NO.547 「政府・民主」対「共産・社民・国民新」の構図。
昨日のエントリー(NO.546 厚労省も「日雇い派遣原則禁止」へ方向転換・・・?)で、厚労省の研究会が「日雇い派遣の原則禁止」を打ち出したことについて書いた。
この間の世論と運動の成果を評価しつつも、基本的な不十分さを持っていると。
今日は、各政党の態度について見てみよう。
この間の派遣法の改悪を初めとする、労働法制については過去ログ:NO.536 [貧困と格差]を広げたのは?・・・政党が「やってきたこと」を見る。(1)の中で、自公のみならず民主、社民ら共産党を除くすべての政党が共同して、その改悪を進めてきたことを明らかにした。
さて、政府・厚労省までもが「日雇い派遣原則禁止」へ方向転換せざるをえないこの局面で、各党はどうしようとしているのか?である。
面白い報道がある。「毎日」は、4野党一致という点から、民主の「苦慮」ぶりを描いて見せる。先ずは読んでいただきたい。(青字は友さん)
民主党:派遣法で苦慮 改正案、3野党と隔たり(毎日)
労働者の格差是正を図る労働者派遣法改正を巡り、民主党が対応に苦慮している。日雇い派遣の原則禁止を目指す政府方針に対抗し、より厳しい規制内容の改正案を野党4党でまとめるよう社民党が求めているためだ。民主党は、先の通常国会で与党との修正協議を視野に改正案の単独提出を検討したが、他の3野党の反対で断念した経緯がある。臨時国会を前に、再び「野党共闘」と「歩み寄り路線」の間で難しいかじ取りを迫られそうだ。
「野党4党目指すところは同じ。ぜひ協議していきたい」。民主党の山田正彦「次の内閣」厚生労働担当は25日、東京都内で開かれた集会の冒頭で同党の改正案を説明して訴えた。しかし他の3野党代表の発言を聞くことはなく、30分足らずで会場を去った。
野党4党はそれぞれ独自の改正案をまとめたが、社民、共産、国民新の3党は派遣可能職種を「専門職に限り、製造業には認めない」で一致。「現行法通り」の民主党とは隔たりがある。社民党の福島瑞穂党首は、23日の会見で「(3党が主張する)ラインで野党が結束して法案を出せるよう、民主党に働き掛ける」と述べた。
民主党の改正案は派遣会社系労組の支援を受ける議員がいる、といった複雑な党内事情の中でようやくまとめたもの。今月上旬には、山田氏自ら鳩山由紀夫幹事長に「厳しい規制を求める他党と交渉すれば、党内がまとまらなくなる」と訴えた。
「政権担当能力が問われており、今さら非現実的な案にはできない」との判断もある。改正案作りに携わる実務者の一人は「現状は製造業への派遣がかなり多く、いきなり全面禁止では、社会的混乱をきたす」と話す。【小山由宇】
労働者派遣:4野党、「日雇い」禁止は一致(毎日)
労働者派遣法改正で28日、政府案のたたき台となる厚生労働省の報告書がまとまった。すでに改正を主張している4野党の案を比べると、「日雇い派遣の禁止」の方向性は一致しているが、登録型派遣や派遣会社の手数料規制を巡って、「政府・民主」対「共産、社民、国民新」の構図となっている。
登録型派遣については、政府案が「待遇改善で対応」としているのに対し、民主案は派遣期間は「2カ月以下は禁止」としているものの、派遣可能業務については政府案と同じく現行法通りだ。
これに対し、共産、社民、国民新の3党は99年の原則自由化をきっかけに、製造業など幅広い業務に派遣が広がったことを問題視し、「原則禁止し、派遣可能業務を以前の専門的な26業務に限定すべきだ」と主張する。
また、ピンはねが問題化している派遣会社の手数料(マージン)率についても、政府・民主党案は「情報公開の義務化」で一致。これに対し、共産など3野党は情報公開の義務化に加え、上限規制を設ける方針だ。【小山由宇】
2点だけ述べる。
一点目。
「日雇い派遣禁止」を口で言っても、常用ではなく仕事があるときにしか働けない「登録型派遣」を厳しく規制しなければ実効性が無いということ。この点では自民も民主も同じである。
他の野党は、「労働者派遣は、常用型派遣を基本とし、登録型派遣は例外としてきびしく規制する。日雇い派遣は禁止する」という点で、「1999年以前に戻せ」で一致できる。
「政府・民主」対「共産、社民、国民新」の構図は、まさに全体構図なのである。
2点目。
民主党が言う「政権担当能力が問われており、今さら非現実的な案にはできない」との判断は何を物語るのか。
現自公政権を引き継いで担当する能力であり、財界が許容する政策を担う能力である事が明らかだ。「・・・いきなり全面禁止では、社会的混乱をきたす」というのは口実に過ぎない。
国民の批判が強い自公には去ってもらって、顔だけ入れ替える「保保2大政党」による政権交代の実態は、このように政策を検証すれば誰の目にも明らかになってくる。
このエントリーには余談だが、関連した報道で共産党は民主党をどう扱っているか、赤旗記事で見てみよう。
記事は民主党に対し、「登録型派遣に厳しくしないとは、決定的な弱点だ。自民と変わらない。しかも30分で帰って、本気じゃない」とか言わず、批判を避けて4野党共同への期待を述べている。
共産党の民主党批判については色々な議論があるが、それは、いつでも民主党を見つけたら捕まえて、味噌もくそも批判するというものではない。事実と道理に基づき、是々非々・・・。ここでは、この流れの中で4野党の共同を追求することが国民の利益にとって最も重要な局面である。だから、批判するべきところではないという判断があるのだろう。
客観的には「毎日」の論評は正しい。しかし「毎日」は、傍観者であり批評家である。運動論に基づく、批判と論評にはおのずとその方法に違いがあるのである。・・・と思うのだが。
以下、参考にされたい。
派遣労働「原則自由化」前に戻せ(赤旗)
「今こそ派遣法の抜本改正を 希望のもてる働き方の実現を」―。日本共産党の志位和夫委員長をはじめ野党四党の幹部がそろって労働者派遣法の見直しについて議論する「各党トップに聞く集会」が二十五日、東京都千代田区の総評会館で開かれました。
全国ユニオンなどでつくる「格差是正と派遣法改正を実現する連絡会」が、臨時国会で抜本改正を実現しようと企画したものです。中野麻美弁護士の司会で志位氏のほか、民主党の山田正彦衆院議員、社民党の福島瑞穂党首、国民新党の亀井亜紀子副幹事長が討論。会場いっぱいの二百四十五人が聞き入りました。
志位氏は、「中途半端な見直しでなく、人間らしい労働を保障する方向での抜本的な法改正が必要」とのべ、日本共産党の改正法案の考え方を説明しました。
民主党の山田氏は、派遣労働が“働く貧困層”を生んだとのべ、二カ月以内の派遣禁止など同党案を紹介。登録型派遣は広がっているので禁止は難しいとしつつも、「四野党で共同できるよう協議していきたい」とのべました。
社民党の福島氏は、「派遣は例外的な働き方という原則に立つべきだ」として、登録型派遣を制限するなど改正案を紹介し、「四野党が結束して法案を出したい」とのべました。
国民新党の亀井氏も「専門的な業務に限定すべきだ」と強調し、正社員より賃金を高くするなど派遣労働者の数を規制すべきだとのべました。
ルポライターの鎌田慧氏は「せめて解禁(自由化)したところまで戻るべきだ」とのべました。
こうした発言をうけて志位委員長は、「一九九九年に原則自由化したことが諸悪の根源だという点では、共産、社民、国民新党は一致している。与党も原則自由化したことが問題だという認識を持ちはじめている」と指摘。「九九年改正が間違っていた。使い捨て雇用をつくった。ポジティブ方式(業務限定)に戻すよう団結して頑張っていくことが大事だと思う」とのべました。
これに対し、福島党首は「おっしゃる通り」、鎌田氏も「なくなったルールをつくろうということだ」と発言。中野氏も「一致点がある」とのべました。
志位委員長は最後に、「社会的な連帯で解決することが重要だ。抜本的な改正が実現できるよう全力あげたい」とのべました。
イヤ、ちょっと筋が違うかもね。ひいきの引き倒し?まあまあ。(笑)

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2008.07.31 | | Comments(5) | Trackback(5) | ・雇用と労働問題Ⅰ
