NO.436 受刑者の出所―知的障害者の復帰に手を・・・朝日の社説を支持する。
知的障害者の犯罪について以前書いたことがある。
身近な知的障害を持つ人たちを見て思う。
繰り返す犯罪や問題行動。罰すれば直るのであればこんなに簡単なことはない。
社会的に犯罪として裁いたところで、それを反省し自らの行動変容に高めるという能力に欠けるのがその障害の特徴であり実際だ。
特別な「合理的な配慮と支援」が必要なのである。
参考過去ログNO.316 知的障害者と刑事事件。
NO.313 知的障害者と冤罪。
ユキノシタ
咲き始めのピンボケ。
雪が降るさまを表す名まえだとか。
天ぷらのもおいしい。薬効があるとかで・・・、実は母乳の出が悪かったおっかあがどこから聞いてきて植え、はを揉んでは乳首につけたりしたことも。効き目があったかどうかは?
母乳を上げようとおっぱい110番に行ったり・・・。母乳の出がいい人は楽だろうなと思ったり・・・、子育てのころの思い出に結びついたユキノシタ。
「朝日」の指摘は重要だと思う。
受刑者の出所―知的障害者の復帰に手を 朝日社説2008年05月19日
毎年、刑務所に入ってくる受刑者の2割、約7千人には何らかの知的障害があるという。法務省の統計にある。
また厚生労働省の研究班が昨年公表したサンプル調査では、知的障害の疑いがある受刑者410人の約7割は再犯で入所していた。犯行の動機も「生活苦」が4割で最も多かった。
典型例がある。2年前に山口県のJR下関駅舎が焼け落ちた放火事件だ。
犯人の76歳の男性は3月末に懲役10年の判決を受けた。軽い知的障害がある。20代の初めから放火をしては刑務所暮らしを繰り返してきた。今度の事件も、福岡刑務所を出所してからわずか8日後のことだった。
出所はしたが、服役中の労役などでためた20万円は使い果たした。身寄りもない。寒さをしのいでいた駅からは追い出された。ライターで火をつけた紙を段ボール箱に投げ入れ、駅舎を焼失させた。男性は判決の後、「これで心配がなくなった」と話したという。
刑務所しか居場所がないのは本人にとって不幸に決まっている。もしそのために犯罪を繰り返されては、私たち社会全体の安全も損なわれる。
再び罪を犯してしまう知的障害者を減らすには、出所後の生活を最低限支えるセーフティーネットが必要だ。
実際は出所してもなかなか福祉サービスを受けにくい。それは放っておけない。きちんとサービスを受け、生活できるようにしなければなるまい。
それには、受刑者を送り出す刑務所と、受け入れる地元の福祉事務所とが手を携える必要がある。
知的障害者が出所して福祉サービスを受けるには、療育手帳がなければならない。そこでまず手がけてほしいのは、知的障害のある受刑者に手帳を取得させることだ。
現状はお寒い。さきのサンプル調査で対象410人のうち、手帳を持っているのは26人にすぎなかった。
手帳を得るには、障害者側が申請しなければならない。「18歳までに障害が発生した証拠」も求められる。これが大きな壁になってきた。
ここは法務省と厚労省が調整し、刑務所などが代理人となって申請できるようにしてはどうか。障害の証拠も医師の診断を判定材料とすればいい。
刑務所と福祉事務所は、出所者をどこの施設で受け入れるかもあらかじめ話し合ってもらいたい。
民間の経験や知恵を生かすことも大事だ。長崎県の社会福祉法人「南高愛隣会」はこの春、東京都内に事務所を設けた。周辺の刑務所から知的障害のある受刑者の出所時期といった情報を知らせてもらい、療育手帳の取得や福祉施設探しを手がけている。
知的障害者が出所後に再び罪を犯さなくても済むようにしたい。法務、厚労両省の連携が急がれる。
以上、引用。
「現状はお寒い。さきのサンプル調査で対象410人のうち、手帳を持っているのは26人にすぎなかった。」
このお寒い現状はどこから来ているのか?
軽度の知的障害者、いわゆるボーダーの人たちの多くは、貧困層で福祉を利用する事さえも知らずに、貧困の谷間をさまよっているのである。
そして、その貧困と知的障害は、世代を連鎖していると言わなければならない現実がある。
経済的・精神的「その日暮し」の貧困から 這い出せないでいる。
過去ログNO.266 「ひまわり~!」・・・知的障害者の子育て。のなかで、その実態について少し触れています。
ある知的障害者の親、いわゆる知的ボーダーの両親 についての質問に触れてです。
もうお母さんは10年近く前に亡くなってるので、お父さんと関わっての印象だけですが・・・。
私の経験上、お父さんは明らかに、軽度の知的な障害があるのではないかと思われます。色々な理解や対応の仕方を見て。
これにはあくまで、責任ある「判定」や「診断」に基づく根拠はありませんが、多分、間違いなく・・・と言うところです。
社会生活を営むこと、特に子育ては、複雑な理解や判断、関係の調整・・・とにかく、高度な知的能力が必要です。昔のように、飯さえ食わせれば育つだろうと言う風には、ますます行かなくなって来ています。
お父さんは、とても真面目で大人しく優しい感じの人です。「どうしたらいいか分かりません、よろしくお願いします」と言ってます。だから、悪意は無いし、なかったのです。
しかし、先日も、家に職員が話を聞きに来ても、テレビ見ながらしか話には入れないし、次の日に娘2人を夜に送っていったときも、パチンコに行っていて10時に帰ったぐらいです。
そういう知的に障害があるか無いかの、ぎりぎりの人が結婚し、子育てしているのは、私が関わってきただけでも数件あります。
そういう親に共通しているのは、脳の器質的・機能的な障害よりも、育ちの過程で、きちんとしたしつけや訓練、教育がなされないまま育って来たのではないか、とう問題です。
かつては私は「環境精薄」と呼んでいましたが、環境因子が主な原因と考えられる知的障害者のことです。(これはまったくの私見です。そういう類型化した学説があるかもしれませんが・・・)
話がずれましたが、大体以上のようなことです。
要するに、知的障害ぎりぎりのラインの人のことです。
知的障害は、単純に数値化されるわけではありません。
ぎりぎりの人で、相談に行って公的機関で判定されれば「知的障害者」、判定がなければ実態がどうであれいわゆる「健常者」です。
そして後者は、ほぼ決まって貧困層です。
そういう相談機関や制度があることを知らなかった人たちです。
社会から放置されたところで、そういう障害が再生産されているのです。
これまた共通して、近所付き合い、親戚付き合いが希薄です。
支援や助け合いのない、孤立したところで障害が、世代にわたり再生産されていると言ってもいいでしょう。
ついでに「多産」傾向も、事実です。4人ぐらい。
生活の見通しが立てられない、その日暮ですから、計画出産など出来ないのです。
それ以前に、排卵、妊娠の知識も十分ではないでしょう、多分。
「自然」に、「原因」があっただけ「結果」が、生まれてきたのです。
殆どの場合、兄弟皆、同様の傾向にあります。
以上、引用。
「貧困と(環境因子による)障害」の連鎖を打ち切らなければならないのである。
今、障害福祉の利用は契約制だ。
かつては行政が「措置」により福祉とつなぐ権限があり、そのことによって彼らの福祉とのつながりも担保されていたが、いまは本人や家族が自ら福祉を見つけ契約をするというのが基本である。
それが出来ない人たちを「自己責任による契約」の中に放り込めば、彼らは永遠に社会の貧困の中をさまようしかないだろう。
しかるべき手を打たなければ、彼らはますます増えていくといわざるをえない。
特に、幼児期や学齢期に学校や関係機関が、より積極的に彼らの保護に力を入れて欲しいし、権限も与えたほうがいいのではないか?
ネグレクト(養育放棄などの虐待)は広汎に存在し、人格障害や犯罪行動につながるケースも少なくない。
思春期にもなれば、問題は人格レベルで固着し、改善は絶望的だ。
ある専門家は小学低学年まで、それを過ぎたら変えるのは不可能に近いと言っている。
早期の保護が決定的である。
勿論、知的障害者と言えども、犯罪は犯罪に違いない。
息子の窃盗癖について、ある父親は「窃盗」という言葉を使わなかった。
「窃取」とした。
知的障害ゆえの行動を社会がどう捉えるのかについて示唆を与えている。
親だから、平謝りするのが常識的かもしれないが、しかし父親は息子の障害とその行動について「合理的配慮」と理解を求めたのだと思う。
おつきあいありがとうさんです。

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2008.05.19 | | Comments(4) | Trackback(6) | ・障害者と「犯罪」
