NO.844 みんな5%なら公平で平等な負担じゃん?(消費税増税反対キャンペーン第2弾④)
(この記事が「NPJ お薦め ブログ」で紹介されました。)
消費税は子どもでも大人でも、金持ちでも貧乏人でも買い物をすれば同じ5%の税率ですね。これって一見公平で平等に見えますね。ん~~ん!
税の負担を考える時に大事なのは、単純な税額ではなく、収入に対する税負担がどれだけあるかが問題なのです。
下の表は、世帯別年収を10のランクに分けて、年収に対する消費税などの負担率を表しています。
これによると、年収が一番低いランク(年収214万円)では、その収入の8割を消費に回すため、消費税負担率は4.2%。逆に一番高いランク(年収1646万円)では、3割ぐらいを消費に回しても生活が出来、あとは貯蓄に回すので、消費税の負担率は1.6%で済みます。このように消費税は低所得者ほど負担割合が重くなるのです。酒、タバコ、ガソリン税などの個別課税も同じことが言えます。
そして、消費税が所得税などと違うのは、「どんなに収入が少なくても、課税される」ということです。年収200万に足りないワーキングプアだから「消費税税を取らないで!」は通用しない仕組みなのです。障害者作業所の工賃と障害年金を合わせても100万にも満たないから、「消費税は払いません」とは言えないのです。
所得税との違いをもう少し詳しく見て見ましょう。
まず、所得税の仕組みは、(1)「収入―(マイナス)必要経費あるいは原価=課税標準」(2)「課税標準―人的控除および特定支出控除=課税所得」(3)「課税所得×税率=算出税額」(4)「算出税額―税額控除=納税額」となります。
めんどくさいようですが、要するにここで重要なことは、「必要経費」を認めていること。もし「必要経費」に配慮せず、「収入」にいきなり税金をかけたらどういうことになるでしょう。
「必要経費」そのものには税負担能力がないのに、「必要経費」も含めた「収入」全部に税金がかかります。そうすれば、「収入」から「必要経費」を引いた残りである「付加価値」から税金を払うしかなくなり、負担能力以上の負担をすることになりかねません。要するに単純に言えば、儲けがなく赤字でも税金を払わなければならなくなるということです。
「必要経費」を控除するということは、担税力(税金を負担する力)を正確に計算し、その力に課税するいう考え方から出てきたもので、所得税は近代的で合理的な税制と言われる所以です。
こうして所得税の場合には、一定の水準以下の収入には課税されません。生活保護費、失業手当、障害年金、児童扶養手当などは最低生活を保障するものには非課税です。
租税民主主義という考え方
こうした考えは、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を「保障する」精神を踏まえて、生活費非課税という考えが出来てきたからだと言われています。そして、「生活費非課税と共に、所得が多い人が重く少ない人は軽く、直接税を中心に総合累進性で」というのが租税民主主義として確立してきたと言われています。
これに対して、消費税は、担税力など無視した前近代的な税制です。
日本では、鎌倉時代に「地口銭(じぐちせん)」という税金があったそうです。これは「土地の間口ごとに一定の基準をもって賦課され」、「京都では12世紀半ば以降には土地の面積を間口と奥行きで表す」ようになり、面積に税金をかけるようになったといわれています。それを「外形課税」というそうです。
要するに単純に言えば、目に見えるものに課税する、目に見えなくても、消費など、簡単に把握できるものに課税する―というやり方と言っていいでしょう。これだと、所得がどれだけであろうが、なかろうが、赤字法人だろうが利益法人だろうが、課税できるということになります。そんな事やってたらわやくちゃです。消費税もこんなものですね。
現代の租税は、窓税、扉税、土地・家屋税のような外形課税、人頭税のような税金から、収益税、所得税へと発展してきたといわれています。消費税は、このような「外形課税」のような前近代的なものといわなければなりません。
ちょっと理屈っぽくなりましたが、財界・大企業や政府税調を初めとする消費税増税論者のように「みんなで公平・平等に支える税だ」というのは大うそで、「基幹的な税」だという考え方は、時代逆行と言わなければならないでしょう。
税のあり方を考える場合は、単純にその額や比率を見るのではなく、収入に対する負担率を見ることが大切だという話でした。
消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性の前近代的税で、さしずめ生活破壊税、福祉破壊税と言わなければなりません。
お付き合いついでにシャッターはこころで切れ!も、よろしく。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
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2008.12.26 | | Comments(4) | Trackback(2) | ・消費税・財源・税Ⅱ
