NO.652 マルチ商法疑惑、どっちもどっちで痛み分けにするな。
マルチ商法をめぐる政治と金、業界と政治家の癒着問題。自民、民主共に疑惑議員が出て、どっちもどっちで痛み分けという雰囲気もあるが、あいまいな幕引きは許されない、ということで一文を。
コスモスといわし雲伝える正義かな (大津留公彦さんよりプレゼントいただきました!)
「マルチ商法」って「ネズミ講」のことだろう?
似たものだが、微妙に非なるもので法規制も違うようだ。(参考)
「マルチ商法」は「連鎖販売取引」といい、次の要素からなるそうだ。
●商品の取引を目的とする
●連鎖的に組織が拡大する
●下の組織から、利益が入ってくる
●利益が入ってくること等で誘い、組織拡大する
●加入者には「特定負担」が求められる
つまり、マルチ商法はお客を勧誘して商品を買わせ、同時に販売員にしたて上げ、知り合いを勧誘させて購買・販売の「連鎖」をピラミッドのように広げる商法。お客が今度は事業主になるわけだ。そして、自分の下の売上高が増えれば会内の階級と報酬が上がる仕組みなので、必死こいて勧誘に走り、洗脳まがいの集会や詐欺的な売り込みなどを引き起こす。
下のほうのものは、自分の下にまたお客=販売人を作らなきゃいけないので、日本中、世界中の人へと「連鎖」的に勧誘が起こる・・・世界人口にも限りがあり、実際にはありえないわけで、ピラミッドの頂点の一握りのものだけが儲け(一説には会員の2割しか儲ける者はいないとか・・・)、下へ行けばいくほど利益より出費が多くなり、生活破たんに追い込まれるシステムだ。
(こんな笑える勧誘が一般的かな→参考「楽しいマルチ商法」)
被害者は下の者には加害者となり、生活だけでなく人間関係も壊す深刻な被害を引き起こしており、国民生活センターには毎年2万件を超える苦情が寄せられるという、大きな社会問題になっている。
世間では、マルチ商法=悪徳商法が常識だが、業界は印象の悪い「マルチ商法」ではなく「ネットワークビジネス」と名乗っている。こんな悪徳商法を政治家が応援するとは「国民生活が一番」が泣き、「消費者行政担当」がお笑いだ!
「ネットワークビジネス推進連盟」というのがある。
同連盟は、「ネットワークビジネスの社会的・経済的意義を正当に評価し、その業界の健全な発展を促進しようと国政レベルで活動する「健全なネットワークビジネスを育てる議員連盟」の先生方と連携した活動を行う他、会員に対する様々な支援活動を行って」いる。
その「沿革」の中に、民主党前田議員をはじめ幹部の関わりが報告されている。
・・・そして、議連の事務局長には前田雄吉議員(民主党)、事務局次長には牧義夫議員がそれぞれ就任。
・・・04年3月1日、前田議員が衆議院予算委員会の第七分科会で、ネットワークビジネスについての質問を行った。前田議員は、質問の中で「ネットワークビジネスを一つの流通のシステムと認知して、法を遵守した活動には、大いに育成していくという、プラス思考でとらえるべき」と発言。これを受けて、中川昭一経済産業大臣(当時)は「ルールが守られ、一定の要件がつくが、検討に値する」と答弁した。このほか、前田議員は経済産業省に対し、連鎖販売取引業界の実態把握を求めた。
そして、04年5月には、山岡賢次議員(民主党)が議連の会長に就任。6月9日には、議員会館において、意見交換会を開催した。ネットワークビジネス主宰会社約35社、ディストリビューター合わせて約70人が出席し、活発な質疑応答を行った。
05年2月28日、2年連続で前田議員が衆議院予算委員会の第七分科会でネットワークビジネスについて質問に立った。ここでは、前田議員が、引き続き経済産業省に対して、ネットワークビジネスの従事者と産業規模の実態調査を求めた。また、ネットワークビジネスを保護育成するための基本法の策定を要望するとともに、国民生活センターのPIO-NET(パイオネット)の苦情件数の判断基準のあいまいさを指摘した。
06年3月1日には、3年連続して前田議員が質問。ネットワークビジネスの実態把握を求めたほか、連鎖販売取引の定義の見直し、前述した国民生活センターの苦情件数へは、「質問についてはカウントしない旨の周知徹底を図っている」との答弁を得た。
そして、06年3月、経済産業省は初めて連鎖販売取引の実態調査を実施。前田議員がその報告書を入手。報告書では、ネットワークビジネス業界の年商は1兆1,209億円、会員数は2,190万人などの調査が判明した。前田議員は、「今後も本格的な調査を求める」としている。
06年9月、衆議院議員 松木謙公氏(民主党)が入会。
また、07年5月には、主宰企業向けにセミナーを開催し、上野理事長からNPUの活動目的・活動状況の説明、議員連盟の先生方によるネットワークビジネスに対する思いや今後の国会での取り組み等が述べられた。そして、事務局から最近の法改正の動向が解説された。
07年11月、議員連盟の新会長に民主党最高顧問の藤井裕久議員が就任。山岡賢次前会長は、公務多忙の為、顧問となった。
07年12月、参議院議員 松下新平氏(無所属)が入会し、議員連盟は6名の議員となる。
現在に至る。
こうして前田議員は毎年、予算委でマルチ商法を取り上げて持ち上げている。
2004年以来4回、マルチ商法を「世界ではもう標準的なビジネスモデル」、「直面している日本の課題にも寄与する産業」と。 更には、被害防止のための国民生活センターのパンフレットの記述を批判したり、「苦情件数受付が正しくおこなわれているのか」など被害防止の活動に圧力をかけている。
1300万余のカネの見返りに国会質問をしていたとすれば、ワイロの疑いも十分だ。

民主党については、前田議員だけではなく、上記「沿革」にあるように民主党中心に前田議員は事務局長、山岡賢次国対委員長が顧問、藤井裕久最高顧問が会長に就いてる。
小沢自民党は、前田議員の離党で幕引きを図ろうとしているが、前田議員の行動にワイロ性がなかったか徹底調査し、説明責任を果たさなければ国民の納得は得られないだろう。
参考;【jan janコラム】小沢一郎側近NO1が起こした「事件」――マルチ商法業界と前田雄吉の黒い関係
前田議員は、「小沢親衛隊」とも呼ばれる一新会(33人が所属)会長。マルチ商法業界からカネを受けて業界寄りの質問を国会でしていた前田雄吉衆院議員が所属の民主党を離党し、次期総選挙に立候補しないことを表明したが、この問題は1986年に東京地検が受託収賄罪で立件した撚糸工連事件に構造が似ている。小沢民主党代表の「側近第1号」とされる前田議員への捜査の手が入っている可能性もある。事実上の「前田処分」は波及拡大を恐れる小沢民主党の「トカゲのしっぽ切り」かもしれない。
上記コラムは◆絵に描いたような受託収賄 ◆撚糸工連事件の前例 ◆検察が動き出している可能性・・・などにも触れて書いている。参考にはなるでしょう。興味ある方は直接リンクからどうぞ。
さて一方の消費者行政をあずかる野田聖子担当相。
1996年の国会で2回にわたってマルチ商法を取り上げ、
「連鎖販売取引(マルチ商法)イコール悪という考え方を転換して、この際、日本の次代の産業を支えるいわゆるベンチャービジネスの一つ、新産業として認知」するように、
「この業界こそベンチャービジネス」「連鎖販売取引という形をとっている訪問販売が消費者ニーズにかなっている、消費者の側からも望んでいる声がある」と持ち上げ、「新産業として認知し業界の健全な発展を支援する立場で国は取り組む」よう求めている。
さらには「たとえば雑草を農薬で駆除しようと思ったらいい作物まで枯れてしまう」とまで言って擁護している。前田議員と大差ない。
野田氏は「消費者側への意識が希薄だった」と反省をのべるも、「業界擁護ではない」と開き直り、しかも業界の献金も最近のものしか公表していない。やましい事があるに違いない、横着だ!消費者行政の担当大臣として適格性が問われる大問題だ。
自民党とマルチ関連業者との癒着はまだまだ根深く、ひどい議員がいるようだ。こちらを参照→「きっこのブログ」
ここで気になることがある。
「きっこのブログ」では、「‥‥そんなワケで、自民党と民主党の一部の議員が、マルチ商法の業者から献金を受け取ってたり、パーティ券を買ってもらってたって話は、どっちもどっちだと思うし、今さら騒いでもジンジャエールだと思う。」と言っている。
さらに、「カナダde日本語」さんは、以下のように述べている。
(ネットワークビジネス推進連盟消滅の報は確か?NPU議連はすでに解消していると2008年10月13日に民主党の鳩山由紀夫幹事長が説明したが、議員連盟の事務局長である前田雄吉衆院議員のマルチ業界から講演料と献金を受け取ったことが判明した時期との前後関係は不明である。ことが明らかになって解散させたのか?)国民の気持ちを代弁して、麻生に解散を迫ってくれた民主党石井一副代表が5年前にマルチ商法業界の政治団体「流通ビジネス推進政治連盟(現・ネットワークビジネス推進連盟、東京都)」などから献金450万円受け取っていたことがわかった。
でも、前田議員や野田議員のように国会でマルチビジネスを擁護していたわけじゃないし、ネットワークビジネス推進連盟を立ち上げて、名誉会長に就任していたんだけど、すでにそのネットワークビジネス推進連盟は消滅しているそうだ。マルチビジネスを堂々と擁護していた野田議員を消費者保護行政を推進する立場である消費者行政担当相に任命した麻生の責任に比べたら、たいしたことないと思うよ。
国会で業界擁護の質問を繰り返した前田氏と他の関係党員との「違いは歴然」とした小沢氏の論そのものだ。
どっちもどっちで仕方ない。民主よりは自民が悪い・・・。
有名で影響力のあるブロガーとしては、その見識を十分に発揮して欲しいと注文をつけたい。
政権党であれ野党であれ、金権政治をなくし、悪徳商法を規制し消費者を守る事が求められているのではないか。そのためにも、両党はきちんと調査をし説明責任を果たさなければならないと思うのだが。「どっちもどっち、痛み分け」で幕引きは許されない。
こちらも参考に→ネットワークビジネス=ネズミ講を持ち上げた人は責任を取れ!(大津留公彦のブログ2)
長くなったが最後に、
この問題の根っこには、企業献金を容認してきた問題がある。
企業献金が、ワイロと金権政治の温床となっている。この国の政治にずっとつき物だ。
政治と金をめぐってはいろいろな課題があるが、何よりも先ず、企業・団体献金の禁止を!
きっこさんは、「一番いいのは、あたしが支持してるオムライス党みたいに、『いっさいの企業献金は受け取らない』っていうクリーンな政党が政権を取ることだけど、・・・」と書いているが。
なるほどオムライス党って言う、清潔な政党もあるんだ。企業がくれないだけで、団体献金は一党支持締め付けで、取るってるんじゃないの?(笑い)
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html

友さんの写真ブログです。下手の横好きですが、どうぞごゆるりと。

いつもありがとうございます。
マルチ商法疑惑は自民も民主も徹底調査で説明責任を果たせ!
問題の根っにある 企業・団体献金を禁止せよ!
そうだと思われる方は、ランキングー

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2008.10.20 | | Comments(10) | Trackback(0) | ・政治と金の問題Ⅰ
