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NO.929 「派遣村」での生活保護活用こそ、法律本来の姿 。

     (この記事がNPJ お薦め ブログ」で紹介されました。)  

 昨年末からの「年越し派遣村」の「入村者」約500人のうち、250人以上が生活保護申請をし、数日のうちに保護開始決定を得た。これまでの生活保護行政・・・「住居が定まっていないから」とか「先ずは仕事を探しなさい」とかいって、申請を水際で受け付けず、餓死者まで出してきた・・・を見てきた私たちにとっては、今回の措置は「異例」とも見え、実際、この決定は「超法規的」になされたという見方もある。

成人 001 春めいた日差しの中、日向ぼっこ。

 しかしそれはまったくの誤解であり、この措置は生活保護法の本来の姿を示したものに他ならない。誤解は、これまでの保護行政が法に違反した、いかにひどいものであったかの裏返しでもある。

 例えば、日弁連の「全国一斉生活保護110番」(2006年)の結果を見てみよう。
生活保護を利用していない474件のうち、180人が福祉事務所にいったが申請を拒否されている。その理由は、
① 扶養義務者に援助してもらいなさい・・・46件。
② 65歳までは稼動年齢だから、頑張って仕事を見つけなさい・・・41件。
③ 持ち家を処分しなさい・・・16件。
④ 借金があると保護は受けられない・・・10件。
などだそうで、これらはいずれも申請拒否の理由にはならないものばかりだ。

 「派遣村」村長の湯浅誠氏は、派遣村の取り組みの結果を受けて「生活保護について、これまで”門前払い”などが横行していた。今、支援者らの奮闘もあり、申請・受給を認める事例が広がっている。今こそ、生活保護制度の本来の姿に戻して活用すべき」だ、と訴えている。

この件に関し、共産党志位委員長の衆院本会議での質問に、
麻生総理は以下のように答弁している。
 「職と住居を失い、生活に困窮する方々については、雇用施策や福祉施策により就職、住居、生活などの支援を全力で行っているところだ。これらの支援を行ってもなお困窮する方々については、住居のない方も含め、引き続き生活保護によって適切に支援をいたすことにしている」と。


 では、「生活保護制度の本来の姿」とは、どういう姿なのだろうか?
生活保護問題対策全国会議の声明から学びたい。

「派遣村」での生活保護活用こそ、法律本来の姿(2009年1月15日)
以下に引用して、紹介したい。(大字、色文字は引用者)

「派遣村」での生活保護活用こそ、法律本来の姿

      生活保護問題対策全国会議        代表幹事 尾藤 廣喜
      ホームレス法的支援者交流会       共同代表 後閑 一博
                                同 上  木原万樹子
      首都圏生活保護支援法律家ネットワーク  共同代表 釜井 英法
                                同 上  猪股  正
      生活保護支援ネットワーク静岡      代 表  布川日佐史
      東海生活保護利用支援ネットワーク    代 表  内河 恵一
      近畿生活保護支援法律家ネットワーク   共同代表 辰巳 裕規
      生活保護支援九州ネットワーク      代 表  永尾 廣久
      東北生活保護利用支援ネットワーク    代 表  新里 宏二
      全大阪労働組合総連合(大阪労連)    議 長  川辺 和宏
      しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西   理事長  神原 文子
      派遣労働ネットワーク・関西       代 表  脇田  滋
      自立生活サポートセンターこんぱす    代 表  國師 洋典

 「派遣切り」などで住まいや仕事を失った人たちを支援するため、昨年末から東京・日比谷公園において「年越し派遣村」が取り組まれた。派遣村の「入村」者約500名のうち250名を超える人々が生活保護の申請をし、数日のうちにアパートでの生活保護開始決定を得たことについて、「超法規的な特別扱い」であるとの誤解が一部にあるようである。
 しかし、以下述べるとおり、派遣村村民に対してなされた生活保護の運用は、生活保護法が本来予定する当然の内容であって「特別扱い」などではない。現に全国の多くの自治体では同様の運用がなされている。
 私たちは、労働者派遣法の抜本改正によって「派遣切り」そのものを規制し、脆弱な失業保険などのセーフティネットを充実させるべきと考えている。しかし、今、現に住まいを失った人々の生存を守る制度は現行法上、生活保護法しかない以上、同法の適正かつ積極的な活用によって生存を確保することが切実に求められている。今こそ、生活保護の出番なのである。

「住所」がなくても生活保護は利用できる
 「住所」がないと生活保護が利用できないという誤解があるが、そのようなことはない。
生活保護法19条1項は、居住地のない者については、その「現在地」を所管する福祉事務所が生活保護の実施責任を負うことを定めている。
 したがって、住居を失い、やむを得ず日比谷公園で寝泊まりしていた村民らについて、同公園がある千代田区の福祉事務所が生活保護を実施したのは法律上当然のことである。

生活保護費でアパートや家財道具を確保することができる
 住居のない者は、自らアパートを用意しなければ「居宅保護」(アパートでの生活保護)を受けることはできないという誤解があるが、そのようなことはない。
 生活保護法30条1項は「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする」と「居宅保護の原則」を宣明し、施設などでの保護適用は例外であると規定している。そして、住居のない者に対しても、生活保護費からアパート等の敷金(保証金)、家具什器費、布団代、被服費などを支給して新住居を確保することができる。

即日でも保護決定はできる
 生活保護法24条3項は、申請から原則として14日以内に決定しなければならないとし、同法25条1項は、急迫状況にあるときは、すみやかに職権で保護を決定しなければならないとしている。
この点については、厚生労働省も2008年3月4日の生活保護関係全国係長会議において、「原則14日以内に保護の決定を行う必要があり速やかに審査を行う必要があるが、その中でも、申請者の手持ち金が限られているなど急迫している状況にあるときは、迅速な保護の決定が求められることに留意願いたい」と注意喚起している。
したがって、派遣村村民のように住居も収入もなく所持金もないか僅少な者から保護申請があった場合には、迅速に保護決定をすることが法の求める本来の姿である。

失業者やワーキングプアも生活保護が利用できる
 「働く能力がある者は生活保護が受けられない」という誤解があるが、そのようなことはない。
働く能力があり、それを活用しようとしても働く場が得られない者は生活保護を利用することができる。したがって、派遣切りなどで職を失った失業者や低収入しか得られないワーキングプアも当然に生活保護を利用することができる。

厚生労働省は、生活保護制度の本来の運用に関し、通知を行うべきである
 以上のとおり、派遣村村民に対する生活保護の運用は「特別扱い」ではなく、法が本来予定する「あるべき姿」である。
 しかし、トヨタ関連の「派遣切り」被害者が多数生じている名古屋市では、住居のない者に対しては施設入所を前提とし直接の居宅保護を行っていない。しかも、同市は、一昨日からその施設も満床であるとして、救いを求めて集まっている多くの住居のない者を寒空に放逐しようとしている。また、キャノン関連の「派遣切り」被害者が生じている大分市は、「まずは安定した住居を確保しない限り保護開始しない」と述べており、滋賀県大津市も、入所枠の限られた施設入所を居宅保護開始の前提としている。
 3月までに8万5000人もの非正規労働者が職を失うと言われている現下の緊急事態の下、とりわけ大規模な「派遣切り」が行われている上記自治体が生活保護の窓口を閉ざせば、自殺や餓死などの悲劇が生じかねない。
そうした悲劇を生まないために、厚生労働省は、派遣村村民に対して実施された生活保護の運用こそ法が予定するスタンダードであることを全国の福祉事務所に通知して周知徹底すべきである。また、各地の福祉事務所は、厚労省の通知を待つことなく、適正かつ積極的な生活保護行政を実施すべきである。
 そのためにも、報道関係や市民の皆さまが生活保護制度に対する誤解や偏見を解き制度を正しく理解していただくよう、心からお願いしたい。(以上、引用)




  関連過去ログ:NO.927 「派遣切り」問題と憲法27条・・・公の責任に触れて。

衆議院本会議での志位委員長の代表質問(09.1.30)




 
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