NO.536 [貧困と格差]を広げたのは?・・・政党が「やってきたこと」を見る。(1)
過去ログNO.532 政党助成金が交付された。で、村野瀬玲奈の秘書課広報室からのTBに対して以下のことを書いた。
以上、部分引用。村野瀬玲奈の秘書課広報室は、どうやれば政治を本当の意味で国民本位に変えられるのか、腐心しながら問いかけ、呼びかけています。政党を「支持する対象」と考えずに、「使う道具」と考えたら?と。
この考えは正しいと思います。日本では政党や政治家は偉くて、国民はそれに従うようなイメージがありますが、民主主義とは国民が主人公なわけで、国民の要求や意志を政党や政治家を使い政治に反映させていくというのが当たり前。政党・政治家は、殺傷与奪の権限を国民に握られた存在なのです、本来ならば。
そのためには、主権者が政治の事実・実態をよく知り、一人ひとりが責任ある判断と行動ができるということが大切ではないだろうか。
関連して、+++ PPFV BLOG +++さんより、はたして民主党は「使える道具」だろうかというTBが来た。
以上、部分引用。・・・「支持政党」を「政党信仰」と誤解されることは本意ではありません。私の政党に対するスタンスは上記のようなことであり、いわば「使う道具」と割り切っているものです。
しかしながら「使う道具」には「使おう」とする以前に「使える道具」か「使えない道具」かの吟味が必要かと思います。そのためには「今何を言っているか」ということとともに「今まで何をしてきたか」が重要な判定基準になろうかと思います。
・・・(中略)・・・
特に「憲法関連」「労働関連」「大企業関連」の各法案に対する民主党の態度を見れば誰の方向を見ているのかはおのずと見えてくるのではないでしょうか。はたして「使える道具」なのだろうかと。・・・
「そのためには「今何を言っているか」ということとともに「今まで何をしてきたか」が重要な判定基準になろうかと思います。」・・・選挙になると、どの政党も口当たりのいいことを言うわけで、この指摘は重要だろうと思う。
そういう視点から、私は「政治行動の事実をよく見て判断する」ことを、一連のエントリーで述べてきたつもりである。
前置きが長くなったが、まさに今日のエントリーも、「事実はこうだ」である。
「貧困と格差」が広がった根本原因は何か。
それは、①労働法制規制緩和による非正規労働者の拡大による「労働所得」の格差拡大と、②社会保障連続改悪による再配分機能の低下に求められるのではないか?
ここ10年、これらの問題に日本の政党がどういう態度をとってきたのか検証する価値があるだろう。
①非正規雇用を生み出した、働くルールの破壊は誰がやったのか?
下図のように90年代後半より非正規雇用は飛躍的に増えている。
その原因となったのは、 90年代後半から続く一連の労働法制の規制緩和―とりわけ「派遣労働の拡大」、「裁量労働制の導入と拡大」、「有期雇用制の拡大」・・・いわゆる“三点セット”だ。
この点については、自・公両党も「(労働の規制緩和が)格差の拡大を招いたことは認め」ており、民主・松本剛明政調会長も「非正規の著しい増加の主因は、度重なる派遣法制の変更にある」と認めた。

ではいったい誰が、この「規制緩和」を進めてきたのか?である。
労働者派遣法の導入と改悪
★もともと労働者派遣は、労働者からの「ピンハネ」を防ぐため、職業安定法で禁じられていた。その例外として、1985年に労働者派遣法がつくられ、26業種に限定されていた労働者派遣。
★99年の改悪で原則自由化された。今日の1700万人といわれる非正規雇用を生みだし、格差・貧困拡大の引き金となった大改悪だ。
これを「労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図る」などと的外れな主張をして、推進したのが自民、公明と民主、自由(現民主)の各党。社民党も賛成した。
日本共産党だけが「大量の低賃金、無権利の派遣労働者をつくりださざるを得ない」と反対した。
有期雇用拡大の問題はどうか?
労働法制の要である労働基準法は、98年と2003年に改悪された。
★98年の改悪は、何時間働いても労使が決めた時間しか働いたとみなさない「裁量労働制」を、すべてのホワイトカラーに拡大。変形労働時間制の緩和や、3年たてば使用者が自由に解雇できる有期雇用制の新設も盛り込んだ。
共産党は、改悪案は「ただ働きを合法化し、雇用の保障のない無権利な労働者を大量につくりだす」と反対。これに対し、自民、民主、公明、自由、社民の各党は、改悪案を「おおむね時宜を得た内容」と賛成。民主党の笹野貞子参院議員は五党を代表し、「経済社会の変化に対応した主体的な働き方のルールをつくる」と賛成討論した。
★03年の労基法改悪では、有期雇用を最大5年に伸ばし、裁量労働制の導入手続きを大幅に緩和。これにも自民、民主、公明、自由の各党が賛成した。
★雇用の流動化を促進するため、企業のリストラを国が財政的に援助する雇用対策法等改悪・・・「リストラ奨励法」とも言うべき改悪(01年)は、自民・保守、公明、民主、自由の各党が賛成。
★労働者の派遣期間の上限延長、製造現場への派遣解禁などを盛り込んだ03年の派遣法改悪には自民、公明両党が賛成しています。
以上見てきたように(下表を参照)、働くルールの破壊は、自民、公明が推進し、民主もそのほとんどに賛成して来たというのがここ10年の政治の事実だ。

民主党支持の多くの人々は、こうした事実をご存知なのか?政権交代さえすれば自公政治を変えられるとでもマジで思っているのか?私には不思議でならない。
民主・松本剛明政調会長も「非正規の著しい増加の主因は、度重なる派遣法制の変更にある」と認めたが、自らそれに手を貸したことへの反省の弁も、今後どうしていくかの方針も政党として示すことができない。過去の過ちは誰にでもあることで、そのこと自身は攻めるつもりはないが、反省が必要であろう。
ブログシーンで放言するだけならいざ知らず、真面目に民主党に期待するブロガーの皆さんは、同党への「要求と監視」をいっそう強める必要があるのではないだろうか?「はたして使える道具かどうか」もふくめて・・・。さもなくば、批判する自公と同じ道に連れて行かれることになりかねないだろう。
政治は「リアル」空間の生きた事実だ。
②社会保障連続改悪については、長くなるので次の機会に、ということで。
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2008.07.24 | | Comments(2) | Trackback(4) | ・雇用と労働問題Ⅰ
