた方々のご冥福と負傷された方々の一日も早い回復を心よりお祈り申し上げるとともに、事故原因の徹底した究明と、再発防止に向けた対策を政府及び関係機関などに対し、強く求めるものです。
今回の事故にあたっては、多くの報道機関が指摘しているように、背景には行き過ぎた規制緩和により貸し切りバス事業者の過当競争が激化し、運賃・料金のダンピングが横行、これによる運転者(労働者)の労働条件の著しい悪化と事業者の法令遵守の欠如等が招いた結果であると考えます。こうした政策を推し進めてきた政府及び監督官庁である国土交通省、厚生労働省などの責任はきわめて重大です。
さらに言えば、こうした規制緩和は、貸し切りバスに限らず、タクシー、トラック、航空など、すべての交通運輸分野において導入されており、国民が安全・安心に移動する権利(交通権)を保証する観点からも、政府及び監督官庁は早急に必要な見直しを含めた対策を講ずるべきです。
一方、報道では貸し切りバス事業者への監査体制の強化を求める声もあがっていますが、政府は総人件費削減の名のもとで、国家公務員の大幅削減や新規採用の抑制、地方出先機関の廃止や独立行政法人の見直しなどを強力に推し進めようとしており、これらのことは事故の再発防止の観点からいっても、これに逆行する愚策だと言わざるを得ません。
私たちは、これまで、こうした政府の政策が、国民の安全・安心を脅かすものであることから、交通運輸の職場で働く民間の労働者と共闘してこれに強く反対するとともに、国民の安全・安心を守る国土交通行政の拡充を求めてきました。
しかし、政府は私たちの声を無視し、財界やアメリカの意向に沿って国民犠牲の「構造改革」を進めるなかで、規制緩和や公務・公共サービスの切り捨てをよりいっそう強力に推し進めようとしています。
私たちは、二度とこのような悲惨な事故を起こさないためにも、行き過ぎた規制緩和の見直しと、国民の安全・安心を守る国土交通行政の拡充を求め、交通運輸労働者はもとより、利用者である国民のみなさんと共同し、ともにたたかいぬく決意です。
以上
悲惨な事故を引き起こした新自由主義政策=「ルールなき資本主義」の背景とあわせて、公共部門で働く公務員の役割と公務員バッシングについても、ともに考えてほしいと思います。
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2012.05.10 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・ルールある経済社会を
