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NO.336 「トウユウガ スイトッチャン!」(陶友が好きだ)・・・Rさんの事。(1)

 シーさんのお兄さん、Rさんは昭和14年生まれだから、そろそろ70歳になるはずです。
彼も最重度の知的障害があり、中学校を卒業してからは在宅で暮してきた。40年間も。

 陶友が、認可され定員が増員されたとき彼も通う事になった。
当時の様子を、陶友通信NO.24(1996.2.25付け)は次のように伝えている。

 Rさんは中学卒業以来ずっと在宅生活だった。
「これが外にも出んで、身体も動かさず何もせんで、喘息ばっかり出て困っとりますと」・・・とお母さんを嘆かせていた。1年前、(こんな感じでは仕事も出来ないだろうけど、近所だし昼飯を食べに出て来るだけでも、少しでもお母さんが助かるかもしれない)「とにかく出てきてみて!」と声をかけた。

 入所式ではビールを飲み、赤ら顔で嬉しそうにお酌をして回っていた。
ビールが効いたのか、次の日から休むことなく、嬉々として通所している。粘土こねに参加したり、ゴミ出しをしたり、簡単な頼まれごとを(それなりに)片付けたりして、「弟さんよりも兄貴さんのほうがしっかりしている」と仲間たちには評されている。

 気がついてみれば、ずっと喘息が出ていない。
陶友の空気がよっぽどいいんだろうか?休みの日も必ず作業所に顔を出しては、職員がいると「ネンド ナイッチャン! ネンド ナイッチャン!(粘土が無いよ)」としつこく心配してみせる。

 「トウユウガ スイトッチャン!」(陶友が好きだ)と何べんでも言う。
彼の人生で、自分が自分であることを感じることができる初めての居場所なのかもしれない。このおじさんの笑顔を守るには、年老いたお母さんや他の弟妹たちのことも支えていかなければならない。・・・

以上引用。


 この兄弟は2人とも、名前を呼ばれても返事をする事ができなかった。どちらかの名前を呼んで、「返事せんね!」と言うと、2人とも「アイ!」と応えていた。多分、ずーっと面と向かって名前を呼ばれるような、人との関係の中で生きてこなかったのだと思った。人がいいのは二人とも同じで、お母さんが大事にして育てられたんだろうなと想像したものだ。

 誤解を恐れずに言えば、知的障害の人たちは決して無垢ではない。すねたりいじけたり、わがままだったり、可愛くないなあと思うことも・・・、色々な性格の人たちがいる。その中にあってこの兄弟は、いやらしいところがまったく無い。人がよく、そして人好きだった。なおかつマイペース、周囲とのトラブルを起こした記憶は一切無い。大人だったのだ。

 しかし、仲間たちの中には、最重度で仕事もあまりできない(今思い出しても、はてどんな仕事をしていたやら?である)、言うこともわかりにくい、そんなRさんを軽んじるところが無いわけではなかった。

 そんなRさんが、戦争の時代から60年生き抜いてきて、みんなで還暦祝いをする事となった。
       (つづく)

 
次回は、Rさんの還暦祝いについてかきます。
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2008.03.18 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・仲間とともにⅡ

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