NO.936 消費税 「福祉目的税化」のごまかしを許すな!(まとめて再掲)
(この記事が「NPJ お薦め ブログ」で紹介されました。)
いろいろ言ってもやはり一つの「合意」と言うものがあります。
例えば、自由、民主主義、平和、基本的人権・・・などなど、その価値は、否定しがたい現代社会が共有する価値となっている。「平和なんかまっぴらだ。戦争やるぞ!」と言って戦争を始めるものはいない。
だから、それらを踏みにじる者たちも、表向きは「そのためだ」と言う。然り、「自由民主」党などと言うのだ。
福祉や社会保障も、今日では「そんなものどうでもいい」と正面からは否定できない社会的歴史価値を有している。だからこそ、「福祉や社会保障のため」という枕詞で為政者達が国民をだまそうとするのである。
消費税増税論の中心は、「社会保障のため」であり、それが真っ赤なうそであることは何度も書いてきたところです。
消費税の「福祉目的税」「社会保障目的税」化の議論の内容については、「消費税増税反対キャンペーン第2弾」ではじめて書いたので、そのごまかしの「理論」と財界や政府・自民党の狙いを暴くために、ここに3本の記事をまとめて整理しておきます。長くなりますが、よろしくお願いします。
シリーズの初めから見てきたように、消費税が社会保障のために使われる保障は全くありません。
例えば、ここ→NO.860 消費税は社会保障のために使われてきたか?
Ⅰ 自民も民主もマスコミも「「福祉目的税」「社会保障目的税」化
それでも、「福祉目的税にすべきだ」という声が根強くありますが・・・。
実は、今でも消費税の一部は「福祉目的化」されているのです。
ちょっと古いデータですが、以下をご覧ください。(基本は変わりませんので)
06年度の消費税収13.2兆円のうち、地方消費税2.6兆円と地方交付税3.1兆円以外の、国の一般会計分7.4兆円については、介護1.9兆円、老人福祉4.0兆円、基礎年金6.2兆円と予算書総則の中に使途が記載されているそうです。消費税だけでは不足する分は他の税が充当されることになります。
この予算書の措置は1999年に始まりました。当時自民党と自由党が連立政権を作るに当たって、当時の自由党党首小沢一郎氏の持論「消費税の福祉目的化」を自民党が受け容れたものです。
では、その措置によって実際には、社会保障予算がが充実されたのか?
この年には、厚生年金の報酬比例部分の支給年齢引き上げや賃金スライド凍結などの改悪が行われました。
一方で、この年には、公共事業予備費(0.5兆円)の創設や、法人税率引き下げ(34.5%y→30%へ)、所得税・住民税の最高税率引き下げ(3兆円規模)も行われました。
その後も、社会保障は改悪の連続でした。200年度、介護保険が始まりましたが、国庫負担は当初の2分の1から4分の1へ、年金も老人医療も改悪が繰り返されててきました。
「福祉目的税」にしたところで、法律で「福祉目的」と書くだけのことであって、実質的に今と違いはなく、社会保障拡充の保障はどこにもありません。
Ⅱ 「福祉目的税」はごまかしの理屈
「福祉目的税」というのは、聞こえはいいが実際は福祉の充実にはなんら役に立たない、まったくごまかしの理論です。
簡単な話なんですが、頭の中だけではややこしいので、多少くどくどしくなりますが、図をかりて見ながら考えて見ましょう。
図1は、消費税が「福祉目的化」されていない場合。
この場合は、消費税も「ほかの税」も、社会保障にも「ほかの分野」にも使われています。
図2は、「福祉目的税」にして、「ほかの分野」に使われていた消費税を社会保障分野に移した場合。
この場合、分野別の支出額に変化がなければ、社会保障分野に移った消費税と同じ額だけの、社会保障分野の「ほかの税」があまり、その「余った分」が他の分野に移るだけ。
つまり、税が入れ替わっただけのことです。
図3は、「福祉目的化」の中で、消費税を増税して社会保障に当てた場合。
その場合、社会保障分野で「ほかの税」の「余った分」が「ほかの分野」に移されてしまえば、社会保障予算は増額されることにはなりません。つまり、消費税増税が社会保障予算増額に直接結びつくわけではありません。
「ほかの税」は目的税ではないので、なんにでも使えます。
もし、軍事費に使った場合は、実質的には「福祉目的税」が流用されたことになり、増税された消費税が軍事費に使われたことになります。
「消費税増税分と同じ額だけ社会保障予算を増やせばいいではないか」と思われますが、「流用」を防ぐ保障はどこにもありません。
図1の場合(「福祉目的化」されていない場合)は、社会保障予算を増やす場合は、「ほかの分野」の「ほかの税」を移さなければなりません。つまり、軍事費とか無駄な大型公共事業費を削ると言うことになります。
しかし、図3の場合は、消費税が「福祉目的化」されており、消費税の増税で社会保障予算増が賄われ、「ほかの分野」の予算を削る必要がなくなったことになります。つまり、消費税の「流用」で、無駄な大型公共事業費や軍事費が維持できたということになります。
言葉を変えれば、消費税の「福祉目的化」は増税しやすくするための理屈=方便であり、消費税増税分(その一部)を社会保障以外に使うことを見えにくくするやり方と言えます。
このように「福祉目的化」は、社会保障充実には何の保証も無い「理屈」ということにとどまらず、その聞こえのいい名前で増税しやすくするためのごまかしです。これまでも、入り口は「福祉のために」、結果は「大企業・大金持ち減税」「軍事費増額」・・・となっています。
さらに、自民党や財界が「福祉目的税化」を主張するのには、危険な狙いがあるのです。それは?
Ⅲ 「社会保障は消費税だけで賄う」
「福祉目的化」についてもう一歩踏み込んで考えて見ましょう。
「消費税はすべて社会保障に当てる」というだけなら、聞こえはよくなるかも知れませんが、政府・自民党や財界の「福祉目的化」論には、「社会保障はすべて消費税で賄う」という重大な議論が含まれており、それこそが詰まるところの狙いなのです。
実際、自民党は、社会保障の国庫負担分をすべて消費税で賄うことを提案しています。民主党も「目的税化」を主張し、当面は年金の基礎部分を消費税でと議論しているようです。
ここまで「福祉目的化」が徹底し、「社会保障を消費税だけで賄う」となれば、所得税や法人税などほかの税は1円も社会保障には回さないということになります。つまり、消費税の「福祉目的化」だけでなく、「ほかの税」の「非・福祉目的化」にほかなりません。国民から集めた所得税を、1円も社会保障には使わないということです。こんな税金の使い方があるでしょうか。
こうして、社会保障を求めるなら消費税増税を、増税がイヤなら社会保障は我慢を、というしくみが作られるということです。政府にとってはなんと便利な、そして国民にとっては如何ともしがたい仕組みなのです。
下の図を見てください。(古い資料で、数字は若干違いますが、基本は同じですのでご勘弁を)
03年度の社会保障費総額は82兆円。そのうち税が28兆円。
税の部分を消費税で賄うとしても、1%で約2.5兆円ですから、消費税率約11%にしなければならないし、全体だとなんと消費税率33%ということになります。
こうして、消費税の「福祉目的化」は、際限の無い増税を国民に押し付けることになるのです。
残念なことに、現実の政治シーンでは、消費税の「福祉目的化」では自民、民主の大連立ができており、マスコミもこぞってこれを推進するという状況です。
耳障りのいい「福祉目的税」、そのウソを暴き、なんとしても消費税増税は阻止しなければなりません。
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済
2009.02.06 | | Comments(2) | Trackback(3) | ・消費税・財源・税Ⅲ
