NO.338 「戦争の時代から生き抜いた 60年」・・・Rさんの事(2)。
昭和14年。逆子の難産で仮死状態で生まれたRさん。重い知的障害を持つ事となった。
当時は産めや増やせの時代。しかも、若者の価値は天皇の立派な兵隊になること。「不倶者は座敷牢に入れろ!」と、人権もへったくれも無い時代だった。お父さんは戦争に行き、小学校の時は戦火を逃れ転々・・・。当時は特殊学級もない時代だったが、皆にかわいがられ毎日休まずに学校に行ったそうだ。そんな時代から戦後の混乱期を経て、60年間生きてきたRさんの、還暦祝いがもたれた。
仲間でお祝いの実行委員会を作り、ささやかな還暦祝いをした。
その模様を陶友通信NO.49から引用し紹介します。1999年3月、当時Rさんの孫のような年齢の女子職員による記事です。
「戦争の時代から生き抜いた 60年」
「なんか買うちゃるね!」と満面の笑顔で声かけて、いつも私のことを気にかけてくれるRさん。3月で還暦を迎えられました。お祝いです。
「オレぁ カンレキ!」
仲間から少しずつ「還暦やね」という声が出てきたころ、「オレぁ カンレキ!」。こんなに「カンレキ」を楽しみにしている人はいません。
Rさんは作業中でもいろんなことが気になって、よく油を売りに行くし、人よりできない事が多い。みんなはそれを「自分より出来ない」と見て、馬鹿にしたようなところがある。何を言われても「うん、うん」としか言わないRさん。(言い返さないのは皆よりもずっと年上だからかもしれない)何かが出来ようができまいが、RさんはRさんなりに苦楽と共に60年生きてきた。
よく気が利き、「人がいい」(母)
Rさんのいいところ?「あれがない!」などとよく気がついてくれたり、街の新情報を教えてくれるところ。「ホウキがなか!」とよく職員に訴えていたある日、いつもは黙っているミーティングなのに、皆の前でそのっことを言ってくれた。そしてその訴えに応えるべく、ホウキを購入。あんなに意気揚々としているRさんは久しぶり。その朝は言うもと違う空気でした。
戦争の時代から行きぬいて
還暦お祝いの実行委員には仲間から3名。陶友 にいるRさんは知っているけど、60年間どんな風に生きてきたかを知るために、お母さんにインタビューに行きました。話の内容はよく理解できなくも、90歳近くになった小さなお母さんに会っての帰り道、「身体が痛そうでかわいそう」とポツリ。
赤頭巾に大好きなお酒
いよいよ当日、赤い頭巾をかぶったRさんが、大好きな「はぐれ刑事純情派」の主題歌に乗って堂々の入場。親の会、仲間たちからのメッセージとお酒で上機嫌。最後に一言「よかった!」・・・記念品には、だお好きな写真を入れる写真立てと赤い帽子。あれから毎日かぶってきています。
以上の記事に、私は次のコメントをカコミ記事で加えておきました。
「Rさんなりの人生の重み」
何かが「できる」「できない」は、人間の尊厳の軽重を決めるものなのか?陶友は無菌室ではない。現代日本の現実を反映した縮図でもある。「できない」Rさんがみんなに軽んじられているのは、残念ながら事実である。そんなRさんの60年を、皆で見つめる事を通じて「個人の尊厳」について改めて考えてみたかった。・・・年輩のRsんへの接し方に変化が出てきた仲間もいる。
憲法13条には「すべて国民は、個人として尊重される」と、個人の尊厳が謳われている。
そんなこんなのシーさんとRさん兄弟でしたが、お母さんが亡くなり、さる事情で陶友を辞める事になりました。お母さんの謂わば「遺言」でした。次の機会に葉、お母さんの想いについて書いてみたいと思います。 (つづく)
「いつも来て粘土は作られんと」といって、追い返してからシーさんは、顔を出しません。
ちょっと悪かったなあ・・・。ま、又来るでしょう。
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2008.03.20 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・仲間とともにⅡ
