NO.908 にわかに「身を削る」ふりをしても・・・。
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今日のトップはこれ。昨日からの雪でご覧の通り。福岡地方、数年ぶりの大雪です。
積雪量としてはここら辺で15センチ。気温が低くないので、水っぽくてすぐに解けるでしょう。
さて、与党が、にわかに「身を削る」ふりをしているが・・・。
太田氏「議員定数、歳費削減を」 与野党協議を提案 (1月24日 東京新聞)
国会改革をめぐっては麻生首相が18日の自民党大会で、「私たちも国会の制度や在り方を見直さなければならないのではないか」と強調し、自民党役員会で議員定数や歳費削減などを総合的に検討し、春までに意見をまとめ衆院選のマニフェストに盛り込む方針だ。そして公明党も上記のように言い出した。公明党の太田昭宏代表は24日、党本部で開いた全国県代表協議会で、国会議員の定数や、給与に当たる歳費を削減すべきだとの考えを表明し、与野党協議会を立ち上げて議論を始めるよう提案した。
太田氏は「思い切った政治改革として国会議員の定数削減を提案したい。どのように削減するかは与野党の協議会で議論を開始すべきだ。厳しい経済状況を考えれば、国会議員の歳費の削減も提案したい」と述べた。(以上、部分引用)
ここに来て、与党がにわかに国会改革、国会議員定数や歳費削減を問題にするのは、国会議員が「身を削る」ことで、消費税増税への理解を得ようとする思惑のためだ。
次のような発言が報道されている。
「税の問題を議論するときは、国会としては先ず自らがしっかりして取り組みをしなければならない。国会議員の数を大幅に減らすとか、あるいは歳費を大幅にカットするとか」。(自民党・坂本由紀子議員、参院予算委)
「我々も自ら身を削る努力というものも当然必要になってくる」。(河村官房長官)
「政党助成金(交付金)を5割カットするくらいのことを言わないといけないんじゃないか。身を削るとはそういうことだ」。「(国会議員の歳費を)3割でも5割でもカットするくらいの議員としての覇気を持たないといけない」(与謝野経済財政相)
「国民の生活にしわ寄せが来ているのだから、30%くらい(の歳費削減)は決めないと理解は得られない」。「(議員定数)は衆院も参院も多過ぎる。われわれも思い切って削減しないといけない」(古賀誠選対委員長)
しかし、国会議員の定数削減は、議員の「身を削る」ものではなく、民意を削り、国民の参政権を削るものだ議員定数削減などをにわかに持ち出し、「身を削る」ふりをして消費税増税を推し進めようなどという魂胆は、およそまじめな政党・政治家のやることではない。。
先ず第1に、日本の国会議員の人口当たりの数は決して多くはない。→参照:G8各国の国会議員数と年間報酬
決して多くはない国会議員の定数削減は、民意を削り、国民の参政権を削ることにつながるものだ。
しかも、自民党内には衆院の比例代表制をなくし単純小選挙区制にするという根強い議論がある。
そうなれば少数意見・少数政党は締め出され、大政党が有利になり、民意の切捨てはいっそう進むことになる。
消費税増税の口実に定数削減を持ち出し、大政党に有利な選挙制度にする、そして、そこで不当に得た「多数」の力でまた増税を国民に押し付ける・・・こんなめちゃくちゃが許されてなるものか!
第2に、議員報酬については、比較してみれば多いようだ。どんな活動をし、実際どのぐらいが妥当か、国会議員の活動を適切に保障する観点から検討する必要があるだろう。自民党議員の中には、選挙で当選さえすれば、質問もせず、居眠りをし投票だけはする議員がいっぱいいる。議員の最低報酬を決め、活動実績に基づく経費を上乗せすることも検討に値するかもしれないが・・・。いずれにせよ、消費税増税の言い訳として議論すべき問題ではない。
第3に、政党助成金などは論外。そもそも国民の思想信条の自由を侵害する憲法違反の最悪であり、究極の無駄遣い。年間320億円の無駄遣いは、もともとすぐにでも「削る」べきムダだ。これまで、14年間に渡り4400億円も無駄遣いをしながら、にわかに増税対策で「身を削る」ふりをしても、国民の納得などは得られまい。「5割カットが身を削ること」?へそが茶を沸かすわい!
もともと消費税の問題は、収入の少ない人ほど負担割合が大きく重いという「逆進性」にある。まさに反福祉税である。そして、福祉のためどころではなく、大企業減税の穴埋めに使われてきた。増税すれば、この間の構造改革による国民負担増に追い打ちをかけ、国民の購買力を低め、景気をさらに悪くするであろう。
消費税増税の言い訳に、「身を削る」ふりをして「民意を削る」・・・見え見えの政府・自公与党の思惑を打ち破れ!
追記(1.26)
国会議員定数問題に関する「ペガサス・ブログ版」さんの「議員定数削減論の二重のおかしさ」は、成る程と言う視点だ。以下引用して紹介する。
自民党や公明党の議員などが「身を削る」などという言葉を使って,国会議員の定数削減を言い始めている.自民党の古賀誠選対委員長の「衆院も参院も多過ぎる」という言葉も報道されている.
しかしこれは二重におかしな話だ.議員定数のことで議員自身が「身を削る」などと言うのは,まるで国会が自分の「身」体であるかのようだ.まるで自分の持ち物を差し出すかのような言い方.国会議員の地位というものは国民から負託されているに過ぎず,その数が多いとか少ないとか,負託された人たちの口から出てくるべき言葉ではない.分際をわきまえないとはこのことだろう.
また,もし本当に「数が多すぎる」と思っているのなら,それは自分が無能であるか,暇過ぎるか,あるいはまともに仕事をしていないことを告白しているに過ぎない.それなら自分が辞めればいいだけの話.国会議員数が多すぎると思う政党は,自分の党の立候補者の数を制限すればいい.
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
いつもありがとうございます。
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2009.01.25 | | Comments(0) | Trackback(6) | ・小選挙区制・国会議員定数削減問題Ⅰ
