NO.943 そもそも選べるだけ無い!・・・いつか来た道 障害者自立支援法の時もそうだった。
この問題が、ブログで話題にならないのは、子育て中の若い親達は忙しくて、多分そこまで時間が無いからであろうが、保育園を利用しながら、4人の子育てをしてきた身から、いつかは書かねばと思ってたことだ。
「読売」は政府の広報誌か!?あたかも、親の願いに応えているとでもいうような・・・。どういう立場なら、こういうタイトルで記事が書けるんだろうかと思う。
希望の保育所、利用者が選べます…厚労省が変更の方針(2009年2月8日 読売新聞)
保育分野は、高齢者分野や障害者分野に比べて、まだ曲がりなりにも「福祉に対する公的責任」システムがが、完全には切り崩されていない分野だ。そこに厚労省が切り込んできているのである。厚生労働省は認可保育所に関し、市区町村が入所先を割り振る制度を改め、利用者が直接申し込んで契約する仕組みに変更する方針を固めた。
都道府県が認可している新規業者の参入も、全国共通のより詳細な基準を明示し、これを満たせば原則参入できるようにする。
月内にも社会保障審議会少子化対策特別部会で決め、2011年の通常国会での児童福祉法改正を目指す考えだ。(以上、部分引用)
いつか来た道
障害者自立支援法の時もそうだった。
行政が決めるのは、本人の意思を無視したものだ。自分で決めて自分で「直接契約」をするのがいい。自由な契約で競争原理が働きサービスが良くなる。民間事業者も参入できる。そして『契約制度』にしたら今度は予算が足りない、・・・そこで出てきたのは、「応益負担」制度という自己負担。お金が無い人は、福祉の利用を控えなければならない。福祉が、金儲けの対象となり、公的責任はどんどん後退している。
そもそも選べるだけの保育所が無いのだ。だから、いわゆる「待機児童」問題が起こっている。営利企業が参入すれば、子どもたちがどうなるかは、儲からないといきなり保育園を閉鎖して、行き場が無くなったハッピースマイル保育所の例など、問題は明らかだ。
そこで、少し詳しく、中身を見てみよう。
報道されているのは、厚生労働省の社会保障審議会少子化対策特別部会が打ち出した「新たな保育の仕組み」。
「新たな仕組み」案は、保護者と保育所との間に「公的契約」を結ぶ考えだ。
この「公的契約」、実は「直接契約」導入への批判が強まるなか、同省が「市場原理に基づく『直接契約』とは違う」として言い出したものだが、考え方も仕組みも「直接契約」そのものだ。

いまの制度では、保護者は市町村に保育所入所を申し込む。市町村が保育の必要度を判断し、入所先を決定する。市町村は公・私立の認可保育所に保育の実施を委託し、運営費を保育所に払う。利用者は所得に応じた規定の保育料を市町村に納める。児童福祉法第24条に基づき、市町村が保育の実施責任を果たす仕組みだ。
「新たな仕組み」では、保護者は、どの程度の保育時間が必要かなど、市町村に認定を求める。認定された保護者は自分で保育所を探し、入所を申し込んで契約を結ぶ。保育料も保育所に直接支払う。
そうなれば、市町村の役割は、これまでのような保育を受ける権利の保障に責任を負う立場ではなく、契約に基づく保育サービスの「売買」が円滑に行われるよう条件を整える立場へと、大きく後退する。
「新たな仕組み」の問題点
例えば、障害児や、保育料を滞納しそうな家庭の子どもは、経営に響くため入所を敬遠されるだろう。厚労省は「保育所に応諾義務や優先受入義務を課す」としているが、具体的手だては示していまない。
保護者は、保育所探しから契約まで自己責任でやらなければならない。小さな子どもを抱えながら情報を集め、入所先が決まるまで駆け回るのは大きな負担だ。
厚労省は、「公定価格」を定めるとしているが、公定は基本的なサービス部分だけ。利用者ごとに保育時間の上限量が決められるので、超えた分は自己負担で、さまざまなサービスごとに料金が加算され、負担増は間違いないだろう。
現行制度では都道府県による保育所の認可制度をとっている。しかし、「新たな仕組み」では、「指定制」をとり入れ、事業者に広く参入を認める。そうすれば、ハッピースマイル保育所問題のように、営利目的の悪質事業者が参入し、突然撤退したり・・・、子どもよりも儲けが優先されるのは火を見るよりも明らかだ。
財界からの規制緩和論
さらに呆れた話だが、財界は、規制改革会議を通じて、「利用者から選ばれる保育所となるための努力を促す」などと「直接契約制度導入」を迫り、「競争がサービスを向上させる」などと、破綻した「市場万能論」を振りかざし、「保育所運営費の使途制限緩和」も検討課題に迫っている。
子育てまでも、営利市場として狙う財界の言いそうなことだ。運営費が株主配当や事業拡大に回されれば、人件費や保育経費を切り詰めることによる保育の質の低下など、子どもへの影響は避けられないだろう。
こうして「新たな仕組み」は、「読売」が宣伝して見せるように「希望の保育所、利用者が選べます」などというおめでたいものでは決してなく、保育の「市場化」を拡大し、国と自治体の責任を投げ捨てる大改悪にほかならない。
破綻した新自由主義を、絵に書いたような「改革」が持ち込まれようとしているのだ。
それは障害者分野で、自立支援法がどれだけ障害のある人たちや関係者から「廃止」の声が大きいかでも明らかだ。
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2009.02.09 | | Comments(2) | Trackback(2) | ・子どもと福祉・保育・教育
