NO.933 経済の立て直しは、 「日本的雇用の歪み」を正し「ルールある雇用」の実現で。
「アメリカ発の金融危機」が、外需・輸出依存の日本経済を直撃し、景気が急速に悪化している。そんな中、アメリカ市場で大もうけをしてきたトヨタやキャノンなどが、真っ先に「派遣切り」「非正規切り」を進めている。大企業の勝手放題で、今や日本経済は雇用悪化と景気悪化の悪循環に見舞われているのだ。
状況打開には、日本経済を外需依存から内需主導に立て直す必要があるというのは大方の見方として一致している。問題はやり方だ。
基本は、労働者への配分を増やし、購買力を高めるという方法。
これは何も特別なことを求めるものでは無い。「日本的雇用の歪み」をただし、「ルールある雇用」を実現することである。
「日本的雇用の歪み」とは何か?
五十嵐仁氏は「日本の労働における3つの不思議」の中で、以下のように述べている。
外国人に説明しても理解してもらえないような「日本の労働における3つの不思議」。これこそが、「日本的雇用の歪み」であり、「雇用のルール」破りです。過労死あるいは過労自殺、不払い残業(サービス残業)、そしてワーキングプアのことです。そこには、日本人の働き方の異常さが象徴されているように思われます。
これらは「日本の労働における3つの不思議」とも言うべきものでしょう。外国の人に説明しても、なかなか理解してもらえません。
第1の過労死あるいは過労自殺は、働きすぎて死に至るということです。健康を害して亡くなるのが過労死で、精神を病んで自ら死を選ぶのが過労自殺です。
どちらも、「働くことに命をかけている」ということです。生きるために働くというのが本来の姿なのに、この国では一部でそれが逆転してしまっているのです。
しかも、このような現象が問題になったのは1988年で、この年に「過労死110番」が初めて取り組まれ、10月には過労死弁護団全国連絡会議が結成されました。それから20年以上も経つというのに未だに問題が根絶されていないということ自体が、まことに異常なことだと言うべきでしょうか。
第2の不払い残業(サービス残業)は、外国の人にとってはもっと理解できないことかもしれません。対価なしでの労働を「サービス」させられているというのですから……。
06年4月~07年3月の一年間、不払い残業で摘発され割増賃金を請求されたのは1679社18万人分で、その総額は227億円に上ります。これは、おそらく「氷山の一角」で、実際にはもっと多いのではないでしょうか。
それでも227億円もの額が、不払い残業によって「サービス」させられていました。過去最高益を更新していたにもかかわらず賃金を引き上げなかったばかりか、このような形で、支払うべき賃金さえも誤魔化されていたのです。
第3のワーキングプアは、「働いているのにまともな生活ができない」人々です。「働いていなくてもまともな生活ができる」ヨーロッパの人々との違いは顕著です。
普通、働く目的は、収入を得て生活するためです。このような目的を充足できないような労働が存在するということは、恐らく、ヨーロッパなどでは考えられないのではないでしょうか。
もちろん、例外はどこにでもありますから、このような低賃金の劣悪労働が皆無だということはないでしょう。しかし、今日の日本のように、年収200万円以下という生活保護水準に満たない年収の労働者が1000万人以上も存在するなどということは、信じられない「ミラクル」だと受け取られるに違いありません。(以上、引用)
労働総研の試算
この歪みを正すだけで、内需拡大、景気好転が見込めるという具体的な試算を労働総研が明らかにしている。こちらを参照→http://www.yuiyuidori.net/soken/ape/2008/data/081104-01.pdf
① 過労死を防止するために、完全週休2日制と年休の完全取得を保障する。・・・それだけで153.5万人の新たな雇用が必要になる。
② サービス残業を根絶する。・・・118.8万人の雇用が生まれる。
③ ワーキングプア解消のために、非正規の正規化363万人を実現する。
以上3つのケースを実現すればで、労働者の賃金は21.3兆円増え、国内生産が24.3兆円増えるというのだ。その結果の、GDPの伸びは2.52%という。
日本の経済成長率は、景気拡大局面の04年で2.0%、05年で2.4%、06年が2.5%。これらに匹敵する効果があると試算されている。しかも、04~06年の伸びは。大企業の設備投資が中心だったが、この方向なら、直接労働者の懐を暖めるので、経済効果の波及は中小企業にもすみずみにわたると指摘している。
大企業の内部留保で
労働者の賃金支払いの21.3兆の増加分は、大企業が溜め込んだ内部留保を少し充てればできるという。大企業の内部留保は、02年の167兆円から、07年は223兆円へと、5年間で61兆円も増えている。その3分の1を充てるだけで「ルールある雇用」が実現でき、経済効果も生み出せるというのだ。
以下、再掲。
大企業にモノ言う、唯一の党・日本共産党の国会論戦をどうぞ。
いすゞやマツダ、パナソニックなどの違法「派遣切り」についての志位委員長の追及。
「明るいナショナルが暗闇の中で『派遣切り』をやっている。3.6兆円もの内部留保を溜め込んで雇用への社会的責任を果たさない。余りにも横暴!現行法でも、ハケンきりはやめさせられる。政府はきちんと指導すべきだ。」
麻生総理も桝添厚労相も、「個別の企業についてはいえない」の一点張り。
一方では、経営者のあり方について、松下幸之助氏は「人を大事にした経営者」と持ち上げながら、悪いことについては、「個別の企業についてはなにも申し上げられない」とくる。
志位委員長は、経団連・大企業経営者の国会招致・集中審議を求めた。
政治が、大企業の横暴極まりない無法行為にモノさえ言えない。
今求められているのは財界・大企業にモノ言う政治だ。
政治の知恵と力で 「派遣切り」止めよ
衆院予算委 志位委員長が迫る
経団連・大企業経営者の国会招致・集中審議を(2009年2月5日(木)「しんぶん赤旗」)
「派遣切り」 大企業の無法をただせ 予算委員会で志位委員長が追及(09.2.4)
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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2009.02.05 | | Comments(3) | Trackback(3) | ・雇用と労働問題Ⅲ
