NO.537 [貧困と格差]を広げたのは?・・・政党が「やってきたこと」を見る。(2)
うだるような暑さですが、稲の花が咲き始めました。
こちらは夏の強烈な日差しをめぐみに、実りの準備を始めています。(クリックで拡大します。花を見てやってください。)
「貧困と格差」が広がった根本原因について。
「それは、労働法制規制緩和による非正規労働者の拡大による「労働所得」の格差拡大と、社会保障連続改悪による再配分機能の低下に求められるのではないか?
ここ10年、これらの問題に日本の政党がどういう態度をとってきたのか検証する価値があるだろう。」ということで、
過去ログNO.536 [貧困と格差]を広げたのは?・・・政党が「やってきたこと」を見る。(1)で、「非正規雇用を生み出した、働くルールの破壊は誰がやったのか?」を見てみた。
今日は、②「社会保障連続改悪について」見ることにしたい。
資本主義社会といえども、「自由競争による負け組は生きるに値しない」ということではなく、社会保障制度による「所得の再配分」(所得がない、低い人には国が公費で生活を支える仕組みを作るというやり方)により生存権を保障するように、知恵をめぐらしてやってきたというのが、世界の流れです。
しかしここ10数年来、日本では、大企業・財界のボロモウケを応援する自公政治の中で、社会保障がどんどん削られ、国民の生存権が脅かされてきている。
下のグラフは、貧困の指標である生活保護の急増ぶりを示している。
この数字とて、「水際作戦」で生活保護を受けさせない行政の取り組みの中でのことであり、実際の貧困は、生活保護基準以下で暮らすワーキングプア層や安い年金生活の高齢者など数倍とは言わない実態だろう。
さて、下の表を見ながら「格差と貧困」に拍車をかけてきた、この10年来の社会保障切捨て政策の実際の主なものを見てみることにしよう。
★先ずは介護保険制度について。
・97年に制度が導入された。共産党は、当時の法案そのものには保険料負担問題などを指摘し「保険あってサービスなし」になる危険性があると、抜本的改革を求め反対したが、保険制度そのものには「措置制度と公的保険制度の併用」という方向を認めていた。
私は、当時から「措置制度=全額税方式で高齢者の介護を支えるべきだ」と保険制度(保険制度はいったん導入されると、私保険化がすすみ、公は骨抜きにされる危険が高い・・・実際の経過もそうなってきた)そのものの導入には反対だったが、いまでもあのときの共産党は軟弱だったと思う。
・05年5月に介護保険は改悪され、10月施行から要介護認定が変わり軽度の人たちの介護が切り捨てられ、さらには介護施設の居住費・食費が全額自己負担になり、退所に追い込まれる「介護難民」が全国で生まれている。
自公与党と民主党の賛成で改悪は強行された。自公は「利用者負担の不均衡の是正」と主張し、負担増を当然視。民主党も「あるべき介護保険制度へと一定の前進」と賛成。
★介護保険法成立と一体に行われた国民健康保険法の改悪。
ここで、国保滞納者への「資格証明書」発行を自治体に義務づけた。高すぎる国民健康保険料を払えない人が保険証を取り上げられ、病気になっても病院にかかれなくなっている。「資格証明書」では、病院窓口で治療費全額をいったん支払わなければならないため、お金がなくて病院にいけずに命を失う人も出る深刻な事態だ。
賛成したのは、自社さ与党と、旧々民主。かれらは問題点を指摘する一切の議論もしなかった。共産党は、「(国保料が)払えないからと罰則を強化して保険証を取り上げるのでは、国民の命を守る政治の責任が果たせるか」と反対した。
★障害者福祉関係では。
・00年の事業法改悪による「障害者福祉の措置制度撤廃」がターニングポイント。
「措置」は行政処分だから本人を尊重することに反するというまことしやかな理由により、障害者福祉への国の責任を放棄した。取って代わり「契約制度」=「支援費制度」が持ち込まれ、「サービスが必要な障害者は、自分で必要な事業者を探して契約しなさい」となった。
少なくない、サービスや制度にアクセスできない障害者は福祉の谷間に埋没することになってきた。
こうして、「申請主義」(自分から言わないと、行政も誰もどうしてもくれない)が徹底して、福祉サービスからどんどん遠ざけられていくのである。
(各党の態度は表を参照)
・その基本が05年の障害者自立支援法に受け継がれ、「自立」の名によって、障害そのものも「自己責任」とされ、「サービス」にかかる費用に「応益負担」(お金がない人も一律に利用料をとる)が適用された。金のあるなしで、生きることが制限される非人間的な制度だ。
障害者福祉と自立支援法については、現場に関わるものとして以下のエントリーを是非お読みいただきたいです
NO.117 自立支援法・応益負担は許さない!(1)
NO.120 自立支援法・応益負担は許さない!(2)
障害のある人たちは、特異な存在ではなく、「つながる生命=私たちの一部」だということについて、書いています。私が政治的な発言をする原点でもあります。
★母子家庭の支援は?
母子家庭の生活を支える命綱、児童扶養手当。支給から5年たてば手当を最大半減するという大削減を決めたのが、02年11月の母子寡婦福祉法等の改悪。
自公与党は「母子家庭の自立促進」のための就業支援の強化をする、として改悪を推進。しかし、就労支援の効果について坂口力厚労相(当時、公明党所属)は、「やってみなければわからない」などという無責任答弁。民主党は、問題点は指摘しつつも、最後は賛成に回った。
共産党は「母子家庭の生活を保障する国の責任を放棄するもの」と反対。
以上、「貧困と格差」にかかわる労働法制と社会保障法制の内容と、各党の態度を見てきた。
政党の言うことだけではなく、実際の行動を見ることは、今日のマスコミ状況からしてますます重要なことだと思う。
国政に関わる問題は内政から外交と多岐にわたり、それぞれに政党の政策・態度が試されている。
すべてをよく見て考えるほど、私たちもゆとりはないが、それぞれに関心の高いテーマだけでも、事実をよく見てみることが、主権者としての責任ある判断に役立つのではないだろうか。
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入り口はこちらです。下手の横好きですが、どうぞごゆるりと。

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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
2008.07.25 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
