NO.285 岩国市長選挙結果と地方自治、憲法92条。
岩国市長選挙は、残念な結果に終わった。 在日米軍の再編に伴う厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への空母艦載機部隊移転の是非が争点となった山口県岩国市の出直し市長選が10日投開票され、移転容認派が擁立した前自民党衆院議員の新顔福田良彦氏(37)が接戦の末、移転に反対する前市長、井原勝介氏(57)を破り、初当選した。これで05年秋以降膠着(こうちゃく)していた移転計画が進むのは確実で、当初の国の予定通り14年までに完了する可能性が高まった。当日有権者数は12万1717人、投票率は76.26%(前回65.09%)。 明治憲法時代の地方自治は、知事が国から派遣されるなど強力な中央集権を基調としたものでした。戦時における国家統制強化の一環として、市長は内務大臣が任命するものとなり、町村長も府県知事の認可が必要でした。こうして地方自治は国の出先機関として、国の戦争遂行の一翼を担わされていたのです。憲法に地方自治に関する規定がなく、法律でどのように定めることもできたためでした。
以上朝日より・http://www.asahi.com/politics/update/0210/SEB200802100009.html
この選挙は、空母艦載機部隊移転の是非が最大の争点だったが、同時にもう一つの大きな問題は、住民自治つぶし、地方自治つぶしがあからさまに「法的」にやられていることにあった。
2007年、補助金の特措法、「米軍再編推進法(駐留軍等再編円滑実施特別措置法)」が作られた。
この特措法で、「(国の)言う事を聞く地域にはお金をあげるけれど、そうじゃない地域には一銭もださない」とあからさまに兵糧攻めによる、国の政治の暴走がなされて来たのだ。
岩国市は、市民の負担や不安を重くする、今以上の基地強化は認められない、という立場をとっていきており、、そのために米軍再編に伴う交付金対象から外された。岩国には基地がすでにこんなにあるのに。
市庁舎建設のための35億円の補助金カットは、あまりにも強引になされた。
岩国市は、以前に前の市長が約束をしていた、普天間基地から岩国基地への空中給油機移転の見返りによる交付金をあてて、3年計画で市庁舎建設を進めて来ていた。
しかし、最終年度になって、突然35億円をカットされるという事態になり、市庁舎は未完成のまま工事はストップ。
この35億円については、今回の米軍再編に伴う基地移転とは、何も関係ないのに!
厚木の米軍艦載機の基地移転については、これまで2回も反対の民意が示されたが、それをつぶさんがために国は、「アメとムチ」「兵糧攻め」の強行策をとり、住民や市長との話し合いを持つこともなく、いきなりの補助金カットを決めてきたのだ。
先日、橋下大阪知事は「国の言うことに、地方は口を出すな。国の専権事項に、地方があれこれ言うのもおかしい。憲法を勉強してください」と言う趣旨のことを言って物議をかもしたがが、あんたこそ、憲法の第8章、「地方自治」の章、92条をしっかりと読みぃ、曲がりなりにも弁護士だろうが、と言いたい。
第92条 〔地方自治の本旨の確保〕「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」
伊藤真は、「憲法が保障した地方自治とは、住民の意思を無視してまでも、補助金や交付金によって国がコントロールできるようなものなのでしょうか。」と、問いかけ、地方自治について以下のように説明している。
参照→中高生のための憲法教室 中高生のための憲法教室
これらの反省から、日本国憲法では、国が法律をもってしても侵すことのできない地方自治の核心的部分を制度として保障することにしました(憲法92条)。その核心的部分を地方自治の本旨といい、住民自治、団体自治という言葉で表されます。住民自治とは地方自治が住民の意思に基づいて行われるという民主主義的要素をいい、中央の議会制を補完する役割を果たします。住民の生活に関することは、あくまでもそこで生活する住民の意思に基づいて行われることが民主主義の基本だとして、多くの直接民主制的制度が取り入れられているのです。住民投票もその一つです。
他方、団体自治とは地方自治が国から独立した団体に委ねられ、団体自らの意思と責任の下でなされるという地方分権的要素をいいます。これは地方自治体が中央の権力に対する抑止力となり地域住民の人権を守るという自由主義的意味を持ちます。つまり、国の政治が暴走しそうなときに地方がそれに歯止めをかけて地域住民を守る役割を期待されているということです。
投票箱がしまった頃、沖縄の北谷町で米軍による女子中学生への暴行があったことが、今朝から報道されている。
住民の不安はいかばかりだろうか。
一度艦載機が来てしまえば、どれほどの騒音や事故、治安への不安が根を下ろすことになるか。
基地により、補助金をもらったところで、それで潤い豊かになった自治体が何処にあるだろうか。
財政危機があおられ、目先の利益のために、住民の安全や安心が担保されない今回の「住民合意」である。
「国は一人一人の国民の生活を守るために存在するのであって、決して米国の利益を守るためにあるのではありません。何のための米軍再編なのか、地方自治は何のためにあるのか、今一度考え直してみる必要があります。」(伊藤真 上掲より)
敗れたとはいえ、自公が組織的にてこ入れした今回の選挙で、井原さんを押して闘った住民たちの健闘善戦は、僅差の接戦を演じ、重要な地方自治の力と可能性を示した。
今後とも応援し、見守りたい。
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2008.02.11 | | Comments(2) | Trackback(1) | ・政治一般Ⅰ
