NO.984 「経営者の誇りやプライドはどこへ行ったのか」「政府は厳しい指導を」 国会で宇都宮参考人が意見陳述。
「怒りを通りこして悲しくなる。自分のところで働いている労働者が、人間らしい生活ができて、幸せな家庭を築けることを、誇りに思うべきだ。そういう誇りやプライドはどこへ行ったのか」・・・。「反貧困ネットワーク」代表で「年越し派遣村」名誉村長の宇都宮健児弁護士が訴えた。
国会ではじめて「非正規切り」に責任がある業界団体の代表が呼ばれて行われた、24日の衆院予算委員会での参考人質疑でのことである。
宇都宮氏は、何年働いても賃金が上がらない 都合が悪くなればいきなり首を切られる 結婚もできないし、子どももできない・・・など、派遣労働者から聞いた実態を突きつけて、経営者のプライドを問うたのだ。共産党笠井亮議員 大量の『派遣切り』『非正規切り』をつくり出した、企業の『社会的責任』の核心点はどこにあるのか。
宇都宮氏 大企業の大変な内部留保がどうして増えたのか。派遣労働者が残業を繰り返し、働いた結果ではないか。それなのに不況になると(非正規労働者の)首を切り、寮や社宅を追い出している。なかには生存の危機に陥り、自殺を試みる方も発生している。こういう人たちのおかげで企業は利益を上げているのに、「関係ない」ということでいられるのか。
そして氏の発言は、財界総本山の日本経団連にまで及んだ。
宇都宮 派遣労働者が働いているのは、経団連の役員もかねているような名だたる一流企業だ。そういう会社で人間をモノのように使い捨てている。
笠井 そうした大企業に社会的責任を果たさせるために、国会はどういう仕事をすべきか。
宇都宮 国会に経団連の役員の方は来ているのか。経団連の御手洗冨士夫会長、トヨタの経営者など経営者自身を呼んでもらいたい。なかにはこういう経営者が、違法・不当な派遣切りを行っている。国は強く指導すべきだ。
現場で貧困と向き合ってきた弁護士の意見陳述の要旨を紹介しておきたい。非常にコンパクトですが問題の全貌を、あぶりだしてくれる意見陳述です。
衆院予算委 宇都宮参考人の意見陳述(要旨)
「派遣村」の取り組みから
「年越し派遣村」には派遣切りで仕事を失って茨城や静岡から歩いてたどり着く人、自殺を図ろうとして警察に保護され、警察官同行で来る人もいました。一方、全国からボランティアの参加や、食料・衣料品の支援が寄せられ、日本も捨てたものでは無いと感じました。
「派遣村」の取り組みから、わが国の労働者派遣制度の問題点が浮き彫りになったと思います。
労働者派遣制度は当初、「多様な働き方を求める労働者のニーズに応える」という「美名」の下に導入されました。しかし派遣労働者の権利が全く保護されず、実態は企業の利益追求のための労働コストの削減と、手軽な雇用調整弁として簡単に首を切る、きわめて残酷で冷酷な制度でした。
労働者派遣法の抜本的な改正を
労働者派遣法の抜本的な改正が考えられるべきです。基本的に雇用は直接雇用で期限の定めの無い雇用を大原則とすべきで、有期雇用を含む非正規雇用は、合理的理由のある、ごく例外的な場合にのみ許されるべきです。
「派遣村」は、日本社会にはないと思われてきた「貧困」を日本社会に突きつけ、大きな衝撃を与えました。
セーフティーネットの強化を
貧困問題を解決するために当面は、ワーキングプア対策の強化、生活保護制度を初めとするセーフティーネットの強化が求められます。ワーキングプア対策の強化として、最低賃金の大幅引き上げ、非正規労働者と正規労働者の均等待遇、労働者派遣法の抜本改正、雇用保険制度の改善、職業教育制度の確立・・・が求められます。
生活保護制度をもっと利用しやすく、それをステップに自立できる制度に変える必要があります。政府がすすめてきた生活保護に関する老齢加算や母子加算の削減・廃止の撤回、2006年「骨太方針」による社会保障費の毎年2200億円の削減方針を撤回することも必用です。
政府の厳しい指導を
当面の派遣切り対策強化の問題では、労働者派遣法の抜本改正を待っていては現在進行している派遣切りの問題に対応することはできません。
まず、違法な派遣切りはやめっせるよう強く政府が企業を指導する必要があります。違法・不当な派遣切りが強行された場合は派遣元企業だけでなく、派遣先企業にも連帯責任を負わせることを含めて企業を指導すべきです。それから派遣切りにともなって労働者が社員寮などの住居から撤退させられることがないように企業に厳しく指導すべきです。
派遣切りを行っている企業には社会的責任を果たさせる。大量の派遣切りを進めるトヨタ自動車やキャノンなど、日本を代表する大手製造業16社の08年9月末の内部留保合計額は、02年3月待つから倍増し、約33兆6000億円にのぼります。
派遣切りを行う前に、企業として経営努力を行うべきです。役員の報酬・給与の減額・返上、内部留保の放出、他企業への就職斡旋などはもちろん、非正規労働者の生活就労支援基金を設立すべきです。
全国にシェルター(緊急避難場所)を増開設し、責任を持って処理できる機関(ハローワーク、福祉事務所、法律家など)相談できり体制をつくる必要があります。
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2009.02.28 | | Comments(5) | Trackback(3) | ・雇用と労働問題Ⅲ
