NO.310 口は、飯食うためにだけあるっちゃないとよ!
「なんしよっとお!自分のを使ってよお!」
ユキチャン(34歳女性、精神障害)が、ミホちゃん(60歳男性,知的)に大きな声(とにかく声が大きいんだ!)で抗議をしている。自分のボールペンを勝手に使おうとしたらしい。
先日はミホチャンが、ユキチャンが勝手にはさみを使ったと言っては「ウンガー!」と怒り、ユキチャンが固まっていた。その時、仲間たちのトラブルを少なくするために、予算的にも問題ない日常使いの小道具については、めいめいのものとするように職員にも指示していたところだった。(自分の道具を自分で持つと言う事は、「職人」気持ち的にもいいものがある。)
ミホチャンは、小さい時から上げ膳据え膳で、気ままわがままに育てられてきて、もうますます気ままな一人暮らしの「老人」だ。自分が思うとおりに世の中が回ると思っている。
一方、ユキチャンは、統合失調症でいろいろな事が気になる。やっと陶友に来て2ヶ月たち、慣れてきたところだ。気にする割には、あっけらかんと大きな声で気持ちも出すところがある。
そんな二人の一幕である。
しばらくして、「あのな、ちょっとボールペンかして、と言えば良いやろ?そしたら、いいよってなるし、どっかにない?といって探したりもできる・・・」先日の逆の立場の事も振り返らせながら、話す。
「口があり、二人とも話ができるんだから・・・、口は飯食うためにだけあるっちゃないとよ!」と。
穏やかに収まり、納得してくれたようだ。
思いを伝え、関係を作る、関係を調整する。
我々が日常、普通にやっているようなこのコミュニケーションは結構高度で知的な能力を要するのだ。
自分の気持ちや相手の気持ち、立場・状況を、瞬時に判断し、自分の行動を選択し決定し表現する。それへの反応に対して又、次の情報収集、判断、行動・・・、複雑な脳の働きの連続なのだ。しかもそれは見えない抽象的な世界。
知的障害者が一番苦手とする課題である。特に今まで、指示されるだけで受身的に生きてきたり、「わがまま」に甘やかされて生きてきた場合は、この力の落ち込みは顕著である。
・・・みんな、いろんな経験と時間を通して学び身につけていく。
人は関わり合いの中で生きているわけで、この「関わり合う力」は、生きる力の基本である。
酒飲みのミホチャンに「なあ!口は焼酎飲む時と、ウンガー!って怒る時だけ使わんで、ちゃんと話さな。」と言うと、それが受けたのか、「ん!」とあごを上げる独特のうなずきをして、「ちゃんと いわな いかん」と応えていた。
「ユキチャンも、ちゃんと思った事がいえるじゃない!」と、後で言うと「はい!」
繰り返しである。ぶつかりあいがないと、進歩もない。
さて、今日の午後は、応援団「ゆうゆう」の皆さんと久々のボーリング大会。
私は、窯焚きで留守番。
「生きる力の基本」・・・ちゃんと出来てるかなあ。
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2008.03.01 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・仲間とともにⅢ
