NO.857 福祉介護労働を貧困ビジネスにするな!
始業は明日からなんだが、「今日できることは・・・」と、珍しく殊勝になり、窯焚きのために職場に出てきた。今日の日付のうちには終わりたいものだが・・・。ちょっと時間があるので・・・。
めったにTBをもらうことも無い非国民通信さんから、「それは誰のため?」というTBを頂いた。
非国民というネーミングもユニークだが、彼はニュース記事をオリジナルな視点から縦横に突っ込みまくる、鋭い論者として私も注目するブロガーだ(別に俺が注目したところでたいした話でも無いが・・・)。ちょっとアブナイ発言もあるが実に堂々たるもので小心者の私などは、感心してしまう。
ところで、今回の突っ込みはこの記事である。
雇用創出は医療・介護重点に…政府がニューディール計画 (読売)
雇用情勢の急激な悪化に対応して政府が策定する「雇用ニューディール(新規まき直し)計画」(仮称)の全容が31日、明らかになった。
人手不足が指摘される医療・介護分野の資格取得を支援するなど職業別に雇用創出を図る。失業の急増が問題化している非正規雇用者については、職業訓練にかかる費用の給付と訓練期間中の生活資金支援の拡充に取り組み、労働条件などを巡る権利を守るための法制度の見直しを検討する。(以上、部分引用)
私が、福祉現場の労働者であり経営者?であるから、「あんた、どう思うんや?」というラックバックだろう。尊敬し一目置く非国民通信さんの呼びかけには応えねばならないだろう。
彼は以下のように言う。
ただ、こうした雇用政策は誰のためになるのでしょうか? 医療と介護は必要性が高いので、それに従事する人が増えれば社会全体としてはプラスです。それで失業者が減って雇用情勢が改善されれば、政府としても成功と言えそうです。しかし、新たに雇用される人、求職者にとってはどうなのでしょう?
一部の開業医などは儲かっているにせよ、とりわけ介護分野は重労働と低賃金で知られています。重労働で低賃金の仕事でも、やり甲斐があれば満足できるような博愛精神に溢れた人なら結構ですが、仕事はあくまで手段であり、目的ではありません。生活の糧を得る手段として仕事を選ぶなら、重労働低賃金の報われない仕事は、はっきり言ってハズレです。そんなハズレを雇用の重点政策として押しつけられるとしたら、求職する側は堪ったものではありませんね。
従業員数を大幅に増やすことで一人あたりの負担を軽減し、公的助成の拡充でも自治体による直接雇用でもどちらでもいいですが、従業員の給与を大幅に引き上げ、楽で儲かる仕事に近づける、その上で介護職員を養成するなら、働く人も幸せになれます。しかし、重労働低賃金の現状を放置したまま、仕事が見つからなくて困っている人に介護職を斡旋するのはどうでしょうか? 立場の弱さにつけ込んで、人がやりたがらない仕事を押しつけるようなものです。
働く人のための政策なら、ただ雇用を増やすだけではなく、それが求職者にとって魅力的であるようにしていく必要があります。もしそれを怠るのなら、つまり社会的な必要性はあるけれども重労働低賃金で人が集まらない仕事に、仕事からあぶれて選択肢を失っている人を押し込もうとするのなら、それは社会のために個人を犠牲にする政策であり、政府の保身ですらあると言えるでしょう。(以上、部分引用)
「楽で儲かる仕事」などと堂々と言うところなどは、彼の「らしさ」だ。そして、「仕事はあくまで手段であり、目的ではありません」という下りは、障害のある人たちの労働権保障と発達権保障を仕事とする私は、「労働はあらゆるの富の源泉である」と考えており、多少の違和感が無いわけでもない。
参考過去ログ:NO.830 派遣切りと憲法。
しかし、それらは非国民さんの中では折込済み。全面的に賛成!というだけでは、書くこともなくなるからね(笑)。・・・しかし、正にその通り!というしかない(俺言うこと無いやんか)。
福祉労働者はワーキングプアが圧倒的。
介護員さんが次のコメントを下さった。
福祉介護職場の労働者の実態について、少し触れておこう。29仕事納めで明日まで休み。 北海道なのに非正規労働者故暖房手当支給されず、石油節約の為ほとんど布団の中で過ごしました。 正社員の介護員には申し訳無が休みが多くても困ります。 暖房&光熱費が節約出来ないから 。
福祉職場の6割が20,30代の若者。8割が女性。
賃金(税込み)は、
正規職員で、
15万~25万が35.9%。20~25万が25.6%。25万~30万が13.3%・・・10~15万(生活保護基準以下)が6%。
常勤パートでは、
10~15万未満が7割近く。短時間パートは10万未満が9割。
25歳~30歳未満の正規職員の4割、常勤パートの5割が
親兄弟世帯と同居の「パラサイトシングル」
「人手不足」の「忙しすぎ」、「賃金の安さ」から、
「仕事をやめたいといつも思う」「時々思う」が61%。
正規の55%、常勤パートの90%が「勤続10年未満」で、
短期離職者が多い。
以上のデータが、アンケート調査の結果、明らかになっている。
現場を担う人たちの像が見えてくる。
それは、30歳未満の若者であり、圧倒適多くが女性。
彼らは、低賃金と仕事の大変さで、働き続けることが困難で、職場に定着せず、経験も未熟。
ひとり立ちした生活が見込めず、いわゆるパラサイトシングルが多い。
やっぱりというか、残念ながらと言うべきか、
私が経験的、実感的に指摘してきたことが、調査数字で証明されることとなった。
しかも、この間の、社会福祉基礎構造改革(介護保険の導入や相次ぐ改悪、障害者自立支援法等)で、経営危機が進み、職場のパート化で、非常勤職員は4割を超えた。
(以上、過去ログ:NO.49 福祉の担い手はワーキングプアより。)
より労働条件が悪いところに「仕事が無いよりはマシだろう」と流し込むような施策は、人間らしく生きることを保障する福祉や介護の仕事を貧困ビジネスとして固定化するものだ。
それは、そこで働く労働者のみならず、福祉や介護を必要とする人々をも貧困ビジネスの食い物にする許しがたい「政策」というしかない。
福祉介護労働者の賃金・労働条件を改善し、しかももっともっと需要は増えるのだから、そこに予算を回して、人が人間らしく生きることを支える「産業」をもっともっと大事にしていくべきだろうよ。それが前提なら、この雇用政策は生きてくるだろう。
日本の福祉・介護は、赤子の守、年寄りの飯と下の世話、障害者の世話・・・の範囲を超えていない。嘆かわしいことです。憲法が泣きますね。だからこそ、現状を変えるために「俺たちは人間だ!」と、福祉介護労働者も、利用者も一緒になって声を上げ続けたい。
非国民通信さんのように鋭くは突っ込めないけど・・・、こんなもんでどう?
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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2009.01.05 | | Comments(2) | Trackback(2) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
