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NO.52 学生実習受け入れ記

今、現場実習の学生が6人来ている。
(ちょっと多すぎ、私の調整ミスで。)
社会福祉士や教職のために単位が必要なのだ。
私は、「単位を取りに来た人は帰ってください、作文でも何でも書けば単位はあげます、人が生きていることを自分の食いぶちにするな」と恫喝する。

実習を受け入れるにあたっては、学校側の実習教育目的も考慮したうえで、最も基本的なことに重点を置いている。
ひとつは、人と関わるということ、自分に向き合うこと。
2つ目に、学ぶということ、自分の頭で考えるということ。

私の主観的な印象で申し訳ないが、今時の学生は人と関わると言うことが、希薄である。
大学では、特別な目的を共有する集団に関わるとかでもない限り、人と深く関わる経験を積む場はないようだ。
気が合わなければ、「はい、さいなら」で済まされるのだ。

実習と言う場は、関わらざるを得ないのである。逃げられない。
しかも、相手はこれまでに関わったこともない、理解しがたいことも多い知的障害者である。

みんな緊張もあり、無難に、上手くやろうとして、腫れ物に触るようであったり、初めは消極的である。

まずはそこを一歩踏み出さなければ…。

一日彼らは、それぞれの作業に入り、仲間たちと関わる。
そして毎日最低でも1時間の反省会。体験し学んだこと、感じたことを出してもらいながら、討論する。
必要に応じて、テーマを決めて学習会も。
「障害とは何か」「憲法」などなど。驚くほど、基本的なことを学んでいないのである。

今時学生がよく使う言葉が「コミュニケーションをとる」。
ほとんどが「会話をする」ぐらいの意味で使っているので、私はその言葉を使うことを禁止する。
関わった事実をそのまま報告するように。

たとえば
衝撃的な話を聞いて、何も話せずにちょっとへこんでしまう。「コミュニケーションがとれなかった」と。
それは違う。相手があなたに話そうと思い、それを聞いてあげることが出来たこと事態が、コミュニケーションである。
関わった事実の質や内容を、具体的に検証することが大事だと言うことに気づかせなければならない。

結果を気にせずに、自分をモットさらけ出してぶつかっていくように求める。「あんたが何かして上手くいかんでも、死ぬようなことはないから」と、乱暴なことを言いながら。

実際、静止していくら眺めても、相手は見えないのである。
ぶつかり格闘しながら、少しずつ見えてくるものなのだ。

実践とはやってみることなのだ。結果を見て検証し、又仮説を立てやってみて…、そうやって考えが深まり、やることも発展していく。
理論と実践はそういう関係にあるのだということを教え、励ましていくのである。

そして大事なのは、ぶつかっていく時に、自分が相手に映し出されていくのである。
未熟で情けない自分、ちょっとほめたくなるような自分…。

人と関わると言うことは、そこに映し出される自分に向き合うことでもあるということ。自分に、真摯に正直に向き合えない人がどうして人と向き合えるだろうか。ましてや、援助を必要とする仲間たちに…。

日誌にコメントを書いたり、討論会をしたり、学習会をしたり・・・結構、大変ではある。
こんなに実習に力を入れる現場は聞いたことがない。自分の学生でもないのに。うちに就職するわけでもないのに…。

私は、「日本一の実習現場だからね。」なんて恩着せがましく言う。
「これは私たちの若者たちへの期待なのだ」と。

学ぶ、考えると言うことについて。

討論の時も、人と比べたり、いい事を言おうと思うな、率直な等身大の自分を出せ、と要求する。

悪しき教育のお陰で、あらかじめある、どこかに隠されている回答を探そうとしてしまうから、自信がなくて発言が消極的になる。
周りの評価も気になる。
実際に、能力差は学校間、個人間ある。
だからこそ、人と優劣を比べるのではなく、昨日の自分、今日の自分より明日の自分が成長することが一番大事だと教え励まさなければならない。

あなたの答えがあなたの正解、それぞれの正解を出し合いながら、討論し皆でモットいい正解を探すのだ、学ぶとはそういうことだ、だから自分の頭で考え自分を出そうと、討論する意味も教えなければならない。
集団討議は、自分の頭や心が、皆の頭や心とつながり大きくひろくふかくなっていくのだと。

・・・そうやって、日を追うごとに、若者たちの表情が、目の輝きが目に見えて変わっていく。

一方、職員は?
討論も関わり全て全職員参加が原則である。調理員も事務員も。
それぞれに、自分の仕事ぶりをさらけ出しながら、自己点検する機会なのだ。討論でも、お客さんはいない。

特に若い職員にとっては大いなる学びの場である。
日誌のコメントを書く。
ああでもないこうでもないと、自分に引き寄せ、自分を振り返りながら。
 この際、身内の若者をほめておこう。彼らは、実習生の指導と言う任務を非常に積極的にとらえ、取り組んでいる。仕事は大いに増えるのに。その取り組みの中で、自ら成長しようと言う率直な努力をしている。だから、楽しいと言う。

私は立場もあるし、少しは偉そうなことも言わなければならない。
世代が離れすぎ、テレもありフォーマルな場での関わり程度でいるが。
望んでも「友さん、これこれについてえ…。」なんて声かけたくなるような顔つきはしてないし…!
「いいんです。ぼくはこどくにたえます」

実習指導は、職員教育の機会でもある。
職員の発言やコメントを見て、その成長ぶりや課題も見えてくる。

こうして、職員も実習生も、自分と向き合いながらぶつかり合いながら、今日も、真剣勝負。

初めはそうでもなかったが、ここ3,4年、実習生の受け入れには力を入れてきた。それは、実習生のためにしてあげるというものではなく、陶友自身のためであると言うことが明らかになったから。
共にかかわりあう中で、新しい力を育ててきた。

実習の仕方も発展がある。
ある程度まとめ、現時点で定式化する必要もある。

先日、学生の日誌にコメントした。
「支援とは、共にかかわりあう中で、新しい価値を創造するものじゃないといけないんじゃないか」と。
横で見ていて、何かしてあげようというような印象を持ったので。

すると、リヤカーで豆腐を売りに行った学生が、どういう声賭けをしたらもっと売れるか、いろいろ工夫して、仲間と一緒に試そうとしたり、もっと買ってもらえるようなチラシを作ろうとしたりの変化が出てきた。
 これもひとつの発展である。

あらら!ちょっとまとまりなくなった。

こうして、1週間、あるいは2週間、4週間とそれぞれの実習を終えていく。

最終日は総括会議とお疲れさん会。
やったという確信に満ちた顔を見ると、今時の若者も捨てたもんじゃないなと思い、可愛くなって、うちの職員にして元を取らな…、なんて思ってしまう。



         今日はここまで。         ご愛読(?)に感謝。

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2007.09.08 | | Comments(0) | Trackback(0) | ・道場日記・オッス!!

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