NO.357 世界に類を見ない日本の高学費が、「教育の機会均等」を奪う。
昨日の岡山の少年事件の記事に関連して、今日は学費問題について書きます。
(ただいま出張中につき、予約投稿です)
家計に重くのしかかる学費を前に、多くの国民が「親の経済力によって生まれる教育格差」を実感しています。貧困と格差が広がる中で、今国がやるべき事は、経済的理由での進学断念や、学業を中断する若者を無くすための支援の拡充です。
結論的に言えば一言、教育予算の増額を!です。
日本の学費は「世界一高い」といわれ、奨学金が貸与制のみというのは日本だけ。欧州では、授業料を徴収しない無償制が一般的で、奨学金も返還の必要の無い給付奨学金制度が充実しています。
日本の高等教育予算はGDP比で0・6%と、OECD(経済協力開発機構)加盟国(平均は1・3%)中、最低。
OECD加盟30カ国中、授業料を取っているのは半分の15カ国。そのうち12カ国では返さないでいい
給付奨学金制度があり、給付奨学金がないのは、日本、韓国、メキシコの三カ国だけ。
経済大国のお粗末な現実です。
高い学費の実態
詳しく見ると、初年度納付金は、国立大学で約82万円(標準額)、私立大学で約131万円(平均)も。授業料を1970年と比べると国立は45倍、私立は9倍です。食料品物価の3倍をはるかに上回る値上がりです。
出産から大学卒業まで子ども一人に家計が支出する平均総額は約2400万円といわれます。そのうち大学4年間は1000万円近くかかり、その6割が学費。
これでは「お金がないから大学進学はあきらめる」という現実が出てくるのは当然でしょう。経済力によって、教育の機会均等が奪われてしまいます。
東京大学では新年度から、親の収入が低い(400万円未満)学生を対象に授業料を全額免除する制度を導入するそうです。学生自治会などの運動が実ったものです。在学生も適用という事ですから、10数%の学生が適用の見込みといいます。
政府の対応はどうか?
政府は、大学や学生の強い反対の声に押され、2007年度の国立大学の授業料標準額の値上げを見送りました。
ところが、各国立大学が決める学費の上限を現行の標準額の1割増から2割増に引き上げ、その一方で、今後5年間、国立大学への運営費交付金と私立大学への助成をそれぞれ毎年1%ずつ削減するとしました(「骨太方針206」)。これは、学生1人あたり国立で10万円、私立で1万円減らすという事であり、そうすれば大学側は学費値上げをすることになるでしょう。
政府・与党は、少子化対策の中で教育費負担の軽減を掲げてはいるが、その中身は、高学費の負担を親から子どもに移そうというものです。
「子ども自身が教育費を負担できる奨学金の充実」「『学費は将来の自分が払う』ことを基本として」などというのです。
これでは、学生が卒業後に多額の借金の返済に迫られ、子育てにも支障をきたすことになります。今でさえ奨学金滞納は、困窮を理由に19万人にのぼっています。親の負担を次の世代に転嫁させるだけであり、少子化の根本的解決にはなりません。
奨学金の民間ローン化は許されません。
世界でも常識の、返還の必要の無い給付奨学金制度を実現すべきです。
少子化対策を言うなら学費の無償化にむけて、段階的に引き下げることにこそが、必要です。
そもそも少子化対策の枠組みではなく、高等教育をどう位置づけるかの問題です。
「高学歴は、安定した生活と収入を生む」、したがって学費は自己への投資であり、受益者が負担するもの。これが政府の政策の根本にあります。
果たして学問や科学技術は個人の所有物でしょうか。
それが個人に一定の「収入」をもたらすことは否定しないが、今日それらは社会的に発揮されて、社会全体に還元され、経済社会・文化の発展に寄与するものです。そこにこそ本質はあります。だからこそ、先進国では、無償化が当たり前になっているのです。
新自由主義は、教育をも利潤追求のための市場として開放する政策をとってきている。
大学学費の無償化と、給付奨学金制度の創設めざし、教育予算の増額を!
最後までのお付き合いありがとうございます。
学費、教育費問題も、「どげんかせんと、いかんばい!」
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2008.03.30 | | Comments(2) | Trackback(0) | ・教育問題
