NO.965 社会保障抑制・・・財界・大企業にモノ言う政治を。⑤
「医療崩壊」「介護難民」・・・政府与党内からも、「社会保障抑制は限界」との声が出ている。
麻生内閣の09年度予算案は、社会保障費抑制を実質230億円に「圧縮」した。
しかし、「シーリングはあくまで維持」するとし、小泉内閣以来の「2200億円削減路線」を変えるつもりはない。
この背景には財界の強い圧力がある。
経過を大まかに見てみよう。
01年3月、森内閣時代の経済財政諮問会議で、厚労省の認識は以下のものだった。
「社会保障給付費を体GDP比で比較すると、日本は欧米諸国に比べてまだ低い」
「社会保障支出の過度の抑制は、経済にも悪影響を及ぼし、ひいては社会保障の安定性にも悪影響を及ぼす」・・・まともである。
わが国の高齢化率は、ヨーロッパ諸国と比べても高い水準となっているのに、社会保障給付費は、国内総生産(GDP)の17・0%で、イギリス(25・3%)、フランス(29・5%)、ドイツ(29・3%)、スウェーデン(34・1%)よりも立ち遅れた水準にある(厚生労働省「社会保障の給付と負担の見通し」04年5月)。
ところが、この会合で厚労省に釘をさしたのが、当時の奥田日経連会長。
「社会保障の給付と負担の明確な将来ビジョンを国民に示すことが重要だ」
「医療費のキャップについては、総枠を決めておいく努力目標が必要だ。キャップがないと、無限に増えていくことになる。」
01年4月、小泉内閣誕生後の経済財政諮問会議。
奥田氏ら民間議員4人が「概算要求基準の策定に当たって」という文書を提出。
「社会保障については、大胆な制度改革を前提として要求基準を定めること」を要求。
「医療制度改革を中心とした大胆な制度改革を前提に決める必要がある。自然増をそのまま認めるのではなく」と念をおした。
同年8月、02年度概算要求基準を閣議決定。
国民生活関連予算を一律削減し、社会保障については、1兆円の自然増に対を3000億円削り7000億円増に抑えた。
こうして、「社会保障費抑制路線」は3000億円削減でスタートし、翌年から毎年2200億円ずつ削られ、医療、介護、年金を襲うようになった。
日本経団連は、社会保障費抑制の徹底と、消費税増税を主張し続けてきた。
その狙いはこれまでも見てきたとおり、法人税を引き下げる財源確保のためだけではなく、さらに社会補償費の企業負担を減らすためであった。
「奥田ビジョン」(03年1月、「活力と魅力溢れる日本を目指して」)は、
「公的年金の基礎年金部分、高齢者医療・介護の財源については、消費税を活用することが望ましい」と指摘し、「現在、サラリーマンの社会保険料は、本人と事業主とのマッチング拠出が前提となっている。これは、ほんらい、個人が負担するところを、事業主が肩代わりするものだ」として、事業主負担をなくせと迫ってきたのだ。
日本企業の社会保険料負担は、国際的に見ても非常に低いのが現状だが・・・。
社会保障給付は徹底して減らし、企業負担はできるだけ軽くし、できればなくしたい・・・財界・大企業の身勝手な要求を容赦なく突きつけてきたのだ。
社会保障の拡充は、家計を暖め、将来不安をなくし、雇用の創出にも役立つ。日本経済と国民の暮らしにとって、まさに目指すべき道といえるだろう。
この道を阻むのが財界・大企業。ここでも、大企業にモノいう政治、政党が求められている。
関連ログ:NO.968 財界・大企業にモノいう政治・政党か、いわれる政治・政党か?
参考過去ログ:NO.626 日本経団連の「消費税増税提言」を斬る!
NO.879 財界・大企業が消費税増税に熱心な訳は。
NO.476 福祉のためなら、ヨーロッパ並みに消費税を上げてもいい?
「大脇道場」消費税増税反対キャンペーン中!
http://toyugenki2.blog107.fc2.com/blog-entry-588.html
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2009.02.20 | | Comments(0) | Trackback(4) | ・福祉・社会保障全般Ⅰ
