NO.2431 「賃上げでデフレ不況脱却を」「内部留保活用で賃上げを」の世論の広がり
春は名のみで、最大の寒気で北国は大雪に見舞われて大変なようです。
お見舞い申し上げます。
さて、「賃上げでデフレ不況脱却を」「内部留保活用で賃上げを」が世論になって広がってきています。
経済界は賃上げはおろか、定期昇給を拒否したりしていますが、政府が正面から企業の社会的責任を果たすべく賃上げを要請することを求めます。
(まとまっていませんが、報道から少し紹介しておきます。)
■日本経済新聞は「デフレ慣れした賃金戦略 賃上げで成長、工夫の余地 」 (2013/2/18付 朝刊)で「低い賃金水準は経営能力の低さを示す。賃金デフレに頼らぬ多様な戦略を、経営者は競うべき」と指摘しています。
わけても、賃上げに大企業の「内部留保を活用すべし」の世論が広がっています。
■東京新聞も、社説「企業と賃上げ 中間層復活の役割担え」(2013年2月18日)で「内部留保活用し賃上げ」を主張しています。
・・・・安倍首相は経団連などに、業績が改善した企業から賃金を引き上げるよう要請した。賃上げは個別企業ごとに決めるべきものだが、デフレから抜け出すにはやむを得ないというべきだろう。
その根っこにあるのが、現預金二百兆円をゆうに超える企業の内部留保だ。麻生太郎財務相も「企業は給料に配分せず、ため込んできた」と経済界に賃上げを迫っているが、経団連の米倉弘昌会長らは「景気がよくなれば」などと腰を引いている。今春闘も退職金などに反映される定期昇給やベースアップを拒み、一時金や賞与の増額で収拾を図りたいようだ。
オバマ米大統領は一般教書演説で経済再生に向け中間層の底上げを最優先課題に掲げた。安倍首相も中間層復活を日本再生の原動力として明確に位置づけるべきだ。
経団連は基本方針に「企業は雇用の維持・拡大を実現し、国民生活を豊かにする役割を果たしている」と明確に記している。ならば手元資金をため込む内向きの経営を排し、稼いだ富のうち労働者の取り分を示す労働分配率を引き上げる度量を示してほしい。
「内部留保活用で賃上げを」の広がりを赤旗は以下のように報じています。
■内部留保活用で賃上げ可能
党主張にメディア関心広がる
“大企業はまず一歩先に出て”

内部留保のほんの一部を給与にまわせば、ほとんどの大企業で賃上げが実現する―。日本共産党が主張してきた政策にメディアの関心が広がっています。折しも日本共産党は“賃上げ・雇用アピール”を発表。国会論戦を通じて政治を動かしつつあります。
「賃上げ春闘 追い風 首相異例の要請」―「読売」15日付夕刊は社会面でこう報じました。日本共産党の笠井亮衆院議員が求め、安倍晋三首相がそれにこたえて財界トップに賃上げを要請したことをとりあげたのです。笠井氏は、連結内部留保500億円以上を持っている企業グループ約700社を調べ、内部留保の1%を活用するだけで8割の企業で月1万円以上の賃上げが可能だと迫りました。
「実は内部留保に着目をずっとしてきたのは共産党なんですよ。共産党の主張と麻生(太郎)さん(=財務相)の言っていることがほぼ似てきてしまったというのは、非常に面白い現象でね」。1月30日放送のテレビ朝日系「モーニングバード!」ではコメンテーターの萩谷順氏(ジャーナリスト)がこう紹介。「内部留保をもっている大企業はまず一歩先に出てほしい。政府と大企業の役割・任務というのは非常に大きな時代になってきた」と主張しました。
朝日新聞社が発行する現代用語事典『知恵蔵』(2013年版)は「内部留保」の項目でこう書きます。「当初は共産党や労組が主張していたが、雇用不安が深刻になった08年末~09年にかけて、政府閣僚からも同調する声が相次ぎ、雇用維持の財源として論じられるようになった」
昨年末のフジテレビ系「新報道2001」では、その09年の笠井氏と麻生氏(当時首相)の質疑の模様を流し、内部留保の活用を特集しました。いまでは、内部留保活用論は立場の違いを超え、多くのエコノミストも指摘するようになりました。
日本経済研究センターの前田昌孝主任研究員は「日経電子版」(13日付)のコラムで、一時金で対応するとした日本経団連の米倉弘昌会長の発言を「やや腰が引けた感じが否めない」と批判。内部留保と賃金の相関グラフも示し、「産業界は発想を切り替え、賃上げを基点にして景気の好循環を引き起こすぐらいの戦略性をもってもいいのではないか」と提起しています。
その日経のコラムが以下です。
■日本経済、賃上げで好循環を起動させる局面/日本経済研究センター主任研究員・前田昌孝(日経新聞)「日経電子版」(13日付)のコラム
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/146.html
・・・企業も空気を読み、賃上げなどで大いに協力すべきではないか。
・・・今は産業界も日本経済のエンジンを始動させるために、最大限の協力をすべき局面ではないだろうか。12日に安倍首相が経団連など経済3団体のトップとの会談の席上、賃上げを要請し、米倉弘昌経団連会長は「業績が良くなれば一時金や賞与に反映する」と答えたという。これは首相の要請がなくても当然のことであり、政府からの協力要請に対する回答としては、やや腰が引けた感じが否めない。
・・・むしろ産業界は発想を切り替え、賃上げを起点にして景気の好循環を引き起こすぐらいの戦略性を持ってもいいのではないか。これまでは賃金が下がるから、内需が膨らまない。だから企業は収益を確保するために外需に依存せざるをえず、海外で稼ごうと積極的に動いてきた。ただ、企業が海外で稼ぐことは、利益の本国送金に伴う円買い需要などが発生し、為替市場には円高圧力がかかる。となると、ますますコスト引き下げが必要になり、一層の賃下げに結びつくわけだ。
・・・デフレがデフレを呼ぶような縮小均衡を終わらせるためにも、賃上げを起点にした景気の好循環が3巡程度、起きる必要があるのではないか。確かに株価が上昇すれば、資産効果も出てくるだろうが、日本では上場株の60%を65歳以上の高齢者が保有している。この層の消費はすでに活況を呈しており、消費が低迷しているのは30代から50代前半にかけての現役世代である。
・・・現役世代が待遇改善に力を得て、これまで以上に前向きに仕事をするようになれば、日本の潜在成長力もおのずと押し上げられるのではないか。自動車同様、経済もいったん前向きに動き出せば、その後は政策面からの後押しが減っても、自律的に回るはず。もちろん賃上げを全企業に求めるのは無理だが、まずは日本経済をリードする大企業にお手本を示してもらいたい。
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2013.02.21 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・ルールある経済社会を
