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NO.891 「年越し派遣村」とはなんだったのか。②

 前のえんとりーNO.889 「年越し派遣村」とはなんだったのか。①で、次のように書いた。

今回、派遣きりにあい不幸にして食と住処を失った人々の問題は、決してその人個人に固有の原因で現れた出来事ではない。派遣村は、それを社会問題として目に見える形で、国民の前に明らかにしたところに最大の意義があるだろう。そして、そうであれば当然、社会的に、政治の責任において解決を図る・・・当然の、ことだ。政治利用などと言う的外れな批判は、政治が何たるか、民主主義が何たるしらないか、それを敵視しためにする議論だ。
派遣村の事実は、こうした批判を乗り越えて前進している。
ちょっと大げさに言えば、「犬は吼えても歴史は進む」である。

 「政治災害」という問題認識は、当然政治の責任を追及する。その後どう変わりつつあるかを、政治の場面で見てみよう。

カンタ 015

 世論の流れは変わりだした。
全会一致の国会決議は、その一つの象徴でもある。 7日の参院本会議で、企業と政府に雇用の維持・確保に全力で取り組むよう求める決議が全員一で採択された。

雇用と住居など国民生活の安定を確保する緊急決議 7日 参議院

 現在、世界の金融市場は百年に一度とも言われている危機に陥っている。とりわけ非正規雇用者を中心に失業者が急増しつつあり、国民の雇用不安が広がっている。今後、正規雇用者を含む大量失業者の発生が憂慮される。

政府は、このような事態に鑑(かんが)み、離職者の住居など生活の安定の確保、円滑な再就職、職業訓練の実施など必要な支援を機動的に行うとともに、生活保護制度等の活用について緊急に全力で取り組むべきである。

企業は安易な解雇や内定取り消しにはしる事なく、雇用の維持、確保に全力で取り組み、政府は、企業に対し雇用維持のための十分な支援を行うべきである。


自民党幹部・大臣の発言も変化している。
機を見るに敏なる政治屋どもだから、当てにはならないが・・・。しかし、国民が要求を反映させ政治家を動かすという民主主義の法則ではある。

 「企業が内部留保をこういう時に活用することが非常に大事なことだ。企業は人なりだ」と述べ、雇用維持のため積極的に内部留保を活用すべきだとの考えを示した。そのうえで「企業の社会的責任がいかにあるべきかとの議論も生まれている。優秀な人材を持つことは将来に備えるということだ」(河村建夫官房長官)

 「個人的には」としながらも、「製造業にまで派遣労働を適用するのはいかがかと思う。多くの人が賛同するなら、その方向で(労働者派遣法の見直しを)検討しないといけない。国際競争で勝ち抜くために、派遣労働や低賃金にしわ寄せが行くのは、豊かな社会とは言えない」製造業を派遣労働の対象外とするのが望ましい」(舛添厚労相、この「個人的には」が、食わせ物なのだが・・・)

 「人を安く使おうという傾向が企業に見られるのは残念だ。何兆円の内部留保を持っているところが職を簡単に奪うのはどうか」と述べ、雇用不安を招いている企業側の姿勢を批判した。与謝野氏は「同じ職場で、同じ時間、同じ労働をして、賃金がこんなに違うのは社会的に正しくない」「正社員と非正社員に容認できない差が生じているのは、政治の誠意の問題としてとりあげなければいけない」(与謝野経済財政相)

 更に「何兆円の内部留保を持っているところが時給1000円足らずの人の職を簡単に奪うのは本当に正しいのか」と言ったのはだれだたっけ?

官僚も
 「制度を作ったのはだれか、といわれると、内心忸怩(じくじ)たる思いがある。(厚生労働)大臣が見直しに言及しているので、私がここで言ってもクビにならないと思う」、「私はもともと問題がある制度だと思っている。しかし、市場原理主義が全面的に出たあの時期に、労働行政のだれか一人でも、職を辞して止めることができなかったか、ということには、私は小輩、軽輩であるが、謝りたいと思っている」、「派遣労働者は同じ職場の仲間と認識すべきだ。(雇用を)中途解除してはいけない。中途解除と期間満了とは異なる、と声を大にして指導したい」(厚生労働省広島労働局の落合淳一局長)

民主党も・・・
 民主党・枝野氏は、「厚生労働省は厳しい指導をしていない。大分キヤノンは請負を千人以上切りながら、同時に期間従業員を募集している」と指摘し、日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)の参考人招致まで要求した。

 これらの発言は、今日の派遣きり、非正規きりの大本となってきた労働者派遣法の改革を推進してきたのが、自民のみならず共産党を除く民主までを含めた「超党派」であったことを考えると、手放しに評価できるものではない。政府・自民党もそうだが、民主党が、御手洗会長の国会招致まで 要求するとは(一時的な勢い?)、いずれにしても大きな様変わりだ。

 民主党については、次のような話もある。
「雇用問題で民主党は苦悩している」
 高木剛連合会長が、7日の社会経済生産性本部の新年会での挨拶だ。
高木氏は労働者派遣法改正問題に対する民主党の対応が行き詰まり、その転換を図った経緯について経営者たちの理解を求めたという。

 「民主党は経営者に配慮したのだと思うが、登録型派遣を製造業に禁止する論を唱えていない。雇い止めなどが続くので、民主党は経営側に配慮するようなことはするなと突き上げられ、今朝、民主党の雇用対策本部長(管代表代行)から『スタンスを変えなければならなくなった。どうでしょうか』と電話があった」と述べた。その上で支持団体の連合として、民主党の方針転換を了承したそうだ。

 さらに高木氏は「ルールを守る気の無い相手(経営側)に、いろいろ配慮するとこういう目に合うということを民主党は今回味わったのでしょう」とも述べたという。

 こうして、派遣村が明らかにした「日本のがん」は、これを何とかしなければと言う国民の声と運動によって、政治を変えつつある。

緊急措置と派遣法抜本改正を
 この3月には、いわゆる2009年問題で大量の派遣非正規きりが予想される。これを許さない緊急立法が必要だ。

 あわせて、今日の事態に雪崩を打った原因、労働者派遣法を1999年以前に戻す抜本改正が必要だ。
 その中身は、間接雇用の範囲の縮小、派遣先の雇用者責任の強化、派遣労働者の賃金・労働条件の改善やセーフティネットの強化などが、総合的に取り組まれる必要がある。

 具体的には、登録型派遣の「原則禁止」、派遣労働者の時給引き上げ、同一の業務を行う正社員との「均等待遇」(同一価値労働同一労働条件)の実現、マージン率の上限規制、違反には派遣先との雇用が成立したと見なす「みなし雇用」制度の導入、「専ら派遣」やグループ企業への派遣の規制強化、契約解除に際しての一時的な住宅確保と再就職の斡旋などが必要だろう。

 今国が、これに応える論戦、すなわち大企業の横暴を規制する議論で盛り上がることを期待したいのだが・・・。その中では、一貫しての大企業を民主的に規制し「ルールある資本主義」を主張して来た共産党の果たす役割が大きいだろう。

「派遣切り」一刻も早く救済と防止を 笠井議員が追及(09.1.9)

 


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2009.01.17 | | Comments(4) | Trackback(4) | ・雇用と労働問題Ⅲ

コメント

ホームレスでしょ?

これまでホームレス問題は「怠け者」でスルーされてきたわけですが、なんで急に「犠牲者」になっちゃったんですかね。
「派遣切り支援」といえば同情する人はいても「ホームレス支援」と言ったら誰も振り向かないのでは。

2009-01-19 月 02:26:05 | URL | ホ #- [ 編集]

異議ありです

ちょっと異議ありです。

>「政治災害」という問題認識は、当然政治の
>責任を追及する。

労働規制緩和を推進した政治を支持した国民には、自己責任はないのでしょうか?
例えば、自公に投票した有権者には、自己責任はないのでしょうか?

労働規制緩和を推進した政治を黙認した国民には、自己責任はないのでしょうか?
選挙に行かなかった有権者は?

私は、反対しなかった国民に「も」自己責任はある、と思います。
言い換えれば、「自分(たち)の責任でこうなったのではない」と言える、弁明できる資格があるのは、共産党とその支持者くらいではないのか、ということです。

労働規制緩和を推進した政治を支持した政党、財界、メディアには、大いに責任がありますが。
連中に踊らされた国民、傍観していた国民にも、責任はあるでしょう。

2009-01-21 水 21:02:20 | URL | latter_autumn #J6Syvwzk [ 編集]

latter_autumn さんへ。

こんばんわ。コメントありがとうございます。
例の「内部留保」の件も、ご苦労様です。
私は「内部留保の会計学はどうでもいいんや。一人ボロモウケして、労働者を切ることが許されるんか」・・・つまり、どういう立場でモノを言うか、が問題だと。

> ちょっと異議ありです。
> 連中に踊らされた国民、傍観していた国民にも、責任はあるでしょう。
厳しいですね・・・、心情的には分かります。
突き詰めて言えば主権者としての責任という問題も理解できますが・・・。
どうなんでしょう?
ここで追及すべき責任と個人が負うべき責任とはちょっと性格が違うような気がします。
理論的には良くわかりませんが。

「一人ひとりが責任を持ってよく考えよう」という意味での指摘は正しいと思います。
私は、知的障害者と関わりながら、思います。
彼らは難しい判断はできません。例えば消費税ひとつにとっても、わずか1万円に満たない月々の給料からでも、やっと一人で買えるようになったジュースにも税はつきます。そういう時、無性に腹がたちます。「だれやこんなもん賛成したのは!自分だけ払え。何も分からない仲間たちまで、巻き添えにするな!と。
一人の1票はこうしてすべての人々につながっています。そういう意味での責任は重いし、民主主義の厳しさだと思います。
なんか、訳わからん書き込みになりましたが・・・。
今後ともよろしくお願いします。

2009-01-21 水 21:41:30 | URL | 友さん #- [ 編集]

どうもです

どうもです。

>厳しいですね・・・、心情的には分かります。
>突き詰めて言えば主権者としての責任という
>問題も理解できますが・・・。 どうなん
>でしょう?
>ここで追及すべき責任と個人が負うべき責任
>とはちょっと性格が違うような気がします。
>理論的には良くわかりませんが。

連中に踊らされた国民、傍観していた国民に、政治災害が降りかかるのならば、それは自業自得だということです。彼らが自ら、望んだ、あるいは「どうでもいいや、任せるから好きにやってくれ」と思った訳ですから、今さら彼らが自分たちの選択を棚に上げて「どうしてくれる」などと言えた義理ではないでしょう。「どうしてくれる」と言うのなら、彼らは自分たちの選択を反省すべきなのです。

彼らが無反省である限り、政治災害は繰り返されるでしょう。彼らが為政者の正体を見抜く知恵を持たない限り、別の為政者から同じような政治災害を被ることになるでしょう。
彼ら自身が変わらなければ、彼らが何度為政者を変えてみたところで、選択ミスが続くだけで政治の中身は変わらない。

選択した有権者の責任を曖昧にする、または不問に付すのは、彼ら自身が変わることの妨げになると思うのです。
「政治利用はよくない」とか言っている連中も、要するに、彼ら自身が変わると今まで彼らを利用してきた自分たちが利用できなくなってしまって困る訳で。
(全体の奉仕者ではなく一部の奉仕者に成り下がり、一部以外に奉仕するのではなく一部以外を利用している。本来奉仕者は利用される側なのに。何が「政治利用はよくない」なんだか。)

共産党が優しいというかお人好しというか甘いというか寛大に過ぎる姿勢(心情的には理解できなくもないです、私はどうにも辛口なので厳しくなってしまう)で、有権者の責任を曖昧にしてしまうのであれば、現実の政治を「根本的に」変える上で、理論的によろしくないのでは・・・。

2009-01-22 木 17:29:27 | URL | latter_autumn #J6Syvwzk [ 編集]

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