NO.484 身体も上げちゃろうか?・・・「麦文象嵌深鉢」(むぎもんぞうがんふかばち) 。
もう15年ぐらい、自分の作品らしきものは創っていない。
「麦文象嵌深鉢」(むぎもんぞうがんふかばち)
麦を線彫りし、筆で化粧土を埋め余分をかきとり文様をだす。
「どうして 麦か?」と聞かれたことがある。
「ちゃんとしたことを言わんといかんな」と思った。
「ええ、麦は郷愁があり懐かしいモチーフで、直線が構成する美しさがあり・・・」
・・・ほんとは当時、下心があった。
大学を卒業して「知的障害者・授産施設」に勤めたら、初心者なのに「陶芸班担当」になった。
我流でロクロをひき研修に励んだ。
どこの馬の骨が焼いたか解らないよりも、展覧会などで名前を覚えてもらったら、少しは価値も上がり売り上げも上がるかもしれない。
そこで、展覧会対策に考えて作り出しただけの、そんな根性の、感動も無い作品だった。最初は。
ちょっと、いや結構受けた。
創るうちに愛着も湧き、「ワケ」をくっつけた。
「麦は一本では立っていられない。こんなに華奢で風が吹くと折れるかもしれないが、寄り添うことで、みんなで風を交わしながら支えあって生きている」
「飛びっきり大きく、美しい麦もない。特別に貧相で醜い麦もない。みんな似たり寄ったりで、それでも一本一本が自分の根っこで立っている」
「・・・どこか人間に似ている」
「それに、麦は田舎の原風景の中にあり、見ると懐かしく優しいきもちになれる」
今は、ほんとにそう思う。
これは、径45センチ深さ25センチの深鉢。
三女が小さい時ベランダで、夏の水浴びに使った事がある。
「これだけは、誰にもやらんでよ!」とおっかあが言った。
「思い出があるから・・・」
私の仕事や作品には無頓着のように見えるおっかあだが・・・。
私の作品は殆ど手元にない。高く売れたわけではない。
「いいね」って言われると、酒の勢いですぐにくれてやる癖がある。
「ほんと?じゃあ持って行っていいよ。俺、ほめられるとすぐ上げたくなるっちゃん。身体も上げちゃろうか!」
小さい時から余りほめられたことがなく、ほめられると面食らってリアクションにこまるのだ。
だから、とっさに相手が喜ぶだろうなというりアクションをする。
「身体も上げちゃろうか?」と。
「わー、いいの?ありがとう!」って言われた事はない。
作品をあげると言うと、みんなそう言うのに・・・。
「作品」「作品」ってえらそうに言うけど、「作った物」です、「作物」って書くわけにもいかんし・・・。
ランキングー!

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2008.06.13 | | Comments(6) | Trackback(2) | ・作品たち
