NO.861 河村官房長官の「内部留保活用し雇用の維持を」発言を、超党派で迫れ!
イギリスのブラウン首相は、国民向けの新年のメッセージを発表し、金融、経済危機に見舞われた昨年を振り返り、「野放しの自由市場の原理が最終的に追放された」と述べ、市場が万能だとする新自由主義の理論の誤りが完全に明らかになったとの見解を明らかにしたそうだ。
今や新自由主義の破綻は、世界中で明らかになってきた。当然の認識を示したと言わざるを得ない。
日本での新自由主義の破綻は、いまや「年越し派遣村」に象徴的に表れている。
しかし、無能で反省も無い麻生政権は、「派遣村」に集まった多くの失業者や、これを支える多くの人々の声と国民の声に押されて、後手後手の対応をしているだけの有様だ。
勿論、麻生総理は、新自由主義の市場万能論には何らの反省もなく「安心 活力」などの空虚な書初めをするザマだ。
余談だが、しかも落款(らっかん)でまた漢字の間違いを。
署名の「平成廿十一年新春 麻生太郎」。「廿」は1文字で「二十」を意味し、下の「十」はいらないのだ。まあ、思い込みだろうから、こんな突込みを入れるのもかわいそうなんだが・・・。
この間この問題で、大企業に乗り込んで問題の責任の所在と解決を迫ったのは共産党だけであった。「膨大な利益の一部を吐き出し、雇用の責任を果たせ!」と。
・・・と、ここに来て、目を疑うような記事があった。
河村官房長官:「内部留保活用し雇用の維持を」 (毎日)
自民党の官房長官の発言である。深刻化する雇用情勢に関し、河村建夫官房長官は5日午前の記者会見で「企業が内部留保をこういう時に活用することが非常に大事なことだ。企業は人なりだ」と述べ、雇用維持のため積極的に内部留保を活用すべきだとの考えを示した。そのうえで「企業の社会的責任がいかにあるべきかとの議論も生まれている。優秀な人材を持つことは将来に備えるということだ」と強調した。【坂口裕彦】
この間大企業は、労働法制の規制緩和を進め、派遣や期間工と言う安い労働力を使いまわすことで巨額の利益を上げてきた。
製造業の大企業は、この10年間で剰余金を1.4倍に、32兆円も増やしている。正社員の平均年収は523万5000円だそうだ。十年間の利益だけで正社員620万人分という。1年分でも62万人を正規社員として雇用できる体力があるということだ。
厚労省調査では、09年3月末までに8万5000人の非正規労働者の雇い止め・解雇が計画されている。これまでの大企業製造業の剰余金の一年間分の積み増し分約3・2兆円だけで、「非正規切り」にあう労働者の解雇をやめることができるばかりでなく、その7倍以上労働者を正社員にすることができるだけの体力があるということだ。
報道の範囲だけでは、河村発言の本意はわからないが・・・。こうした事実が明らかになるにつれ、自らの儲けのために、非正規を使うだけ使い、ちょっと儲けが減るとモノのように使い捨て自己保身に走る大企業への国民的批判は、大きく広がっている。
こうした批判に押されたとは言え、政権党で、財界・大企業本位の政治に明け暮れた自民党の幹部が、このような発言をするということはどういうことだろう。
経済同友会終身幹事の品川正治さんは、次のように言っている。
「企業だけがあったんでは、資本主義でもなんでもないんです。労働者と企業と両方あって資本主義です。非正規労働で、年収200万以下の若い人が多いという状態を、このまま続けていけば、資本主義は、日本は持つでしょうか」と。
当たり前のことではある。大企業は「我が亡き後に洪水は来たれ」とばかりに、目先の利益に目がくらみ自らの存立の足元を掘り崩しているのである。
企業献金に操られ、派遣法改悪の先頭に立ち、今日の「派遣村」に象徴される「政治災害」を引き起こした政府・自公両党の責任は、免れない。
しかし、今河村発言が本気なら、すべての政党が一致して、財界・大企業への強力な指導をすべきだろう。自民党官房長官の発言を、言いっ放しで終わらせない取り組みを、すべての政党に求める。
「おらが党」のことだけを考えている場合ではない。
今や、財界・大企業にものを言わずして、国民の命と暮らしを守ることはできない。政党としての試金石がここにある。
追記:もう少し詳しい報道があった。
NHKニュース“内部留保で雇用確保を”
河村官房長官は閣議のあとの記者会見で、深刻化する雇用情勢について「優秀な人材を確保することが企業にとって将来の備えになる」として、企業側に対し、利益を積み立てた、いわゆる「内部留保」を活用して雇用の確保に努めるよう求めました。
この中で河村官房長官は「経済の仕組みの中で、派遣社員の受け入れが進んだことが現在の雇用問題を引き起こしているのは、まぎれもない事実だ。企業の社会的な責任がどうあるべきかという議論も生まれており、これからの企業経営のあり方について、いろいろな形で議論してもらう必要がある」と述べました。そのうえで河村官房長官は「『企業は人なり』と言われるが、こういうときこそ内部留保を活用して優秀な人材を確保しておくことが将来の備えになる。これは、まさに経営者の姿勢の問題だ」と述べ、企業側に対し、利益を積み立てた「内部留保」を活用して雇用の確保に努めるよう求めました。(以上、引用)
以下、参考記事。
大企業製造業 10年で1.4倍に
剰余金32兆円増やす
1年分で 正社員年収62万人分 (2009年1月4日(日)「しんぶん赤旗」)
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大企業製造業(資本金10億円以上)の剰余金は、1998年9月から2008年9月までの10年間で約32兆円増えていることが分かりました。一年間の平均増加額約3・2兆円だけで、正社員の平均年収の62万人分に当たります。剰余金だけでみても、雇用を維持する体力は十分にあります。
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雇用維持は可能
剰余金は、企業がため込んだ内部留保のうち、大きな比重を占めます。財務省の法人企業統計調査をもとに、リストラの先頭にたつ自動車、電機など大企業製造業の利益剰余金と資本剰余金の合計額を計算しました。
大企業製造業の剰余金の合計額は、98年9月末時点での約78兆7300億円から、2008年9月末には1.4倍の約109兆1505億円に増加しています。10年間の増加額は、32兆4000億円を超えます。
この増加は、派遣労働の「原則自由化」(99年)や製造現場への派遣労働解禁(04年)など、労働法制の規制緩和と政府のリストラ支援で、賃金の安い非正規労働者比率を急激に高めることでつくられたものです。
総務省の労働力調査によると、08年7~9月期平均の雇用者に占める非正規雇用の割合は34・5%に達しています。一方、大企業製造業の経常利益総額は、ピーク時より低下しているものの10年前の1.6倍になっています。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、正社員の平均賃金は残業代、一時金を合わせて年間523万5000円です。
10年間の剰余金の積み増し分だけで、正社員の年収の約632万人分にあたります。10年間分のためこみを10年かけて取り崩すとしても、一年分の約3.2兆円で62万人分の正社員の年収分になります。
厚生労働省の企業からの聞き取り調査では、09年3月末までに8万5000人の非正規労働者の雇い止め・解雇が計画されています。
これまでの大企業製造業の剰余金の一年間分の積み増し分約3・2兆円だけで、「非正規切り」にあう労働者の解雇をやめることができるばかりでなく、その7倍以上の数の労働者を正社員にすることができます。
利益剰余金・資本剰余金
企業のためこみ金である内部留保の大きな部分を占めます。利益剰余金は、企業が得た利益をためこんだものです。積立金や繰越利益などで構成されます。資本剰余金は、資本取引による剰余金です。
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2009.01.06 | | Comments(13) | Trackback(2) | ・雇用と労働問題Ⅱ
