NO.2706 『週刊朝日』(10月26日号)GJ! 志位和夫共産党委員長が教える「領土紛争」の正しい解決法 / 共産党の領土・領有権問題に対する見解を紹介
ネットに全文があったので転載しておきます。
非常にわかりやすい。
政治的な立場が違っても、その正論は広く支持を得てきていますね。
是非お読みいただき参考にしてください。
『週刊朝日』10月26日号、いい仕事してますね。
「志位和夫共産党委員長が教える『領土紛争』の正しい解決法」
志位和夫共産党委員長が教える「領土紛争」の正しい解決法
共産主義者にとって「正しい」ことは極めて重要である。外交や国境紛争でもそれは同じ。共産党の志位和夫委員長(58)は、尖閣諸島を巡って「領土問題は存在しない」と繰り返すだけの日本政府の姿勢を「だらしない」と一蹴し、解決に向けた要諦を説いてみせる。右派もうならせる、その「正論」を聞いた。
──中国の監視船が尖閣諸島周辺の日本の領海に侵入するなど、緊張は依然続いています。
現在の日中間の緊張と対立は非常に深刻で、1972年の国交正常化以降、最悪の状況だと思います。双方が物理的対応を強化し、軍事的対応へとエスカレートしていくことだけは絶対に避けないといけない。どうすれば冷静な外交交渉による解決の道が開かれるか。知恵の絞りどころです。
──志位さんが9月に政府に出した尖閣問題に関する提言や、ニコニコ動画で領土問題について語った内容がインターネット上で大きな話題になり、〈自分は共産党支持ではないが見直した〉〈中国寄りだと思っていたけど思想は思想、事実は事実として明快〉など、書き込みが相次いでいます。
日本政府は国民に何も説明していませんからね。私たちは日本の尖閣諸島領有は、歴史的にも国際法上も正当という見解を突っ込んで明らかにしています。
──実効支配しているからですか。
それだけではない(笑い)。根拠は、三つあります。
第一に、日本は1895年1月に尖閣諸島の領有を宣言しましたが、これは、「無主(むしゅ)の地」の「先占(せんせん)」──それまで持ち主がいなかった土地を先に占有する、国際法上まったく正当な行為でした。中国側は明代や清代から固有の領土だったと主張しますが、国家として実効支配していたことを証明する記録は一つも示し得ていません。
第二に、中国側は1895年から1970年までの75年間、日本の領有に対して一度も異議や抗議を表明していません。相手国による占有の事実を知りながら反対の意思表示をしなかった場合は、相手国の領有を黙認したとみなされる。これは国際法上、確立している法理です。これが中国側の最大の弱点ですが、有効な反論はできていません。
第三は、日清戦争(1894~95年)に乗じて日本が不当に尖閣諸島を奪った、という中国側の主張です。私たちは、日清戦争の講和条約である下関条約や、それにかかわる交渉記録を精査しましたが、日清戦争によって日本が不当に奪ったのは「台湾とその付属島嶼(とうしょ)」および「澎(ほうこ)湖列島」で、尖閣諸島は含まれていません。中国側の主張は成り立たないのです。
──野田佳彦首相は「尖閣諸島がわが国固有の領土であることは明々白々」(9月の国連総会後の記者会見)と言うだけで、志位さんのように具体的な根拠は説明しません。なぜですか。
歴代政権の対応に重大な問題点があります。
日本政府は1972年の日中国交正常化と78年の日中平和友好条約締結の際に、尖閣問題を事実上「棚上げ」しました。
公表された議事録を見ると、72年の首脳会談では、当時の田中角栄首相が「尖閣諸島についてどう思うか」と持ちかけ、周恩来首相は「今これを話すのはよくない」と答え、双方でこの問題を「棚上げ」するという事実上の合意が交わされました。78年には中国のトウ(登におおざと)小平副首相が「尖閣は20年も30年も放っておこう」と述べ、園田直(すなお)外相は「もうそれ以上言わないでください」と応じた。
本来なら日本政府は、国交正常化や平和友好条約締結の際に、尖閣領有の正当性を理を尽くして主張すべきでした。「棚上げ」という対応は、だらしない外交態度だったと言わざるをえません。
──問題を「棚上げ」することは、問題の存在を認めたことになりませんか。
そのとおりです。にもかかわらず、その後、日本政府は、「領土問題は存在しない」という態度を、棒をのんだように続けてきました。その結果、日本は領有の正当性を理を尽くして主張できず、中国側に反論もできず、自縄自縛に陥っている。この態度は一見「強い」ように見えても、日本の外交を弱くしています。実際、外交戦では、日本は完全に押し負けている状況ですよ。
──歴代政権は、なぜこの問題に正面から取り組まなかったんですか。
過去の侵略戦争に対する根本的な反省が欠けているためだと思います。だから、侵略で奪ったものと、正当に領有したものとの「仕分け」ができない。尖閣でいえば、日清戦争で不当に奪った台湾・澎湖列島と、正当に領有した尖閣諸島との違いを明確に主張できない。そこが日本の立論を弱めています。
──今後、対中交渉はどう進めるべきですか。
私は提言で「領土問題は存在しない」という立場を改め、「領土に関わる紛争問題」が存在していることを正面から認め、冷静で理性的な外交交渉によって、日本の領有の正当性を堂々と主張し、解決を図れと提起しました。誰が見ても、「領土に関わる紛争問題」は存在するじゃないですか。それを正面から認め、「外交不在」から「外交攻勢」に転じる。それが尖閣問題解決への唯一の道です。
──一連の騒動の発端になった尖閣「国有化」についてはどう考えますか。
「国有化」そのものは、島の平穏な管理の上では必要だと考えていました。ただ、やり方に大きな問題があった。9月上旬、APECの場で、胡錦濤(フー・チン・タオ)国家主席が野田首相に「国有化はやめてほしい」と要請した。ところが、その2日後に「国有化」の閣議決定をしてしまった。話し合いを尽くす必要があったのに、これも「外交不在」でした。
──「平穏な管理」とはどういう意味ですか。
日中双方が物理的対応を強化したら、緊張と対立の悪循環が起こる。日本は、島に新たな施設をつくるといった現状変更をせず、中国も監視船を領海に入れるなどの物理的活動は控えないといけません。双方が、物理的対応の強化を自制し、冷静な外交交渉による解決に徹するべきです。
──実効支配を強化しないために国有化する、ということですか。
(「船だまりを造る」などという)石原慎太郎東京都知事の議論もあったでしょう。平穏な管理の上では必要と考えていた。ただ、やり方はまずすぎました。
──9月に程永華(チョン・ヨン・ホワ)駐日中国大使と会談しました。
まず、日本の領有の正当性について、先ほどの3点を主張しました。先方から反論があり、私も再反論しました。ただ、外交交渉での解決という立場では接点がありました。そのためにも、中国の監視船を領海に入れるといった物理的対応は自制すべきだと伝えました。先方からは「これ以上、事態をエスカレートさせるのではなく、冷静で理性的な対話と交渉の道を進めるというのが、中国の基本的な立場です。互いに努力が必要です」との発言がありました。
──日本人の多くが中国を「厄介な隣人」と見ているように感じます。中国側が冷静になれないのは内政問題があるからですか。
中国の国内問題を推測するのは控えておきます。
──ただ実際に、反日行動が工場襲撃のような形で表出しました。中国のナショナリズムについてはどう受け止めていますか。
どういう主張であろうと暴力で表すのは反対です。これは大使にも伝えました。デモのスローガンなどを見ると、「日本打倒」とか日本を蔑称で呼ぶといった、一種の排外主義の流れが出てきています。こうした動きは中国国民に自制してもらいたい。中国は、大国化するなかで、その立ち居振る舞いが世界から注目されている。そのことを自覚した行動を求めたいですね。
──9月の民自両党の党首選ではナショナリズムを鼓舞するような「タカ派」の主張が目立ちました。
日本側にも、尖閣問題を政治利用して、自衛隊を強化しろ、軍事同盟を強化しろ、という声がある。これはとんでもない議論ですよ。その種の議論は、国益を守っているような顔をして、国益をいちばん損ねているんです。
──中国はあれだけ拳を振り上げた以上、引っ込みがつくのでしょうか。志位さんがいま首相や外相だったら、どうしますか。
うん……領有の問題については中国と真っ向から対立せざるを得ません。一つひとつ日本の正当性を主張していきます。10月4日に日本外国特派員協会で講演したときも、中国側の主張に沿った質問が多かったのですが、一つひとつお答えして、納得していただけたかと思います(笑い)。本当に日本が理を尽くした議論をすれば、中国の立論は成り立たなくなると、私は確信しています。
──その先の落としどころはどうしますか。
簡単にけりがつかなくても、どちらに理があるかを世界に発信することが重要です。また外交交渉に入る場合、日中双方が物理的対応の強化を厳に慎むということが当然必要になってきます。
──竹島についても、共産党は「歴史的にも国際法上も日本の領有には正当性がある」という立場です。
そうです。ただ、尖閣とは少し違う事情もあります。
──どこがですか。
竹島を編入した1905年1月という時期は、日本が韓国を植民地化していく時期と重なります。1904年8月に「第1次日韓協約」を強制して、日本は韓国の外交権を事実上奪いました。韓国側は異議を唱えることができなかった。そうした歴史的事情を考えるならば、日本が過去の植民地支配に対する根本的反省と清算を行うことが、この問題での冷静な話し合いのテーブルをつくる上で不可欠になってきます。
──竹島については、実効支配している韓国は「領土問題は存在しない」と言い、日本は外交交渉を求めています。一方、尖閣諸島については、実効支配している日本は「領土問題は存在しない」と言っています。
片方は外交交渉をしない、片方は外交交渉を求める、では通用しませんよ。こうしたダブルスタンダードはよくない。そう藤村修官房長官に話したら、「そう見えますね、確かに」と言われました(笑い)。尖閣問題で外交交渉に踏み切れば、竹島問題にもプラスに働くことになります。どちらも堂々と外交交渉で解決する国となってこそ首尾一貫します。共産党も早く政権に参画して、領土に関する紛争問題でも筋の通った外交をやりたいですね、国を代表して。
──次の衆院選では自民党の政権復帰が有力視されています。領土問題で大同団結した自共連立政権もありですか。
いやいや(笑い)。自民党政権は、領土問題のすべてで、うまくやれてこなかったじゃないですか。
──民主もダメ、自民もダメとなったら、共産党政権を樹立するしかないですね。
共産党政権じゃなくて共産党も参画する民主連合政府です(笑い)。尖閣、竹島、千島と、三つの領土に関する紛争問題について、それぞれ解決の方策を提案してきましたが、ぜひこれを政府の方針にしたい。領土問題を解決するには、相手国の国民をも納得させるような事実と道理を主張することが絶対に必要です。そのぐらいの意気込みで取り組みたいですね。
以下、共産党の領土・領有権問題に対する見解を紹介しておきます。

(http://www.jcp.or.jp/web_tokusyu/2012/08/post-5.html)





尖閣諸島1895年、領土編入
日本の領有と実効支配は正当
●尖閣諸島を探検した古賀辰四郎氏が同島の貸与願いを申請(1885年)。日本政府は尖閣諸島を日本領に編入しました(1895年)。これが最初の領有行為(先占)で、国際法で正当と認められています。
●中国は1970年代になるまで異議をとなえたことはありません。「日清戦争で奪った」という主張も歴史的に成り立ちません。
領有の正当性を説く外交努力を
●冷静に理をつくして日本の領有の正当性を説く外交努力を進めることが必要です。
●歴代の日本政府は「領有権の問題は日中間に存在しない」という理由で、30回以上、中国と会談・懇談してきたにもかかわらず、突っ込んだやりとりを交わした形跡はなく、国際社会に主張した例も見当たりません。



竹島1905年、領土編入
●竹島であしか漁をしていた中井養三郎氏の求めを受け、日本政府は同島を日本領として島根県に編入(1905年)。戦後のサンフランシスコ平和条約(1951年)も、竹島を日本が朝鮮に対して放棄する島の中に含めていません。日本の竹島に対する領有権の主張には歴史的にも国際法的にも明確な根拠があります。
●しかし、この時代は日本が韓国を武力をもって植民地化していく過程で、韓国の外交権は奪われ、韓国は異議をとなえることもできませんでした。
植民地支配への反省にたって話し合いのテーブルを
●解決のためには、日韓双方が歴史的事実にもとづいて、外交交渉で解決することです。
●いまの問題は、日韓間に解決を話し合うテーブルがないことです。日本政府が韓国併合(1910年)への根本的な反省にたってこそ、冷静に話し合うテーブルがつくられます。



全千島1875年、領土と画定
●択捉島、国後島の南千島はもちろん、千島列島全体が日本領です。日ロ間で結んだ樺太・千島交換条約(1875年)で画定されています。
旧ソ連が不法に占有、認めた日本政府
●旧ソ連は「領土不拡大」という第2次世界大戦の戦後処理の大原則を破って、千島を占有しました。
●日本政府はこれに抗議もせず、千島列島を放棄(1951年、サンフランシスコ講和条約2条C項)。全千島返還の交渉もしていません。
千島放棄を再検討し、全千島返還交渉を
●日本共産党は、戦後処理の不公正をただして、千島列島を放棄した条項にとらわれず、全千島返還の交渉をするよう提案しています。
●歯舞、色丹は千島ではなく北海道の一部であり、即時返還されるべきです。

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2012.10.18 | | Comments(2) | Trackback(2) | ・国際政治
