NO.259 重い障害者と生きた初めての人々。・・・人間らしさについて考える。(2)
ネアンデルタール人は、今から20万年から2,3万年前に生存した、最後の旧人というのが定説のようだ。
こちらを参考に→ネアンデルタール人(ウィキペディア)
彼らは、ホモサピエンスではなく、直接現人類の先輩ではありませんが、ここでは大まかに、私たち(人類)の先輩と考えても良いと思います。
ここでは、学術的論証は無しにします。
いわば「友さんの浪花節的人間論」です。
皆さんも一緒に想像して、楽しんでいただければ幸いです。
手元に文献がないので、記憶に頼って書きます。
障害と労働を、人類の発生史の中で考えるために、もう20年以上前に読んだ本が参考ですが、絶版で、今手元にありません。
当時、大阪教育大学で教壇に立たれていた藤本文明先生(ご本人も重度障害者です)の、論文です。
彼は、考古学者ソレッキの著「シャニダール洞窟のなぞ」を紹介しながら、「重い障害者とともに生きた最初の人々」のことについて、語りかけてきました。
イラク北部のシャニダール洞窟からは、いくつかの人骨が発見されています。
「最初に花を愛でた人々」はかなり有名で、ご存知の方も多いと思います。
遺体の周りから、タチアオイをはじめ、8種類ほどの花粉が見つかり、埋葬と、副葬品として花を手向ける習慣が成立していたと言う話です。
20万年前に、どんな暮らしをしていたであろうか。
死者を、ともに生きた仲間として悼み葬る心と、その気持ちを花に託す感性をすでに持っていたと言う、私たちの先輩です。
もうひとつの人骨が発見されています。
後期ネアンデルタール人(2~3万年前)とみられるこの遺骨は、発掘に当たった学者たちには「ナンディ」という愛称で呼ばれました。
さてナンディは、重い障害を持っていたことが分かります。
生まれつきの奇形で、右腕は小さな骨が、肩からぶら下がっており、頭蓋骨は陥没し、右目はつぶれている。顎は非常に発達している・・・そんな骨です。
頭蓋骨の損傷は、その後に骨が成長した後があり、それが致命傷ではなく、大怪我の後に一命をとりとめ、その後怪我が治癒したことがうかがえます。
たぶんナンディは、先天的な障害で、狩猟(群れでの社会的労働)では一人前の働きも出来ず、外的と戦うにも、役に立たなかったことでしょう。立派な障害者でした。
しかも生育の中で大怪我をし、さらに障害は重度化します。
戦前は成年男子の最大の価値は「天皇の兵隊」になること、・・・ナンディなどは、「穀つぶしの非国民」です。
働くこともろくに出来ません。こんな奴は、生きていても群れの厄介になるだけす。
あえてこうひどい言い方をするのは、前のエントリーに書いた「新自由主義の人間観」を、批判するためです。
群れから放逐されたら、現代のように、「博多中洲の残飯」でも食って何とか生き延びる、なんてことは不可能な食糧事情の時代です。
群れが、1匹のいのししを取逃がし、雨季に入り、あるいは寒さで食料にありつけずに、群れ諸共に死に絶えることは容易に想像できる時代です。
ナンディは、生き抜きました。40歳まで。現代で換算すると優に80歳だそうです。
重い障害を持ちながら、天寿を全うしたのです。
このナンディと言う骨が残した事実は以上です。
みなさん、どういうことでしょうか?
後は想像です。自由な解釈です。
ナンディが、重い障害を持ちながらも、あの時代に天寿を全うできたとは、どういうことだろうか?
彼と生きた人々とは、どういう人々だったのでしょうか?
そこに、人間らしさの本質を見ることが出来るのではないだろうか?
私は、若い世代と「障害と人間について」話すとき、グループでこの質問で話し合ってもらいます。
決められた答え探しの、現代の受験勉強ではなく、一つ一つが自分らしい正解なのです。それを持ち寄りまたみんなで話し合い、深めます。
どうぞ、次のエントリーまで、皆さんも「若い学生」になって見てください。
・・・つづく。
また、長くなりそうなので、もう一度書きたいと思います。
どうぞ、自由な解釈をコメントして盛り上げてください。
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2008.01.14 | | Comments(6) | Trackback(0) | ・障害者福祉いろいろ
