NO.945 子どもたちを貧困の連鎖から救い出すのが政治の仕事
近年、「貧困と格差」をめぐる問題は国政の中心問題となり、特に雇用の面からのせめぎ合い続いている。
しかし子どもの貧困めぐる問題は、まだ正面から問われているとはいい難い。貧困が、子どもの学力差や非行や虐待にも影響を及ぼし、子どもの成長やその後の職業にいたるまで生活のすべてを覆い尽くすような影響を及ぼすことについては、福祉の現場から見れば自明の事でありながら、正面から議論されその解決のための取り組みが行われている状況にはほど遠い。
「遺伝」する貧困
今日、貧困は世代を超えて連鎖している。
貧乏人の家に生まれたが最後、一生貧乏かな抜け出せないという社会はまともな民主主義社会とは言えない。
軽度の知的障害者・あるいはボーダーといわれる人たちの事例は、現場で見る限りこの「遺伝」状態は、てきめんである。貧困と子育て能力の低さが、次の世代をまた「障害」状況に閉じ込めていく・・・。
例えば→NO.266 「ひまわり~!」・・・知的障害者の子育て。
・・・ここでは、障害者問題ではなく、普通の子どもたちについて考えたい。
日本の子どもの貧困率(平均的な所得の半分以下の家庭で暮らす子どもの割合)は、13.7%。OECD=経済開発機構諸国の平均値を越えるそうだ。
親が働いている家庭では貧困率が減るのが世界の常識だが、日本は例外で、特に一人親家庭の貧困率が高い。一人親なのに働かねばならず、なお所得が低いのである。労働分配の問題がある。
所得の再分配後に貧困率が上がる?
さらに深刻な矛盾は、日本では所得の再分配後に貧困率が上がっていることである。低い労働所得の後、税や社会保障を負担をし、福祉や教育、医療などの制度により給付を差し引いた所得の再分配後の子どもの貧困率が、分配前よりも上がるのは日本だけだというのは、知る人ぞ知る日本の不思議だ。
もともと、社会政策・社会保障政策での所得再分配機能とは、それによって貧困を減らすものであるのに・・・である。これは、貧困状態の子育て家庭の負担が重過ぎるということであり、給付が少なすぎるということである。
少なくとも、どんな家庭の子どもたちも、自己負担なしにして最低限必要な教育や医療が保障されなければならないのである。昨今の、経済危機の中で、授業料が払えないで退学すする子どもが増えているのを見ても、対策は急を要する。
貧困状態にある子供の過半数は、以下のように両親がいる世帯だという。
具体的な対策を
当面、以下の対策が求められる。
非課税世帯には給付の拡大を、低所得世帯には、税と社会保険料負担の軽減を。
児童手当の拡充や授業料の免除、医療費の無料化など・・・給付の拡大で、子どもたちを貧困から救い出す施策が必要だ。人生を左右する基本施策といえるだろう。憲法25条を、生まれたときから保障する積極施策が求められる。
「少子化対策」ではなく、「幸せな子ども対策」を
ここで全面的な施策を具体的に列挙することはできないが、子どもたちが生まれてから学び成長し独り立ちするまでに、親の貧困に左右されないで生きることができる総合的な施策こそが求められているだろう。
政府の少子化対策は、単に子どもの数を増やす事に関しても無能だ。しかも、幸せな子どもを増やすことについてはまったく視点がない。
子育てを親の自己責任の下に置き、子どもたちの貧困を親元にくくりつけておいて、幸せな子どもたちが育つわけはない。それは社会にとっても不幸なことだ。
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テーマ:政治・経済・社会問題なんでも - ジャンル:政治・経済
2009.02.11 | | Comments(0) | Trackback(5) | ・子どもと福祉・保育・教育
