NO.565 「自由時間」という名の不自由。
ノリがイマイチなので、花・髪切と思考の浮游空間さんの「余暇を考えるヒマ 」からネタを拝借し、知的障害のある人たちの余暇について書いてみます。
日本生産性本部の「レジャー白書」によると、若者が携帯のメールやインターネットに時間を割き、余暇スタイルが大きく変化しているそうです。
遊びの種類が少なくなり、かけるお金にも格差が表れ、若者のレジャーが「貧困化している」と報じられています。
若者レジャー「貧困化」 遊びの種類減少、支出に格差も(朝日)
若者の余暇の過ごし方が「貧困化」していることが、社会経済生産性本部の08年版「レジャー白書」で分かった。余暇の楽しみ方の種類が、10代は10年間で3割近く減った。生産性本部は、将来のレジャー産業の市場規模を縮小させる可能性があると指摘している。
調査は15歳以上の男女3千人を対象に実施。07年の1年間に旅行、ドライブ、カラオケ、外食など計91種類の代表的な余暇活動に何回参加、経験したか聞き、10年前の調査と比較した。
10代の若者が、1年間に1回以上経験した余暇活動は15.6種類。10年前より6種類減った。減少傾向は全世代でみられたが、10代~30代が顕著だった。
白書は、若者が携帯電話のメールやインターネットに時間を割き、「余暇スタイルに大きな変化が生じている」と分析。賃金の抑制によって可処分所得が増えず、親が子に様々な経験をさせていないことも、余暇の過ごし方の「貧困化」を招いた一因と指摘している。
一方、07年は06年と比べると、国内観光旅行が伸び悩んだ。動物園、遊園地など近場の行楽は人気で、新型ハードが好調だったテレビゲームをして過ごす人も増えた。
余暇の時間や費やすお金については、派遣やパート労働の増加や団塊世代の退職などを背景に、「ゆとり」が増える人と減る人の二極化がみられ、「格差が広がってきている状況がうかがわれる」としている。
余暇時間が「増えた」とする人は16.3%で、前年より2.5ポイント増え、92年から続いた減少傾向に歯止めがかかった。一方、「減った」とする人も27.8%で前年より0.9ポイント増えた。余暇活動への支出も同じような二極化傾向がみられた。(久保智)
この調査に乗った人たちは、まだ余暇と呼べるものを持っているほうだろうが、貧困と格差が広がる中、余暇をどう過ごそうかなど考えられない「その日暮し」の国民や若者が増えている事も想像に難くないでしょう。「人生のやせ細り」が深く進行しているように思います。
私たちが生きて行く上で、「働く」事は生活費を稼ぐ事のみならず、人間的発達にとって重要な意義があることは、この間の作業所における実践で明らかにされてきました。
一方、余暇もまた人間の発達にとっても重要である事は言うまでもないでしょう。
働いて生きるだけで精一杯では、生活も人生もやせ細ったものになります。低賃金で働き詰めの「その日暮らし」を余儀なくされた多くの若者に心を寄せながら、仲間たちの余暇についても考えてしまいます。
知的障害のある仲間たちの場合は、もちろん所得は最貧困である事は言うまでもありませんが、ここでは所得の問題はさておき、仲間たちには「時間はあるが自分では遊べない」という特有の問題があります。
昼休みも自由にボーっとする事ができなくて作業をする仲間がいます。「自由な時間」という名の不自由に縛られてしまいます。
普段は暇なときは一人でテレビを見るか、ゲームをするかCDを聞くか・・・。作業所では仲間がいても地域には友達がいない。仲間たちの余暇を支えるには「人」が必要なのだが、それはもっぱら家族のみという状態です。
こうした中で、作業所でもクラブ活動を通して余暇の活用を経験し学ぶ取り組みを進めてきたところです。実態は少ない職員態勢の中で思うようには進みません。
そもそも、働く時間帯を「余暇利用の練習」に割いているようなもので、ほんとの余暇に、仲間たち一人一人の希望に基づく多様な支援などは不可能です。
働く事と、余暇を含む生活全体を見通して支援できたらどんなにか、効果的で豊かな支援が出来る事かと思い、日々ジレンマの中で、「次のクラブ活動はどうしようかなあ」と考え込んでしまうのです。
深く考えずに、「仲間たちは主観的には楽しんでいるから良いじゃないか」と、時々合理化しながら・・・。
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2008.08.19 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・障害者福祉いろいろ
