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NO.2605 生活保護問題まとめ 生活保護を扶養義務者の責任に帰すれば、これは「再分配の家族化」であり社会保障とは程遠い「自助・共助」の世界である。

 きょうで5月も終わりですね。
・・・にわかに注目を集める生活保護問題。
やつらの思惑を徹底して打ち砕かなけばなりません。
(ここにこの間の資料をまとめておきます)  

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 生活保護を扶養義務者の責任に帰すれば、これは「家族内再分配」「再分配の家族化」であり社会保障とは程遠い「自助・共助」の世界にほかなりません。これは「新型自己責任論」「日本型自己責任論」とも呼ばれています。

 この間の一連の流れ
 4月9日には自民党の「生活保護に関するプロジェクトチーム」が次の政策を打ち出しました。
①生活保護給付水準の10%引き下げ、
②自治体による医療機関の指定、重複処方の厳格なチェック、ジェネリック薬の使用義務の法制化などによる医療費の抑制、
③食費や被服費などの生活扶助、住宅扶助、教育扶助等の現物給付化、
④稼働層を対象とした生活保護期間「有期制」の導入など、
 これらは、憲法25条に基づき住民の生存権を保障する最後のセイフティーネットとしての生活保護制度を確立するという視点を全く欠いたもので、ただただ財政抑制のみが目的の施策である。
 
 そして、河本さんの問題を週刊誌が取り上げ、これきっかけにメディア検証なし、検討違いのバッシングキャンペーンを張り、政治の舞台では自民党PTの世耕弘成議員と片山さつき議員が利用し、自民の上記の生活保護切捨て政策を迫る。
 これに呼応した小宮山厚生労働大臣が保護費の切り下げや扶養照会など生活保護法の改悪に言及する・・・。

 まさに「税と社会保障の一体改悪」と連動した出来レースとしか言いようのない経過です。


 昨日(5月30日14時30分から)生活保護問題対策全国会議主催の緊急記者会見が行われました。
なんと!これだけ問題になりながらテレビカメラは一台も入っていなかったそうです。この間の報道が如何に無責任で作為的なものであったかを証明するようなものです。


2012年05月30日生活保護問題対策全国会議主催緊急会見_1


2012年05月30日生活保護問題対策全国会議主催緊急会見_2


以下報道から。

申請の足遠のく恐れ
全国会議緊急会見「生活保護たたき」批判
しんぶん赤旗 2012年5月31日(木)

生活保護問題対策全国会議は30日、東京都内で、お笑いタレントの母親の生活保護受給報道により生活保護制度批判が強まっている問題について、緊急会見を開きました。

 NPO自立生活サポートセンターもやいの稲葉剛代表理事は「政治的な動きが絡んでいる」と批判。自民党が給付水準の10%引き下げなどを含む生活保護政策を4月に発表し、小宮山洋子厚労相が自民党の提起を踏まえての給付額引き下げや扶養義務強化の検討の意向を示していることにふれました。「この動きが強化されれば、ますます申請の足が遠ざかり、命を落とす人が出る」と問題を指摘しました。

 全国生活保護裁判連絡会の林治弁護士は、現行の生活保護制度では扶養義務者の扶養は保護利用の要件ではなく、民法が示す3親等内の親族の扶養義務を負うのは極めて例外的な場合だ、とのべました。

 生活保護を受給している50代後半の男性は報道について、「生活保護を受給しつつ仕事を探している人たちが、精神的に追い詰められている。後ろめたさをおぼえ命を絶つ人が増えるのでは、と危ぐする」と話しました。

 40代の女性は夫の暴力から避難した後、生活保護申請に伴う扶養照会によって夫に自身の居所が知られてしまった体験を語りました。「いまでも申請の際に、資産状況などの厳しい調査を受けている。扶養義務が強化されれば、生活保護申請が難しくなる」と訴えました。


貧困を家族の責任にする生活保護バッシングは新型の「日本型自己責任論」 (すくらむブログ) 

以下、緊急記者会見での発言要旨を紹介します。

 ▼NPO法人自立生活サポートセンターもやい代表・稲葉剛さん
 「新型自己責任論」「日本型自己責任論」が作られつつある


 生活保護バッシングでメディアが騒ぎ、自民党が取り上げて、政府がそれに乗っかっていくという恐ろしい状況になりつつあります。

 大阪維新の会が発達障害というのは家庭で予防できるのだという条例案を出して撤回したという問題がありましたが、私はこれらは一連の動きではないかと見ています。ひとことで言うと「新型自己責任論」「日本型自己責任論」とでも言うべきものが意図的に作られつつあるのではないでしょうか。

 私たちはこの間、「貧困は自己責任ではない」「貧困は社会の問題である」「貧困を生み出す社会を変えて貧困問題を解決していく必要がある」とずっと訴えてきて、ある程度そのメッセージほ伝わって広がってきたと思っています。貧困状態にある人に対して、「自分ひとりの努力で頑張ればいい」「ひとりで頑張ればなんとかなる」という人は今でもいますが少なくなってきたと思います。ただその変わりに「家族で支え合いなさい」という言説があちこちで出て来ているのが今の状況なのではないでしょうか。

 ▼元日本テレビ解説委員、法政大学教授・水島宏明さん
  テレビ報道は取材者側の偏見と差別に満ちたもの


 一連のテレビ報道は、取材者側の偏見に満ちたものになっています。河本準一さんの記者会見で、レポーターが「恥ずかしくないのですか?」という質問をし、「生活保護は恥ずかしいものだ」というメッセ―ジを国民に伝え、それを制作者側は差別的な発言であるという意識さえ持っていません。そして、連日、生活保護問題を報道しているのに、この会場に、テレビカメラが1台もないこと自体、今のテレビ局の抱える問題を象徴しています。

 ▼弁護士・林治さん
  生活保護バッシングは「餓死者」を増やすことに


 今でさえ、自分が生活保護を申請したことで親や兄弟に迷惑にかけるのではないかと躊躇する人がいる中で、今回のバッシングでさらに躊躇する人が増えることになります。現時点でも扶養紹介があるから生活保護を申請したくないという人がいる中で、それを一層強化することになればまさに「餓死者」を生み出すことになりかねません。



 あらためて、しんぶん赤旗 2012年5月29日(火)が、問題を簡潔にまとめています。

主張
生活保護たたき
生存権奪う“便乗改悪”やめよ


 お笑いタレントの実家の母親が生活保護を受給していたことを自民党議員や一部メディアが問題視したことをきっかけに、政府が生活保護制度の改悪を加速させようとしています。以前から狙っていた生活保護費の大幅削減を、今回の問題に便乗してすすめようという政府・与党と自民党の姿勢はきわめて悪質です。国民の命と暮らしを救うための「最後の安全網」である生活保護制度をこんな乱暴なやり方で破壊することは絶対に許されません。

特殊な事例を口実に
 今回のタレントの場合は、自民党議員が「不正受給」と指摘するような法律違反はありません。

 14~15年前、母親が病気で働くことができなくなり、息子も当時の収入では扶養できなかったため受給が認められました。収入が増えてから一定額の仕送りもしていました。いずれも福祉事務所と相談しながら行ってきたものです。

 民法は、祖父母、父母、子、孫など直系血族と兄弟姉妹に扶養義務を定めていますが、成人になった子の親への扶養義務は、無理のない範囲で行うというものです。扶養内容や範囲は、当事者同士が実情に応じて話し合いで決めるのが普通です。

 現在も生活保護申請の際、申請を受けた福祉事務所は扶養義務のある親族に扶養意思の有無を確認しています。このため親族に生活保護を申請したことを知られるのを嫌がり、申請しない人が少なくありません。そもそも生活保護が必要な人たちの親族には、扶養できる経済力のある人がほとんどいないのが現場の実態です。

 小宮山洋子厚労相が、扶養できないことの「証明義務」を生活保護受給の事実上の条件にする法改定の検討を表明したことは重大です。こんな条件をつければ、保護が必要な人がますます申請をためらい排除されます。かりに無理に扶養をしたとしても、扶養される側もする側も「共倒れ」になる危険もあるものです。

 人気が出てきたタレントの親の扶養という非常に特殊なケースは、あくまで道義的な問題であり、制度の欠陥ではありません。問題をすりかえて改悪の口実にするのは邪道というほかありません。

 いま生活保護制度で重要なことは、必要な人に手が届いていないことです。全国各地で実際に起きていることは、生活が困窮している人に対して「まだ働けるでしょう」などと申請すら受け付けない事態なのです。

 今年1月に判明した札幌市白石区の姉妹「孤立死」では、姉が生活保護の相談のために市の窓口を3度も訪問していたのに、申請させなかったことによって引き起こされた悲劇です。ますます制度から締め出す改悪は「孤独死」を激増させることになります。

必要な人に届くよう
 生活保護受給者が209万人へ増加したのは雇用破壊と貧困の拡大によるものです。生活保護を受ける資格のある生活水準の人が実際に受給している割合は、欧州諸国7―8割に比べ日本はわずか1―2割です。この改善が求められます。日本はいま病気や失業すれば誰もが一気に無収入になりかねない「滑り台」社会です。憲法25条で保障された生存権を破壊する改悪は中止し、生活を保障する機能を強めることが急務です。


 関連する過去ログも、よろしければ。

NO.2587 河本よ、なぜ頭を下げた?「俺は悪くない!生活保護は権利だ!」と言ってみな。

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NO.2602 “個”や“尊厳”が原点 緊急声明 ―生活保護をめぐる世論に問題あり― 障害連が緊急声明

NO,2162 生活保護・・・最多、最多というけれど。

NO.1688 「人間裁判」朝日訴訟50周年

NO.1621 生活保護以下の低所得世帯 厚労省推計(メモ)

 次は必読!専門的な視点からの問題の整理を「生活保護問題対策全国会議のブログ」から。

生活保護制度に関する冷静な報道と議論を求める緊急声明

扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために

利用者数の増加ではなく貧困の拡大が問題である~「生活保護利用者過去最多」に当たっての見解~

市民生活の岩盤である生活保護基準の引下げに反対する意見書
~低きに合わせるのは本末転倒!~



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2012.05.31 | | Comments(0) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅱ

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