NO.975 基本的人権とヨーロッパの雇用と労働。
ワーキングプア(働いても人間らしい生活を営むに足る収入を得られない働く貧困層)の急増が、問題になった中で、この救済どころか、今度は彼らをはじめとした、派遣や非正規労働者の首切りが蔓延している。
ワーキングプア拡大の主な原因は、構造改革路線の下で、労働分野の規制緩和が推進され、加えてもともと脆弱な日本の社会保障制度の下で社会保障費の抑制が進められたことにあることは間違いないところだろう。
非正規労働者は今や1890万人。全雇用労働者の35.5%と過去最高に達した。
同時に、偽装請負や残業代未払い等の違法状態が蔓延し、不安定就労と低賃金労働が広がり、若者を中心に、特に教育訓練の機会のない未熟練労働者が貧困に固定化されている。そして、正規労働者においても賃金水準の低下、長時間労働の拡大が進んでいるのである。
国民の暮らしを支えるべき社会保障制度も、自己負担増と給付削減が続く中、セーフティネットとして十分な機能を果たしていない。
そのため、いったん収入の低下や失業が生じると社会保障制度によっても救済されず、蓄えも、住まいも、健康等も次々に奪われ、貧困は世代を超えて拡大再生産される状況が生まれている。まさに、「貧困の連鎖」の構造が作られているのである。
こうした中で、年越し派遣村の取り組みや、労働組合の結成などに見られる、貧困問題の解決、大企業の違法な首切り、雇い止めをやめさせる運動が起こっている。
しかし、政府や自治体の取り組みは未だきわめて不十分なままである。
基本的人権の侵害から、国民を守る国の責務
今日の雇用と労働、貧困をめぐる問題は、本来人々が生まれながらにしてもっている基本的人権を侵害するものであり、政府がその責任において真っ先に解決に乗り出すべき重要課題である。
そもそも、「個人の尊厳」の原理に基づいて、幸福追求権について最大の尊重を求めている憲法13条や、法の下の平等を定める憲法14条、勤労の権利を保障する憲法27条等に照らせば、すべての国民には、それに見合った労働条件のもとで人間らしく働く権利が保障されていなければならないのではないだろうか。
そして、憲法25条が、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を、生存権として保障しているということは、国及び地方自治体には、貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き、人間らしく生活する権利を実現する責務があるということである。
関連過去ログ:NO.927 「派遣切り」問題と憲法27条・・・公の責任に触れて。
こうしたことを考えるに当たって、ヨーロッパの雇用と労働をめぐる取り組みや、事情を知ることは有意義だと思い、以下、関連する過去記事を「ヨーロッパの雇用と労働」としてまとめてみましたので、よろしくお願いします。
① NO.970 大企業に政府が直接物申す・・・ヨーロッパの雇用と労働
② N.971 失業対策・・・ヨーロッパの雇用と労働
③ N.973 均等待遇・・・ヨーロッパの雇用と労働。
日本的な「ルールなき資本主義」をかえ、同じ資本主義にあっても、雇用と労働のルールを守り、社会政策により貧困から国民を守るヨーロッパ的「ルールある経済社会」のあり方は、学ぶべきものが多いのではないでしょうか。
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いつもありがとうございます。
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2009.02.24 | | Comments(0) | Trackback(1) | ・雇用と労働問題Ⅲ
