NO.457 福祉最低基準・・・地方分権の美名で国の責任放棄を勧告。
保育所や老人福祉、障害者福祉の施設には、「最低基準」が設けられています。
例えば、床面積などの施設設備基準や入所定員などの運営基準、職員配置基準等々です。
それにより、日本全国どこに住んでいても国民が等しく「無差別・平等」に、福祉施策を受けることが出来てきたのです。
ヤマボウシ
母屋のベランダから。
街路樹のヤマボウシも今が満開ですね。
(近年は、基準を緩めながら、あたかも各施設の裁量で競争させ、それによって「サービス」が向上するとする「市場主義」「競争原理」=新自由主義政策が、福祉分野にも持ち込まれてきていますが・・・。)
まがりなりにも国が直接、最低基準を定めることにより、財政も出動させながら、憲法25条「生存権保障に対する国の責任」を果たす仕組みが出来ているのです。
この「国の責任」を後退させる勧告が出されました。
政府の地方分権改革推進委員会が28日にだした、国から地方への権限移譲に関する第一次勧告です。
そこには、福祉分野での全国一律の最低基準を「見直し」、地方に委ねることなどが掲げられてています。
国民の福祉・生存権にかかわる分野で、国の行政的・財政的な責任を後退させる方向をさらにはっきりと打ち出したものと言わなければなりません。
国と地方の役割分担については、地方自治体を自治立法権・行政権・財政権を持った「地方政府」に高めることを提唱し、「条例により法令の規定を『上書き』する範囲の拡大」を進めるとしています。
つまり、国が定める最低基準以下でも自治体が福祉施策などを展開できるようにすべきだ勧告しているのです。
「重点行政分野の抜本的見直し」の中では、保育所や老人福祉施設などの最低基準のあり方の「見直し」を勧告。
床面積などの施設設備基準や入所定員などの運営基準、職員配置基準が「全国一律の最低基準として定められている」ことが、「地域の知恵と創意工夫を生み出す芽を摘み取ってしま」う結果となり問題だと指摘しています。
だから、国は「標準」を示すにとどめ、地方自治体が条例で独自に基準を決定できるようすべきだと言うのです。
問題のすり替えで、本末転倒ではないでしょうか。
あたかも地方の自主性や権限を大事にするといいながら、福祉に対する国の責任をかなぐり捨てて、自治体に丸投げするものです。
必然的に財政基盤の弱い自治体では、福祉は後退し、国民福祉の地方間格差が広がるのは目に見えています。
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
この「すべて国民は」が大事だと思います。
「法の下に、無差別平等に」なのです。
国民はどんな事情でも、どこに住んでいようとも「無差別平等」に生存権を持っているのです。
そしてそれを保障する責任が国にあるということが謳われています。
勧告は、政府が六月に策定する「骨太方針2008」に反映されるということだが・・・。
勧告どうりにされると、福祉施設運営の中身はますますひどくなる事でしょう。
国の地方切捨てに対する批判を、「地方分権」「権限委譲」などと、まるで地方を大事にするようなきれいな言葉でごまかしながら、国民福祉への責任を放棄する狙いを読み取らなければならないと思います。
ヤマアジサイ
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2008.05.30 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
