NO.2686 「障害者の要望をどのように客観化して、障害程度を判断し、支援内容、時間を決めているか?」・・・デンマークに学べ。
日本障害者協議会理事の薗部 英夫さんが、2012年「すべての人の社会」7月号に書いています。
福祉先進国デンマークと日本の違い。
日本ではおおよそ障害のある仲間たちの実態とはかけ離れた「障害程度区分判定」というものがあり、それによって、受けられる支援が決められている。
ところが、デンマークでは「査定のシステムはない。施設を利用していれば、そこで何が必要か、何が提供できるかを職員と施設長が決める。在宅ならば、支援の必要な時間を市が決める。問題は支援するスタッフの数だ」・・・だそうだ。
私は日ごろからからいつも言ってるのですが、
「福祉現場の専門性を高め、現場の裁量に任せる。園に現実的に必要な支援を組み立てる。行政はその財政的な責任を持つ」べきだと。
ところが、日本の場合お上が施策や支援の枠組を決め、そのなかに障害者をはめ込んでいく。だから、現場で必要な人に必要な支援が届かない。
お上の動機は、決して障害者のためなどではなく、「財政削減=障害福祉予算を減らす」にあるのだ。
その例はここにも書きました。
■NO.2682 この馬鹿げた自立支援法が仲間の願いを阻む・・・。
デンマークのことを、ぜひ参考に読んでください。
巻頭言 発想を変えたい
NPO法人日本障害者協議会理事・情報通信委員長 薗部 英夫
ソノボーはドイツ国境に近い北欧・デンマークの人口7万人の田舎町。「障害者の要望をどのように客観化して、障害程度を判断し、支援内容、時間を決めているか?」「現場担当者の権限は?」。答えを現場で確認するのが冬の旅のミッションの一つだった。
参加者には自立支援法訴訟原告補佐人の新井たかねさんもいる。区分認定の調査では涙がこぼれたそうだ。「娘のできること、願いや希望を積み上げてきたこれまでの歩みに対して、この法律は、"できないこと"を積み上げ、生きる希望を絶ってしまうものに思えました」。
スティンは、施設長をつとめる重い障害のある子どもたちの様子を熱心に語ってくれていた。
先の事前質問をぶつけた。
「査定のシステムはない。施設を利用していれば、そこで何が必要か、何が提供できるかを職員と施設長が決める。在宅ならば、支援の必要な時間を市が決める。問題は支援するスタッフの数だ」「一番最初は、誰が・必要度を・判断する・のか?」「出生直後に障害があるとわかれば、"親への支援が必要" など市に連絡が入る。保育所などの場でも困難なことはわかる」「障害者がサービスが欲しいとき、担当者は、どうジャッジするのか? そのシステムはどういうものなのか?!」「福祉機器なら、PTがどういうものが必要か判断し、機器は業者が届け、費用は自治体が払う」「一人で生活ができなければ、公は生活ができるよう補助すると法が定めている。それだけなのです」
質問と答えのズレを帰国後も悶々と考えていた。ある日、ハッと思った。発想が違う。考え方が根本的に違うんだ!日本は何が「できないか」が問題で、それによって「してやる」。だから"自己負担"論につながる。デンマークは、「必要なことは何か(ニーズ)」が真っ先にある。同年齢の市民と同じスタートラインに立てるためには、ニーズに対してどんな支援ができるか。自治体はそれを行う責任がある。これは障害者団体が一つになってまとめあげた「骨格提言」が示した方向だ。
発想を変えよう。
今年の冬の旅で感じ、半年後、理不尽な名ばかり新法の可決・成立を国会前で目撃しながら決意している。
ポチポチッと応援よろしく。
↓ ↓


- 関連記事
-
- NO.2956 「どうぞ選挙権を行使して社会に参加してください。 堂々と胸を張って、いい人生を生きてください」 被後見人の選挙権を奪う不当な公選法を断罪。 (2013/03/16)
- NO.2441 黙っていることは容認するということです。「あなたならどうする? ~スーパーの障害者差別~ 」 (2013/03/01)
- NO.2433 「白杖(はくじょう)シグナル」ってご存知ですか? (2013/02/23)
- NO.2699 負けずに胸を張って生きていきましょう。「障害に対する差別と偏見にもとづく大阪地裁判決に対する抗議声明 」 (2012/08/25)
- NO.2686 「障害者の要望をどのように客観化して、障害程度を判断し、支援内容、時間を決めているか?」・・・デンマークに学べ。 (2012/07/31)
- NO.2194 「障害を乗り越えた」「明るい障害者」?・・・障害と環境を考える。 (2012/01/19)
- NO.2177 障害者福祉は黒字?バカ言ってんじゃないよ!! (2011/12/24)
- NO.2112 戦争とともに障害者が消えた? (2011/08/02)
- NO.1866 「きょうされん全国大会inふくおか」・・・尊厳を私たちの手に (2010/10/25)
2012.07.31 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・障害者福祉いろいろ
