NO38 金のことを言うと汚いが・・・福祉労働者の賃金はその国の福祉のバロメーター
今春大学を卒業して、あるメーカーの営業で働く長女に、「いくら貰ってる?」と聞く。大卒30年近い私(28万。これでも大分良くはなった。無認可の頃は8万だった。)と、4万程しか違わない。同じく短大卒で介護施設で働く次女に聞く。「夜勤手当を入れても14万。もう!おかしくない?」
実におかしい。
陶友では、大卒3年目で17万。非常勤は13万弱から、残業入れても15万。福祉現場は3分の2が非常勤。
福祉現場はワーキングプアで支えられている。
私は機会を見つけて、こんな話をする。金の話は嫌いだが・・・。
これは、私の甲斐性の話ではない。この国の甲斐性の問題。
要するに、福祉の仕事はこの国ではその程度の値打ちしかないのだ。だから沢山ある福祉系の大学を出ても、殆どの学生は一般企業への就職を希望する。人材が確保できない。
政府は、貿易協定でフィリピンからの介護士を入れることを決めている。国内で人材が賄えないから、安く使えるアジアの労働力を入れるということだ。
アジアの同胞の名誉のために。フィリピン人がだめと言ってるのではない。一応語学研修も入れて入る。しかし、介護保険の点数が、お年寄りとゆっくり話しをすることは認めていないように、飯を食わせ、下の世話をすればいい、それが介護労働だとすることを、問題にしてるのである。
要するにこの国では、福祉労働は、赤子の守であり、年寄りの世話であり、障害者の面倒見なのだ。関係の法律でどんな立派な文言を並べようとも、この人たちのために金をかけるのは、経済的に無駄ということ。
現場から、私たちが、人間の尊厳だとか、人としての権利だとか言っても、この国の政策の実態はこれだ。
大事なのは、福祉労働者の賃金問題は、その対象とする人々の命や暮らしに対する価値観の現れであるということ。
80年代中頃、メザシの土光(経団連会長)が推し進めた「臨調行革」・・・時の財界の要求をうけた、時の総理大臣は「老人福祉に金を使うのは枯れ木に水をやるようなもの」と言い放ち、ときの厚生大臣は「牛も乳が出なくなったら賭殺場にいく」と言い、それまで国民の世論で作り上げた、老人医療無料制度を有料化した。健康保険もだだで医者にかかれていたたのに、有料化した。
その流れの、今日版が小泉「構造改革」であり、選挙で審判されたのに安倍がしがみつく路線なのだ。「社会福祉基礎構造改革」その障害者版が、今度の障害者自立支援法なのだ。
ちょっと話が広がりすぎた。
今日は、金の話。
金欲しいよな。そしたら、職員の給料上げて、職員増やして、もっといい仕事ができて、「福祉の仕事って、ほんとに大事で価値ある」という、国民的共感をつくれる。
福祉の仕事は、「勝手に情熱的な奴」とか「普通の企業ではやれない」変わった奴らの仕事にしてしまっては、国民の不幸なのだ。
今日の終礼で、実習の学生に「金の話」をした。
家に帰り、次女とも少しだけ。
次女は、家に入れるお金の話で「やっぱ、稼ぎの割合でいかんと」と言う。お前の言うことは一理ある、これは家族の話し合いで解決しよう。
次女よ。私たちは、父娘であり、今や同志。福祉労働者。
福祉労働は、人間の明日を作る仕事。人間の未来を創造する仕事。
共に、誇り高くたたかおう。
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2007.08.28 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・実践的福祉労働論
