NO.823 障害者自立支援法、厚労省見直し案、「応益負担」 基本変わらず。
口先だけは「抜本見直し」を言わざるをえなかったが・・・、問題の根幹には手をつけず!
厚生労働省ガ提示した障害者自立支援法「見直し」案。
10日、社会保障審議会障害者部会(潮谷義子部会長)にだされたものは、障害者に重い負担となっている「応益負担」という考え方にあくまでもしがみつくもの。到底許容できない。
障害者自立支援法(2006年4月施行)で導入された「応益負担」は、利用した福祉や医療サービスの原則一割を障害者・家族が負担する仕組み。障害が重い人ほど、負担が重くなるため、障害者団体などから「応益負担廃止」を求める切実な声が大きく広がって来ている。
ところが、「見直し」案は、利用者負担について、これまで二度にわたる利用者負担軽減措置(08年度までの時限措置)を「継続しつつ、必要な見直しを行うべきである」としただけで、「応益負担」の見直しには踏み込んでいない。
その理由は、負担軽減措置によって「相当程度応能的な性格のものに変わってきている」からだという。この言い分自体が「応益負担」の誤りを認め「応能負担」にすべきだと言うことを認めたたことに他ならないではないか。
また、「見直し」案では「(障害者の)所得に応じてきめ細かな軽減措置が講じられてきていることについて、国民に明確になるようにしていくことが必要」などとも述べている。説明不足が原因だとでも言うのか?ここ2年間十分にその本質が明らかになっているからこそ、当事者・関係者や国民の反対が広がっているのである。
今や、憲法違反だと裁判まで起こされているのだ。
関連過去ログ:
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さらには、施設経営を窮地に追い込んだ「報酬の日払い方式」についても、なんら見直す向きがない。福祉労働者のワーキングプア状態を変えられず、利用者サービスの切捨てでしか経営を維持することができなければ、まさに、施設の存立の意義さえ問われているのだ。
「見直し」案は15日の障害者部会で正式に決定されることになっている。(なんと、殆ど手付かずのまま認められましたね。現場が全く見えていない!しかし、経営者の中には、自立支援法容認も広がっているような・・・。)
障害者共同作業所の全国組織「きょうされん」は11日、「見直し」案について以下の声明を発表。
詳しくは以下の「声明」をお読みいただきたい。
「障害自己責任論」に対する私の反論過去ログ:
NO.117 自立支援法・応益負担は許さない!(1)
NO.120 自立支援法・応益負担は許さない!(2)
こうした立場から、私たちは、応益負担廃止などを求める「きょうされん第32次 国会請願署名運動」に取り組んでいます。
「声明」は、「障害をたとえ一割あるいは数パーセントであっても本人や家族の責任に帰する障害自己責任論という誤った考え方を残すものであり、断じて認めるわけにはいかない」と述べ、「応益負担は廃止するべきである」と改めて主張している。
社会保障審議会障害者部会報告(案)への声明
2008年12月11日 きょうされん 理事長 西村直
12月10日の第48回社会保障審議会障害者部会(以下、社保審)において、「社会保障審議会障害者部会報告~障害者自立支援法施行後3年の見直しについて~(案)(以下、報告案)」が示され、最終報告の骨格が明らかになった。きょうされんは、障害者自立支援法(以下、自立支援法)を廃止し障害のある人の地域生活に真の安心と安定をもたらすための新たな立法体系を構築することが必要であるとの立場でかねてより提言を行ってきたが、改めて以下の声明を発表する。
一、報告案は利用者負担について応益負担を基本としながら、現行の軽減策を継続するべきであるとしている。しかしこれは、障害をたとえ1割あるいは数パーセントであっても本人や家族の責任に帰する障害自己責任論という誤った考え方を残すものであり、断じて認めるわけにはいかない。そもそも社保審において、全国の障害のある人と家族の「応益負担は撤廃してほしい」という切実な願いを正面からとらえ、その本質問題についての議論が尽くされたのかは甚だ疑問だ。障害者自立支援法訴訟が始まり応益負担の違憲性が司法の場で問われようとしている今、障害者権利条約が明示した合理的配慮義務を日本の障害者施策の隅々まで行き渡らせる立場からも、応益負担は廃止するべきである。
二、報告案は応益負担とのセットで導入された報酬の日払い方式について「利用者の個別のニーズに応じたサービスの選択が可能」であるからこれを維持し「報酬改定等において必要な措置を講じる」としている。しかしながら、事業所に深刻な経営難をもたらし利用者への支援を困難にしている日払い方式の矛盾は、多少、報酬を上げる程度では解消されない。報酬の日払い方式は、月払い方式に戻すべきである。
三、報告案では事業体系の在り方について、現行の体系を前提として「必要な見直しを実施すべきである」としている。しかし、障害のある人の実態や願いとは全く乖離した一般就労至上主義と訓練主義への傾倒は解消されず、また一般就労に近いところに重点的に予算を配分するために成果主義に基づいて過度の競争を煽るという仕掛けも残されたままである。このような基本問題を抱える現行の事業体系は廃止し、雇用行政と福祉行政を実質的に一本化させた上で、小規模作業所と地域活動支援センターを含めたすべての事業を対象とする新たな体系を構築するべきである。
四、報告案では障害程度区分について「各々の障害特性を反映したものに見直すべきである」としているが、医学モデルに基づいて本人の障害程度から必要な支援を決めるという根本的な問題は解決されていない。ICFや障害者権利条約といった国際水準を十分に踏まえ、社会生活モデルを基に環境要因やニーズに応じて必要な支援を導き出すという新たな仕組みを構築するべきである。
五、他にも論点はあるが、上記4点だけを見ても社保審における議論が自立支援法の枠内での検討に終始したことは明らかである。福田首相(当時)や麻生首相が、国会等において「抜本的な見直しが必要だ」と述べ、全国の障害のある人や家族、関係者は大きな期待を寄せたが、結果は「抜本的見直し」「解体的出直し」には程遠いものとなった。また、社保審での審議やヒアリングで出された意見の多くが報告案に反映されていないことは、最初から結論が決まっていたのではないかとの疑念さえ抱かせるものであり残念でならない。私たちは、自立支援法がもたらしたマイナスの影響を解消し障害のある人の地域生活をプラスに転じさせるために、引き続き力を尽くすことをあらためて決意し、ここに表明する。
参考::障害者自立支援法を廃止し、人間らしく生きるための新たな法制度を
2008年12月1日 日本共産党
お付き合いついでにシャッターはこころで切れ!も、よろしく。
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2008.12.16 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・障害者自立支援法Ⅰ
