NO.612 知られざる?民主党・・・その(4)、働くルール改悪に手を貸す。
(この記事が「NPJ お薦め ブログ」で紹介されました。 3、まじめに働く人が報われる雇用の仕組み)
麻生太郎総理大臣が誕生した。
麻生首相は24日夜、首相官邸で就任後初の記者会見で、「景気への不安、国民の生活への不安、政治への不信という危機にあると厳しく受け止めている。日本を明るく強い国にすることが、私に課せられた使命だ」と述べた。通常は官房長官が行う閣僚名簿発表を自ら行って、リーダーシップを印象付けようとしたが・・・。
自らが閣僚や自民党幹部として「景気への不安、国民の生活への不安、政治への不信という危機」を招いてきたという反省や責任感のかけらもない内容だった。
「贅沢三昧のボンボンが、偉くなって嬉しくて、威張ってのぼせ上がってるの図」だった。
22日、自民党新総裁としての記者会見では、消費税率引き上げに関し、「2015年くらいに(段階的に)10%台にするのが流れだ。食品価格が急激に上がっているから、食べ物はゼロでもいい。一般的なものには10%、こちらは5%と、二つあっていい」と述べており、大企業奉仕、消費税引き上げでいよいよ「景気、国民生活の不安」をさらなる危機におとしめようとする内閣の布陣だということも明らかだ。
新内閣についてはいずれまとめて書くとして、シリーズの続きをすすめよう。
今回は、労働分配に関わる「働くルール」の問題では、民主党はどういう態度かについて。
先ず、自民党は、「規制緩和」「構造改革」の名で、非正規雇用への置き換えで、不安定雇用を広げ、正社員には長時間労働をすすめてきた。
安倍内閣のときは、これに加えて、「残業代横取り」、長時間労働野放しを可能にする「ホワイトカラー・エグゼンプション」を導入までたくらみ(猛反発で引っ込めたが)、「働くルール」破壊を続けてきた。
年収200万以下のワーキングプアが大問題になってきたのだ。
民主党は、小沢一郎代表の「新しい政権の基本政策 ―新しい国民生活をつくる―」の中で、次の政策を掲げている。
①国としてあらゆる手立てを講じて、「働く貧困層」の解消に取り組む。
②中小企業を財政的に支援したうえ、最低賃金の引き上げを進める。
③パートや契約社員を正規社員と均等待遇にする。
④働く意欲のある限り、生涯働ける制度を確立する。
例によって、これら自体は国民の要求に合ったもので、文言としては個々には支持できるものです。
民主党は「働く貧困層」のもと、労働者派遣法改悪の”共犯”
「働く貧困層」は、今世紀に入り急激に増え社会問題となってきた。その決定打は1999年の労働者派遣法改悪。派遣業種を製造業まで広げ原則自由にしたためだ。民主党がこれに賛成したことは、周知の事実。そのことをどう総括するのか。
さらに以下に列挙する労働関係法案にも民主党は賛成してきた。
○1998年、労働基準法改悪・・・「裁量労働制」を「導入」し、「サービス残業」などただ働きの長時間労 働を合法化。
○2003年、上記法の更なる「拡大」改悪。
○同年、産業活力再生法の延長に賛成・・・企業がリストラをすればするほど減税する制度。
○2007年11月には、「最低賃金法改定案」と「労働契約法案」に賛成した。
現在の最低賃金は、年収200万円にもならない低水準の上、都道府県ばらばらで大きな地域格差がある。最賃法改定案は、最賃が生活保護水準を下回らないよう、「労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護との整合性に配慮する」との文言を加えるだけで、国民が願う抜本的な引き上げにつながる保障がない。その上、地域別最賃を必ず定めるとしており、地域格差を固定するものだ。
衆院の審議で民主党は、生計費原則と全国一律最賃制度を盛り込んだ修正案を出していたが、政府案に憲法25条の文言を加えるだけの修正で自民と合意した。
労働契約法案は、労働者と使用者が対等の立場で結ぶ労働契約の原則を定めるもの。にもかかわらず、労働者の合意がなくても、使用者が就業規則の変更によって一方的に労働条件を引き下げる仕組みを盛り込み、労使の合意原則に反するものだ。
こうして一連の経過を見ると、小沢民主党の「まじめに働く人が報われる雇用の仕組み」も、むなしいものではないか。
財界の評価も上がる
民主党の雇用政策は、年々財界好みになっており、財界からの評価も高まっている。
例えば、日本経団連がおこなう“政党通信簿”では、04年時点では民主党の雇用政策について、「方向の違いも見られる」としてDという低い評価をしていましたが、翌05年には、Cにランクアップ、06年もCを維持している。
以上4回にわたって、「貧困をなくし格差を是正するためには『所得を再配分』する必要がある。」と言う視点から、
(1)税の所得再配分機能をどうするか。
(2)社会保障の負担と給付をどうするか。
(3)賃金に関わる働くルールをどうするか。
について、民主党が関わってきた「政治の事実」を見てきた。
「格差と貧困」の”共犯者”の姿が浮き彫り
結局、税や社会保障、雇用問題などで自公政権を批判すればするほど、民主党自身が、「構造改革」路線を自公政権と競い合い、「格差と貧困」を広げる数々の法案に賛成してきたこととの矛盾が明らかになるだけだ。
小沢基本構想は「国民生活が第一」だと言う。その通りだ。
では、自公政権は何を第一にしていたために、今日の貧困と格差が深刻になってきたのかについては、答えがない。「官僚主導の政治が悪い」が基本だ。
政治の手法が悪い。ではその手法で「何が一番の政治」をしてきたのか・・・その政治の中身はなんなのか!?
「財界・大企業が一番」の政治をしてきたことが根本原因ではないのか。そういう政治の中身がいえないのなら、変えようがないのではないか。
「大企業奉仕・大企業が一番」の政治を転換しなければ、「国民生活が一番」の政治は担保されないのだ。
このシリーズは以下も参照してください。
NO.593 小沢民主党で行き詰った政治を変えられるか?
NO.608 知られざる?民主党・・・その(1)。
NO.609 知られざる?民主党・・・その(2)、社会保障改悪に手を貸す。
NO.611 知られざる?民主党・・・その(3)、後期高齢者医療制度導入にも手を貸す。
と、縷々(るる)書いてきて、こんな長ったらしい文章をいったいどれだけの人が読んでくださるんだろう、と振り返ったりする。
コンパクトに、わかりやすく・・・考えなきゃ!
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html

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2008.09.25 | | Comments(6) | Trackback(9) | ・民主党批判Ⅰ
