NO.797 励みは「妻、洋子のキス」・・・長門裕之「老老介護」を語る。
今日も休む。無理できないことはないが、職場は何とかなりそうなので甘えさせてもらうことにした。
寝込むほどもないので、暖かくしてテレビを見ていたら、ワイドショーで次の記事が紹介されていた。
色々思うところがあったので紹介したい。
長門裕之・南田洋子夫妻が今、深刻な「老い」の問題と闘っているという。先日もNO.684 二人の歴史の中で紡ぎ合ってきたもの。 で紹介したところだが。
産経新聞から部分的に引用しておきますので、関心がある方はリンク先でどうぞ。
【ゆうゆうLife】向き合って 俳優・長門裕之さん(74)(上)(産経)
「人間の尊厳を守る」 介護の進化をとげたい
洋子の記憶がこぼれ落ちているのに気付いたのは、5年ほど前でした。平成15年に撮影した映画「理由」(大林宣彦監督、16年公開)のセリフが覚えられなかったのです。そのころは老化現象だと思いました。尊敬する女優、南田洋子をなんとか取り戻そうと、「老化を克服する努力が足りない」「おまえは大女優なんだぞ」などと叱咤(しった)激励しました。洋子は苦しかったでしょう。いたわりの気持ちが持てたらよかったのに。申し訳なく思います。
「もう駄目だ」と思ったのは、共演したテレビドラマの撮影中でした。
洋子が現場で監督に「影に台本を置いてもいいですか」と聞いたのです。監督は承諾しましたが、そんなことでは世間の評価は落ちてしまう。だから「覚えろ」と言いました。しかし、セリフは出てきませんでした。洋子はそのころから不眠に悩まされていて、お医者さんから処方された睡眠導入剤を飲んでいました。
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洋子の下の世話には対応せざるを得なくなっていきました。それは、とても複雑で、デリケートな問題で…。最初のうち、洋子は「紙おむつ」という言葉に傷ついていましたから、言葉を選びながら少しずつ近付いていきました。
介護するときに大切なのは、相手の尊厳を守ることだと思うのです。私でも、介護が必要になったときに「はーい、おしっこに行きまちゅよ」なんて赤ちゃん言葉で話しかけられたら、腹が立つ。優しくしたつもりの言葉で傷つけているかもしれないのです。
今では「おむつ」という言葉に過敏に反応しなくなりましたが、それでも、尊厳を守るために「おむつ」ではなく「パンツ」と言うようにしています。
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そんな気遣いが彼女に伝わったら「ありがとう」と言われるはずなのですが、「ばーか」という言葉が返ってきます(苦笑)。その言葉が、私への感謝の言葉だと理解するようにしています。彼女が発する意味が通じない言葉の中にある感情や要求。それを見逃さないようにしています。
【ゆうゆうLife】向き合って 俳優・長門裕之さん(74)(下) (産経)

老老介護の激しい現実 励みは「妻、洋子のキス」
今、本当に私がほしいのは力です。洋子を軽々と持ち上げる力が残っていれば、楽だろうけれど、その力がない。だから、洋子に体を全部預けられると受けきれないんです。
私自身、平成7年には解離性動脈瘤(りゅう)を治療しました。以来、血がさらさらになる薬は飲み続けていて、先日、風呂場の備品に左手をぶつけたときには、アザが大きくなってしまいました。
今年11月上旬、テレビで洋子と私のドキュメンタリー番組が放映された後も、視聴者から「洋子さんより長門さんの方が危なく見える」などというメールや電話が寄せられました。そんな反響には、笑っているしかありません(笑)。「絶対、大丈夫」なんて言えませんから。
その取材では、入浴の撮影は遠慮してもらいました。しかし、通常は、私が洋子を湯船に入れたり、風呂場で体や頭を洗うのを手伝っています。顔を洗うときに「せっけんがついた手を顔へ」と教えても、必ず頭にあててしまうので、目の前で自分の顔を洗ってみせます。
背中にお湯を流すときには「お背中を、ながしましげお〜」なんて駄洒落を言うこともあります。彼女は笑います。お笑いタレントではなく、私がギャグを言う意外性が面白いのでしょうか(笑)。2人分を洗うため、入浴に2時間もかかります。
お手伝いさんには毎夜、泊まってもらいますが、私も1時間半おきに起き、洋子の部屋をのぞくようにしています。寝ぼけて足がもつれ、ひっくり返ったこともあります。洋子に「しっかりして」と励まされたことも(笑)。でも、行かないわけにはいかない。私が来るのを期待しているとき、洋子は布団をはいで起きる体勢で待っているのです。
泊まりの仕事があるときはつらいですよ。心配で仕事先から電話をかけても、洋子は「大丈夫」と言うだけ。つい、現状を聞き出そうと質問してしまうのですが、彼女は言葉を見つけることができません。
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つらいときの救いは、洋子のこびないかわいさです。彼女のしぐさに、胸がときめくこともあります。
たとえば、「チュー」と言うと、ほおにキスをしてくれるのです。言葉がうまく見つけられなくなった洋子に「ばか」と言われて、「『ばか』と言ったら、チュー(キス)をする」と迫ったことがあるんです。それを喜んでくれて、以来、洋子は「チュー」というと反応してくれるようになりました。この行動には「ワンバカチュー」と名付けました(笑)。
夜中に私の部屋で、ぼんやりテレビを見ながら塩せんべいをボリボリかじるのも、私の側にいたいからだと伝わってきます。病気も含め、昔とは違うけれど、理屈を言わなくなった洋子がいとおしい。夫婦で寄り添う幸せを感じるようになりました。
そんな洋子には、私の没後も生活に困らないように暮らしてほしい。だから、住まいは洋子名義にしています。私が先に死んだら、住居を売ったお金で老人ホームに入ったらいい。
だけど、今は介護する充足感で活性化していて、自分は死なないような気もします。来年からは後期高齢者に属する年ですが、気弱な自分を洋子に見せたくないと思うからか、最近、重い病気にかからなくなりました。
今まで、女性問題やお金のことで苦労をかけたときに、優しく手を差し伸べて、肩を抱き寄せてくれた洋子の優しさを、私は忘れないでしょう。洋子が記憶を失っても、です。洋子を介護できることには幸せを感じています。洋子のために一生懸命に生きたいという思いが、今の私の元気の源かもしれませんね。
自分、自分たち夫婦のことに引き寄せて考えるにはまだまだ・・・です。
経済的に恵まれているということへのヒガミがないわけではありません。この国では国民みんなが、その望む介護を受けられるようにはなっていない、・・・そういう事実を差し置いても、長門裕之さんの想いには共感し、献身には頭が下がります。やはり、彼の気持ちひとつの問題というよりも、長い二人の暮らしの中から紡いできた優しさなのでしょう。
大切なものは大切にしつつ、それを一面的に評価して、介護はかくあるべきという押し付けをメディアはすべきではないでしょう。公的介護の充実の中でこそ、関係者一人ひとりの思いもその花を開かせるのだと思う。

お付き合いついでにシャッターはこころで切れ!で、紅葉狩りでもどうぞ。
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2008.12.05 | | Comments(1) | Trackback(1) | ・福祉・社会保障全般





