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NO.788 医療をめぐる麻生総理の「たらたら」発言と「メタボ健診」。

 医療をめぐる麻生総理の発言については、NO.782 麻生総理の「暴言、失言追っかけ」ではありませんが・・・。で書いた。

 それは、「医療削減ありきの医療切捨て政策を、「健康は自己責任」というイデオロギーで包み込み、公的医療保険制度を切り崩し、私保険化へ地ならしをめざすものである。こう言う人にこの国の医療や社会保障を任せられないのは明らかでは無いか。」と結論付けたのだが。

 もう少し、書いてみたいと思う。

紅葉 01


麻生発言は政権の本音
 要は麻生総理の失言ではなく、この政権の本音を、例えば小泉が口にしたように、日常用語でわかりやすく表明したに他ならないということだ。

 「たらたら・・・」発言は、20日の経済財政諮問会議(リンク先の11ページ目)の中で飛び出した。先ず、一部で言うように「発言の部分をあげつらった」批判ではないことが解るだろう。(こんな政府文書は、素人の私には少々読みづらいが・・・)

 この会議は、社会保障と財源をテーマに医療費の効率化についてなされたものだった。 

結論的には、国民全体の広く薄い“割り勘”、すなわち、税金による公費、公助が安定的に社会保障を賄うことが必要である。
「(2)安定財源の確保の考え方」について。「中福祉・低負担」の現状を改善し、負担増への国民理解を得ていくには“value for money”の考えに立って、制度の質の向上と安定財源の確保を、同時に進めていくことが重要である。
高齢化の下で「中福祉」を維持するべく、国民ニーズに沿った機能強化やいわゆる「自然増分」等について具体的な内容と必要公費見通しを示し「それなら“割り勘”を負担してよい」という納得、国民の理解が得られるよう、合意を形成すべきである。


 与謝野経済財政相が、医療費の効率化について「ただ、社会保障は放っていたら幾らでもお金が出ていってしまう。これは相当注意深く物事をやっていかなければいけないし、効率化というのは大事な目標である。」と発言し、それを受けての麻生総理の発言だった。

経済財政諮問会議での麻生総理の発言

 67歳、68歳になって同窓会に行くと、よぼよぼしている、医者にやたらにかかっている者がいる。彼らは、学生時代はとても元気だったが、今になるとこちらの方がはるかに医療費がかかってない。それは毎朝歩いたり何かしているからである。

私の方が税金は払っている。たらたら飲んで、食べて、何もしない人の分の金を何で私が払うんだ。だから、努力して健康を保った人には何かしてくれるとか、そういうインセンティブがないといけない。予防するとごそっと減る。

 病院をやっているから言うわけではないが、よく院長が言うのは、「今日ここに来ている患者は600人ぐらい座っていると思うが、この人たちはここに来るのにタクシーで来ている。あの人はどこどこに住んでいる」と。みんな知っているわけである。あの人は、ここまで歩いて来られるはずである。歩いてくれたら、2週間したら病院に来る必要はないというわけである。その話は、最初に医療に関して不思議に思ったことであった。

 それからかれこれ 30年ぐらい経つが、同じ疑問が残ったままなので、何かまじめにやっている者は、その分だけ医療費が少なくて済んでいることは確かだが、何かやる気にさせる方法がないだろうかと思う。

 河村官房長官が「その場の雰囲気はみんなうなづいていた」といったように、日本の経済財政に関する政府方針の「頭脳」そのものの考え方ということであり、それだけ国民の願いや気持ちとかけ離れているという証明でもある。

医療費抑制のために国民は健康つくりにはげめ!
 そもそも、「健康は自己責任」という考え方は、政府厚労省の「医療費適正化」という名の、医療費削減計画の中心をなすものだ。2006年の医療制度改悪法は、後期高齢者医療制度の導入に隠れて、健康診断の仕組みも変えた。いわゆる「メタボ健診」の導入が来年度から始まる。これは、医療費を抑えるために国民は健康つくりにはげめ!という政策で、「自分で健康維持の努力をしないものは、公的な医療では面倒は見ないぞ」というものだ。

 例えば、健康増進法(2002年)では国民の責務を次のように規定している。

(国民の責務)
第二条  国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。


 1996年の公衆衛生審議会によって、「成人病」は「生活習慣病」と呼びかえられた。これは医学用語ではなく政策用語である。生活習慣病という言葉は、「日ごろの不摂生が原因となる病気だから、健康に留意しない個人の責任が問われる病気なのだ」という意味であり、さらに、「自分の不注意なのだから、本来医療保険で診る必要はないじゃないか」という意味まで持つようになってくる。
麻生総理の発言は、実に当を得たわかりやすい政策用語の説明だというわけだ。

 こうして、「生活習慣病」という言葉は政策用語として、医療費削減という政策目標実現のイデオロギーとして、国民の脳裏にしみこまされて来たのである。

先のエントリーで、以下のように雑駁に書いたことの意味は、以上のことである。

「健康は自己責任に関わる問題。健康管理は国民の努力義務。努力義務違反の病人は、自己責任。」って奴。
そういう病気の人は、自分で負担して治療しなさいね、となる。
そのうち、生活習慣病の糖尿病なんかは、保険診療から外しますよ。だって生活習慣が悪いのは、あんたの責任でしょ?!(この「生活習慣病」という呼び方が曲者だね、使われ方によっては)

今後は、後期高齢者医療制度だけでは終わらない。
次は、メタボ医療制度を考えてる(?) メタボの人だけの保険制度。 もちろん、保険料は高いよ。その原資だけでやるよ。
不摂生で健康の自己管理もろくに出来ずに、病気になった奴を、何で国が面倒見る必要があるんだ?税金からの持ち出しはなしの、自立したメタボたちだけの保険制度。

・・・ま、そんなことをしながら、民間の保険会社が上手な保険制度を作ってくれるでしょう。
自由競争がサービスを良くしていくから、金さえあれば安心でしょう。・・・、競争原理って奴。



 こうして新自由主義にもとづく構造改革路線は、「効率」や「規制緩和」「市場万能論」という大枠の用語だけでなく、国民生活に日常に潜む、一見それとは関係ないような「生活習慣病」のような政策用語を駆使することを通じて、福祉国家型の政策を切り崩す「洗脳」をたくらんできたのではないか。

 麻生総理は、それを今度は「国民用語」に置き換えてだけである。余りにもわかりやすかったから、その本質を見た国民が総反発をするのは当然の成り行きであった。小泉純一郎みたいな手法だったが彼のように上手くは騙せなかったということだろう。

 こうしてみると、麻生総理の発言が、かれがKY(漢字も空気も読めない)なアホウ総理だからと見るのは皮相的な見方で、政権全体の狙いを見過ごす危険を孕んでいるとはいえないだろうか。

 もう一点、「予防医療が大事だ」ということについて。
 医療費を削減し、国民を医療から遠ざけて「健康増進を」といっても、真に国民の健康を守ることも、予防医療をすすめるともできないのではないか。

 かつて老人医療無料化に最初に取り組んだ沢内村は、高齢者医療の無料化を通じて、「一言で言うと、村が明るくなった」(増田院長)という村を作った。無料で安心して医者にかかれると、病気の早期発見がすすみ、お医者さんに身近に接することでお年寄りの健康への自覚も高まって行き、その相乗効果で遂には、医療費も少なくなっていった。高齢者医療だけでなく国民医療全体への貴重な教訓だ。

参考過去ログ:NO.599 「敬老の日」に考える・・・姥捨て山医療制度は廃止せよ!

 だからこそ、総理としての資格もなく、解散総選挙によって信を問うことが切に求められているのである。


 
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2008.11.30 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・安心の医療を

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